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他称『魔王』の穏やかな日常  作者: 黒宮辰巳
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63話

 まあいいや。

 取り敢えず、デコピンを一発。勿論、触りたくないので干渉魔法越しに。


「――――アダッ!??!!!」


 ――うん、もしかしたら、ミスって頭パァンってなるかと思ったけど、こんな呑気に痛がれてるトコを見るに無事成功したみたいだね。


 ……なんかさっきっから結構魔法使ってるけど、思ったより頭痛の影響無いな……いや、状況的には良い事なんだけど、痛みに鈍感って人間的には結構問題ではなかろーか?


 まあ、急を要するとかってワケじゃないから今は置いとくか。

 それよりも――


「……で? ホントのトコは?」


「――ァヒィッ!? こ、ここ、答えッ、答えますッ、から!! ど、どうか命だけは――」


 大袈裟なリアクションにジト目を向けてやると、デブはこれまたオーバーなビビりっぷりを披露してくれた。

 いや、答えろよ。


 ってか、コレは何度でも繰り返すけど、僕人殺しなんかしないからね?

 まったく、人を何だと思ってるのやら……


「――また同じ事言わせる気か?」


「――ヒィッ!? め、滅相もありませんッ!! 直ちに御答えさせて頂きますッ!!」


 とにかく、喋らせないと進まないのでまたまた先を促すと、今回は妙に元気の良い返事が貰えた。

 いや、別にどんなテンションでもいいからさっさと答えてよ。


「――と、とは言え、強力な攻撃術式の開発を主とした武力革新以外にも、妖魔の持つ自己再生能力を医療技術へ転用する事も視野に入れておりますから、全てが偽りと言うわけでも――」


「肝心な部分を言わずに誤魔化そうとするのは、悪意作為が混ざる時点で十分嘘偽りに含まれるだろ。下らねえ屁理屈なんぞ聞かせんな」


「――ハッ、ハヒィッ!! も、もも、申し訳御座いません!!!!!!」


「ってか、ソッチの事情は分かったから、この話はもういいや。あと聞きたい事は――う~んと……」


 え~っと、なんか他に聞きたい事って残ってたっけ?

 むむむ……うん、パッと思い付かんし、ココは一つおバカな僕ちゃんらしく指折り数えてみるとしよう。


 まずは、最重要な父さんと母さんと兄さんの安否だけど……うん、まあ、予想通りだったって事で、ココは一旦脇に除けとかせて下さい……未練がましく否定する気も無いから、これ以上は御勘弁を……


 ……えっと、次は……そう、なんで僕がこんなトコに居るのか、かな……

 まあ……これも大方の予想通り、()()と魔法の研究サンプルに~ってワケだったのだけれども、その目的が不特定多数の殺戮に繋がるっぽいんだってんだからもうココに用は無いね。


 あとは……う~ん、現在位置とか?

 でも別にワザワザ聞かなくても、ココから出て空から周り見ればある程度は分かりそうなもんだしな……

 それに、僕がココに連れられてから一日も経ってないらしい上に、今居る建物に日本語喋るスタッフしか見かけないとくれば、少なくとも日本国内の何処かではありそうだし。

 となれば、また適当に空飛んで行けばその内金見市に辿り着けるでしょ。

 知らんけど。


 ってか、ココも地上何階かではあるんだろうから、窓の一つでもあれば周りがどうなってるのか見れただろうに……いやまあ、視聴覚室の類に陽の光が入らないようにするのは間違っちゃいないと思うけどね?


 それに、さっき空けた天井の穴から見えるのも、またもっと上の天井っぽいし……っとと、話が逸れてた。イカンイカン。


 ん~、でもまあ本当にコレでインタビューは終わりかな?

 あとは()()()()()()()()を済ませて御暇致しませう――、ってカンジでエエかな?


「ん~……うん、やっぱこれ以上聞く事は無いかな。んじゃ、そろそろ――」


「――ブグヒィッ!??!!!」


 あ?

 んだよデブ?

 いきなし奇声上げやがって、口縫い付けっぞ?


「まッ、ままま、待ってくれ――いやッ、下さい!! ま、まだまだ話せる事はありますからッ、い、いいいい命だけはッ――!!」


 などと言いつつ、壁に固定された身体を必死に縮こまらせてる……

 いや、だから、ホントどうした?

 そんでもって、テメエは何度同じ主張を繰り返させやがってくれちゃうんでしょうかねえ?


「オイ、いい加減にしろよデブ。オレ、さっきから『人殺しはしない』って何度も何度も言ってるよな? 何? ナメてんの? バカみたいに繰り返させて楽しんでんの? 腹立つからブン殴って良い?」


 もうそろそろ堪忍袋がはち切れちゃいそうなので、そんな具合に最後通告をくれてやると、コッチの心情を汲み取ってくれたらしいデブは、喉の奥から引き攣ったような音を出しながら無言でブンブンと首を振りなすった。


 ん~、コレは『無駄口利かないので殴らないで』って事で良いのかな?

 ちゃんと言葉にしてくれてないから分からんケド。


 まあ僕としても、人肉水風船パァンなんてしたくないからそれでいいや。


「ハァ……そんじゃ、僕はもう行くから。寝心地の良いベッドと住み心地の悪い部屋ありがとね」


 なんて投げ掛けつつ、シュタっと片手を上げてサヨナラのポーズ。

 とは言え、このタイミングで拘束を解くと邪魔されそうなので、壁磔の干渉魔法は維持で。

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