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他称『魔王』の穏やかな日常  作者: 黒宮辰巳
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78話

 と言うコトで、葬儀場の上空に陣取ってからその場待機。

 葬儀場のだだっ広い駐車場に白黒バンが入ってくるのを監視する。


 すると、バンが駐車場に入ってきた段階で葬儀場の建物から複数のオッサンが出てきた。

 しかも、足早に駆け出して駐車中のバンを取り囲みかねない勢いだ。

 恐らくは、なんて前置きするまでも無く、ほぼ確実にデブ部下のオカルト特殊部隊なんだろうね。


 そんでもって、あれだけ急いでるってコトは、あのデブから僕がどれだけ父さんと母さんに御執心なのかそれはもう熱く言い聞かせられたみたいだ。

 僕より先に父さんと母さんの身柄を確保して、『返して欲しくば~』って冠を被せて僕ちゃんにあ~んなコトやそ~んなコトをさせる気なんだゾ、きっと☆


 …………はぁ~、もういいや。

 止めた止めたメンドくせえ。

 もう回収しちゃお~っと。


 っと言うワケで――照準。


 狙いは勿論、父さんと母さん――だけど、空間魔法で直接転移させるのは失敗した時が怖いから、父さんと母さんを納めてるビニール袋と台車の接触面に別空間と繋がる門を形成。

 んでもって、門の接続先は僕らの家。

 金見のタワーマンション、その十五階の一室に在る父さんと母さんのベッドの上。


 あ、ついでに僕も移動しようか。

 父さんと母さんがシッカリ帰宅できたかどうか現地で確認しないとだし、一応は父さんと母さんの遺体の保存について考えてるコトがあるけどすぐに試せるワケじゃないから、せめてエアコンガンガンに回しとかないとね。


 そんじゃ、追加で僕の真正面にも家に繋がる門を作るコトにして、コレで設定完了――からの即発動。


 うん、手応えアリ。

 今、僕の目の前には無色透明不定形な陽炎っぽい門が形成されてませう。


 父さんと母さんの方も、車内のビニール袋なんて目視できないけど、別にこの空間魔法の使用条件にフィクションで有りがちな『行った事がある場所限定~』なんて制限は無くて、場所をある程度絞り込んで置けば多少あやふやでも干渉魔法みたく余分な魔力(チップ)を弾めば何とかなるから問題ナシ。


 さて、僕も行こうか……スィーっとな☆


 パサリと、翼から適量を魔力放出して門を潜り、二度目の玄関も通らずなただいまを敢行。


 着いた先は父さんと母さんの寝室で、部屋の中心に鎮座するデカいベッドの上には僕より一瞬早くただいましてた父さんと母さんが――いやまあ、まだビニール袋の中だけど。


 ちなみに、門の方は父さんと母さんと僕が通過した時点で消えるように設定しておいたから、駆け込み乗車染みた滑り込み不法侵入の心配はしなくてオーケーだぜい。


「さて、まずは冷房冷房っと」


 ワザと声を出して衣擦れやら動作音やらでやるよりも広範囲高精度なエコロを展開しつつ、手早く練った魔力でソナーを放つ。

 勿論、お手々はエアコンのリモコンを掴んで、冷房モードの最低温度に風量最大でスイッチオン。


 ん~……、エアコンの騒音でエコロが若干アレだけど、まあ概ね大丈夫そうかな?

 少なくとも父さんと母さんが借りてるこの部屋に、僕以外に生きてるヤツは居ないね。

 センチ以下な虫けらサイズの反応はチラホラあるけど。


 あのデブが僕の目的を父さんと母さんだと考えてるなら可能性は低いだろうと思ってたけど、案の定、連中の手はココには伸びて無いっぽい……ま、『今はまだ』って被せるべきだろうけど。


 あ――ああ、そうだ。

 連中がココへ来る前に、せめてこの部屋だけでもカンペキに防衛できるようにしないとね。

 デブへの報復中に父さんと母さんが攫われてました~、なんてなったら全く笑えない……嗤えはするけど。


 丁度、さっき実際にホンモノの『結界』なんてのを見たおかげで良いカンジにインスピレーションも浮かんだし、チョットばっか試してみようか。


 ってコトで――照準。


 今回狙うのは、この寝室を形成する壁、床、天井の六面全てを効果範囲として、ソコへ()()()()生じる平常値以上の運動量を対象に――するだけじゃ不十分か。

 んじゃ、熱量、電気量、光量に……あとは魔力関係も足そう。

 使うのは、毎度恒例の魔力――だけだと不安なので、プラスで一掻き加えようか。

 では――発、動ッ!!!!!!


