66話
跳び膝着地から振り被っていた握り拳を、手近なオー○似な巨大ダンゴムシへアッパーカット気味にブチ当てる!
すると、今度はさっきの鬼よりも多少頑丈だったのか、鬼の肉片浴びてヒビだらけになった甲殻と中身を粉々のグチャグチャに撒き散らしながら流れ星になって、僕のお願いを次々に叶えていってくれました。キラ☆
途中で尾を引くように撒き散らされたダンゴムシの体液は、見た目通りに腐海産なのか浴びた魔物や砂を溶かして煙を上げてたりする。
うぇ~、バッチぃ……ま、いいや、次々――って、うん?
なんだアレ?
足元でゴロゴロとのた打ち回ってたワニ人間に踵を落として長デカい口ごと頭を破裂させてから往復の足刀で身体を真っ二つにしてやりつつ、何かしらの魔法を使って宙を泳いで群の後方から槍みたく突っ込んできたカジキモドキを掴んでバットみたくフルスイングして射程内の魔物共をカジキごと粉々にしていると、その粉々にした何体かが煙みたく消えていく……?
でもって、その煙が晴れるとどこかで見たような木片がパラパラと……どゆこと?
確かに魔物って魔臓器潰すと一定時間でサラサラ消えてくけど……ナンデ煙? 木片ナンデ?
「アレって確か何とかさんが持ってたよな? なんでそんな物がこんなトコに?」
疑問と一緒に声を吐き出してエコロりつつ、改めて魔力ソナーを展開して目と鼻も利かせる。分からない事があったらまずは情報収集ってね。
さてさて、これだけでタネが割れれば良いんだけど……って、うん?
なんか、追加のソナーを浴びた魔物共の何体かが見る見る苦しみだして――あ、溶けた……溶けた!?
そんでもって溶けた後には、やっぱり見覚えのある板切れが。
もしかして、コレも魔法?
RPGにありがちな召喚術――は違うか。
どっちかと言うと、魔女の黒猫とか烏とかの使い魔とか、陰陽Gな式神とかかな。
魔法どころか魔力波当てた程度で魔法が崩れる辺り、戦国時代で出くわしたBOUZUやら巫女さんやら陰陽爺さんやらみたいな貧弱さだし、その線が一番あり得そうかな。
となると、なんとかさんも実は現代医学に精通したお医者さんじゃなくて、非科学的な現象を取り扱う魔女の類だったって事か……さっき木片全部取り上げとけば良かった。
でも、う~ん……こんな事したって多少魔物を嵩増しできるだけで大した時間稼ぎにもならないだろうに、なんでこんな無駄な事してんのかな?
「監視――はカメラがあるし、盗聴もワザワザ使い魔にさせる必要無いし……何かしらの魔法発動に向けた布石、とか? それとも他に狙いが……?」
ん~……ダメだ、分からん。
こーゆー時はアレだ、取り敢えず目の前の問題を片付けてからゆっくり考えればイイヨネ☆
と言うワケで、無双継続中――
『『『――ゲブルギャボォハッ!?!!!! アギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!』』』
――ンッ~~~!!
なんとも耳に心地良い魔物共の大合唱!!
いや~、なんかこれ聞いてるとなんとなく頭痛が和らいでるようで癒されりゅ~♪
「――アッハッハハハ!! アーッハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!!! ヒャァッハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハッッッ!!!!!! 死ねッ!! 死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ねッ、魔物はッ一匹残らず死に尽くしやがれッッッ!!!!!!」
あ~、うん、なんだか品の無い単語が出ちゃってるけど、あくまでもエコロ用の大声なのでどうかお見逃し下されば………………ダメ?
じゃあ――
「ゴッギャァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッッ(○やがれや魔物共ォッッッ)!!!!!!」
吠えてみた――ら、やっぱりと言うか、だよね~と言うか、案の定魔物はビビりまくって泣き叫んでの大パニックに……いや、何体かはそうでもなさそうかな?
なんか身体が薄くなって輪郭もぼやけたと思ったらカランカランって木片に……うん、コレは単にパニクる余裕も無かっただけですわ。
どうも声と一緒に魔力も追加で放出してたみたいで、その魔力の波動で木片の魔法が解けちゃったみたいだね。折角余分に用意してくれた頭痛薬が……
――ま、いっか。
多少煩わしいけど、この程度の痛みなんて無視してればいいだけだし。
それに、こんな下級の魔物共なんて、もう百倍、千倍居た所で大して違わないしね。




