81話
「――ハハッ、ハーッハハハハハハハハハハ!! どうしたどうしたァッ? こんなッ、もんでッ、参ってんじゃッ、ねえぞッ!! テメエらッ、みてえなッ、隠れ潜んでッ、居るんだかッ、居ないんだかッ、分からねえようなッ、消えたって誰もッ、気にしねえようなッ、ゴミみてえな連中をッ、有効活用ッ、してやろうってッ、言ってんだッ!!!! 感謝のッ、一言くらいッ、言ってみたらッ、どうッ、なんッ、だッッッ!!!!!!」
腹の底に溜まった苛立ちを発散すべく、狂ったように大声を上げながら真っ赤になった肉塊を蹴り続ける。
響き渡る声は遠く、なのに脂肪の詰まった革袋から鳴る『ボスッ、ボスッ』って音の方は、打撃を加える足から振動が通じてるのか妙に耳に残ってる。
だけど……止まない。
頭痛が止まらない。
苛立ちが治まらない。
溜まった熱を全部吐き出す為に足振ってるのに、振れば振るほど過熱しているような気さえする。
まるで、腹の中でグツグツと煮え滾るマグマが、そのまま温度と圧力を際限なく上げ続けてるみたいだ。
一応、ちゃんとフツーの男子中学生程度の脚力は維持し続けているから足元の何かはまだ塊肉のままだけど、もう黒炎被ってないトコは全部真っ赤だし酸素も必要無さそう。
うん、頃合いだね☆
「――フゥーッ……さてさて、まずは一人。まあ、このまま死体増やしてくより、一つずつ殺かせて蘇こしてって繰り返した方が回数稼げるか」
そうそう。
今やってるのは本番で成功させる為の特訓なんだから、ちゃんと数熟して精度上げてかないとね。
そもそもさっきは失敗しちゃってんだし、その失敗を挽回する為にも複数回の比較検証は大事ですよ、うん。
ってなワケで解いてた右脚の変身を戻しましてから――照準。
使うのはやっぱりイライラで湧き上がって有り余ってる魔力で、狙いは父さんと母さんの時と同じく『死』って概念。勿論、今僕の足元でピクリとも動かない肉塊の、ね。
んじゃ、勿体ぶる必要も無いし――ズドンッ!!
『…………――――、――――――!??!!!』
よしッ、成功!
黒炎が血塗れの肉塊を包んだと思ったら、一瞬で晴れてキモめにピクピク動くデブが現れた!
ついでに、有り余った干渉エネルギーがデブの『死』そのモノだけでなく、ソコに直接繋がる『致命傷の存在』にまで届いちゃったのか、さっき切り落としたハズの手足がいつの間にかくっ付いてる。
しかも、僕の蹴りと元々の噴出とで辺り一面に飛び散ってた血まで、これまたいつの間にか全部キレイサッパリ消えてる。
コレって多分、死因が出血性ショックとかだったから、くっ付いた手足と同じ要領でデブの体内に戻ったってコトなんだろうね……うへぇ……
ちなみに、さっきまで蹴りまくってできた顔面と身体中の痣と折れた鼻は据え置きだ。
まあ、どう見ても致命傷なんかじゃないからね。傷の深さ的に。
ただまあ、コレで少なくとも『死は生と言う概念の一要素なので、消すともう二度とその生命は活動しません』的なセンは否定されたから良しとしようか。
うん、元々勘は良い方だったと思うケド、初見の印象で正解導き出せてるとか、やっぱ魔物化してからは益々冴え渡ってるね。
流石はCHOKKAN先生ですわ……
ま、逆に効き過ぎて『コレもう人間の範疇踏み外してね?』な疑惑が無きにしも非ずって、今外見が完全に人外だけど!
「うんうん、良いね。やっぱ、父さん母さん相手と違って、テメエらみてえな居ても居なくてもどうでも良い赤の他人共が相手だから、気分的にも出力的にも気楽に済んでゴキゲンだね☆」
そんなゴキゲンな気分通り尻尾をビッタンビッタンさせてると、砕けたコンクリが飛び散るたびに周りのドッキンドッキン達が大暴走状態で、体臭までドンドン臭酷くなってく。
ついでに水溜りもチラホラ。
まったく、そんなに存在を主張しなくても別に忘れてたりしないから安心してよね。
ちゃ~んと全員殺かしてから蘇こしてあげるからさ。
少なくとも一巡分は。
「そんじゃあ、次行ってみようか。ま、一人ずつ全員にやってくから、皆順番回ってくるまで良い子で待っててね☆ な~に、心配しなくても大丈夫。テメエらの総責任者っぽいソコのデブも、責任者らしくテメエら一人一人の死て蘇きてに付き合ってくれるからさ」
「――――――!??!!! ――――、――――――!??!!!」
これまたバチコーンとウィンクしてあげると、何やら無音の大声が聞こえてきたような?
オヤオヤ、大興奮だなまったく。困ったモンだ。
「オイオイ、なんだよ? んな喜ばなくても良いだろ? 『責任者は責任取るのが役目』だなんて、オツムの足りない中学生でも知ってる当たり前のコトなんだからよ」
そうそう、人様の家族に手を出しておいて何の罰も受けずに済む訳が無いんだから、こんなのは当たり前だよね。
んじゃまあ、一人(+デブ)ずつ手足ギロチンしていきますか~。
……え?
『なんでワザワザ即死させずに大量出血でタヒらせてんの?』って?
そりゃあ、まあ、僕がコイツらにとにかくたッッッくさん苦しんで欲しいからだよ☆
そうすれば、せめて父さんと母さんと兄さんが味わったであろう苦しみの半分くらいは理解して貰えるだろうからね♪