 変身体の超絶腕力(パワー)に加えて魔力による身体強化も加えた右手の五指による一閃。

 ソコに発生したアホみたいに膨大な運動エネルギーと魔法発動分を引いた残存魔力の半分を注いで発動させた干渉魔法だけど、パッと見では周りに何の変化も見付からない。

 ま、()()()()はこの部屋の内側に生じるのじゃなくて外側からのヤツだから、展開場所も必然、外側になるってね。


 んじゃ、チャッチャと確認しちゃいますか。

 この後、()()()()()()もあるコトだし。


 てなワケで、寝室出入口のドアノブに手を掛けまして――オープンセサミ☆


 すると、ポッカリと開いたドアのスペースに一部の隙も無くメラメラ()()()()()()黒炎が。

 う~ん、見た目的には中々成功してるっぽいけど、大事なのはココからだね。


 まずは、ドアを潜り抜けて寝室の外に。

 途中、当然の如く黒炎が壁となって立ち塞がるワケだけれども、狙い通りの効果が発揮できていれば何も問題無いので構わず踏み出し――うん、弾かれも燃やされもせずスンナリ通り抜けられたね。


 コレで一応、『内側から外へと発生する運動量、熱量、電気量、光量、その他魔力や魔法関係のアレコレまで含めたイロイロには干渉しない』ってのが証明できたワケだ。

 ホラ、変身状態の僕がその姿のままで通り抜けられたのが証拠だね。


 じゃあ次は、『外から内へ~』を確かめようか。

 安直だけど、コレがちゃんと成功しないコトには出発できないからね。

 確認確認。


 って言っても、まあ、外開きのドアを締め直すだけなんだけどね。

 さあ、コレが()()()()()()()取り敢えずは成功だけど……果たして。


 キィイと軽く鳴りながら閉まるドアが、ゆっくりと元の位置に戻ろうと黒炎に触る瞬間――



 ――――特に何事も無く、ドアが()()()()()()()()()、ピタッと停止しましたとさ(まる)



「――良っし!! 成功!!」


 うんうん、ドアも壊れてないし、ちゃんと動かせる。

 コレは狙い通り『寝室内へ侵入しようとするモロモロを()()()()()結界』が展開できてますワ~。


 イメージとしては、反射と相殺を足して割ったようなカンジかな?

 さっき振るった運動エネルギーと魔力を干渉魔法で()()()()()()()()()()()()|平等に干渉する干渉力(黒炎)へと変換し、ソレらが寝室内へ入ろうとすればその侵入しようとする力と等量逆向きのエネルギーを作用させて対象を()()させるって効果だからね。


 これなら、干渉力(黒炎)が消費し尽されない限り、マシンガン乱射されようがロケランぶっ放されようが核落っことされようが寝室内は無事で済むし、なんならこのマンションが消し飛んだってこの寝室だけは高度も相対位置も変わらずに存在できちゃうだろうね。


 ついでに、侵入してくる対象を破壊とか消滅とかさせないから、踏み込んできた連中が幾ら入ろうとしても進めないってだけで殺さずに済むってのもポイントかな?

 まあ、この期に及んでまだ父さんと母さんに手出ししようってヤツらに()()()()()()必要があるかは甚だ疑問だけどネ。


 ……ホントなら『入れない結界』よりも、あの施設の認識阻害の結界みたく『そもそも入ろうとも思えない結界』を作るべきだとは思うんだけど、それだと認識されちゃった時点で無力だから、今回は物理的な力への抵抗力を重視致しやした。


 さて、ココは確認の為にも一発くらい殴ってみたいトコだけど、それで無駄に干渉力を消費しちゃうのもバカらしいから、サッサと次に行こうか。

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