表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
他称『魔王』の穏やかな日常  作者: 黒宮辰巳
153/186

153話

 結論から言おう。楽勝だった。


 だって、過半数が月面で何もできずに蹲ってるだけの術師共なんだよ?

 頭潰せばそれで終わるし、念の為に手足も潰しておけば後は放置で良いんだから。

 生ゴミ(死体)は最後に纏めて物理干渉しちゃえば簡単に処理できるし。


 でもって、人間界(コッチ)住まいの()()共はだけど、


『――――』


『いやだから、ほぼ真空の月面で声出したってまず聞こえねえよアホが。っつーかそもそも、オレちゃんを前にして暢気にお喋りとかどんだけ余裕だよ』


 基本は術師と一緒。

 頭を潰して動きを鈍らせてから手足を捥いで戦闘力を封じ、その傷の再生や反撃の魔法を防ぎつつソコから生じる魔力の流れを辿って魔臓器の位置を特定、破壊――の繰り返し。


 大体、魔力なんて言う不可思議極まるエネルギーに依存してるクセに人型してる連中ばっかりなんだよ、()()()()()って。

 そんなの頭潰して手足潰してまだ動くってんなら、胴体に魔臓器があるのが確定だろうが。

 全然隠せてないんだよ、最重要臓器のクセに。


 だから、極論しちゃえば人間相手と然して変わらない時間と労力で殺し切れる。

 コレで九割は片付く。


 ……だから、問題は残る一割の連中だ。


『――キサマの仕業かッ!! 何をしたッ!? ココはドコだッ!?』


 手当たり次第に術師とか鬼とか狼男とか棺の中から出てきた吸血鬼とかゾンビとかを処理してると、なんかコレまでのホラー路線に真っ向から反したような彫りの深いイケメン野郎が現れて、生意気にも骨っこを止めやがった。


 この赤髪野郎、見た目は単なるクソイケメンマッチョなんだけど、背中から三対も羽毛の翼が生えてる上に妙に眩しいカンジの魔力を纏っていやがる。

 ()()確定だね。

 服装も無駄に派手な部分鎧+メロスっぽいカンジの赤い布にマントってカンジで、時代に取り残されてる感しか無いし。

 鬼ですらズボン穿く時代だってのに。


 加えて、鍔迫り合いに持ち込まれた装飾過多な派手直剣からコイツの魔力が伝わってきて、ソレを通じてコッチに言葉を伝えてきてる。

 いや、唇の動きが明らかに日本語っぽくないから言葉そのものではなく、思念を伝える的なカンジが近いか。

 テレパシー的な。


 つまり、幾ら全快じゃない上に低燃費モードだったとは言え、魔界(アッチ)()()を殺し得たオレを相手に魔力的な干渉ができる程度には魔力があるってコトだ。

 ヤバいヤバい。

 絶対に生きて返せないぞこんなん。

 サッサと黙って死ね。


『――――ッッッ!?!!!!』


 お、どうやらコッチの内心が魔力で伝わったらしい。

 なんかギャグマンガみたいなレベルのアホ面晒してギックリ固まってやがる。

 少し出力を上げただけでアッチのテレパシーも聞こえなくなったから、コイツの魔力は掻き消せたっぽいね。

 よっしゃ、このまま押し切って――


『――――!!』

『――――!!』

『――――?!』

『――――!?』

『――――!!』

『――――!!』


 ――なんか来た。

 追加で六人、いや、六羽?

 全員翼が生えてて、全員タイプが違うけど一言で言えばイケメンマッチョで、全員部分鎧に古代ギリシャな格好で、全員武器を持ってやがる。

 ()()()()だな。

 ワザワザ出向いてくれちゃってご苦労さん。


 ってワケで――照準、発動。

 ……うん、やっぱヤベえはコイツら。


 物理干渉が効いないワケじゃあない。

 そもそも、標的設定した時点でどんな速度で動いていようが必ず届く魔法なんだから回避なんてしようが無い。

 いや、()()には結構余裕で避けられたけど。

 なんだよ干渉が発動した直後のエネルギーが伝わり切る前に転移で逃げ切るって。

 そんなジリ貧になりそうな手段で避け切るとかホント腹立つわクソが。


 ま~フツーは無理だ。

 不可避の一撃だ。

 だから、問題なのは『回避はできなくても耐久は可能』って点だね。


 今回がまさにソレ。

 月面に叩き付けられはしたけど、しっかり原形保ってやがるよ全員。

 幾ら七羽に分散されてるとは言え、結構力込めて振った骨君の出力で誰一人として潰せてないのはヤバい。

 魔粒子無しの弱体化も加味すれば、間違い無く魔界(アッチ)でも上位に食い込めそうなレベルだな。


『ま、だからどうしたって話だが』


 こちとら、上級上位を複数体含む数万規模の群れ相手に全滅させたったモノホンのバケモノですよ。

 こんな隙だらけにぶっ倒れてる連中に止めを刺すのなんか簡単だ。


 ってコトで、『全部纏めて~』から『一羽ずつ確実に~』に方針変更。

 まずは目の前で土ペロしてる赤髪に止めを刺す。


 照準、発動――ズガン!!!!!!


 服も翼も剣も含めて全指定して発動した渾身の骨っこ物理干渉は余す事無く赤毛の天使を呑み込み、そうして黒炎が晴れた後には何も残っておりませんでしたっと。

 さあ、次。


『『『――――!??!!! ――!!!!!!』』』


 へぇ、もう起き上がってくるか。


 ドイツもコイツも、オレちゃんと同じように翼から魔力を噴出させて一手で体勢を立て直すと、丁度赤毛が消えるトコでも見てたのか何か叫びながら武器を構え始めた。


 ま、遅いんだけど。

 大体、喋ってる余裕があるならさっさと攻撃してくればいいのに。

 アホなの?

 死ぬの?

 いや殺すけど。


 そんなワケで、隙晒し中なアホ共の内、明らかに遠距離主体と分かる弓持ちの青毛――いや、お馬さんの『ほぼ黒じゃね?』って毛色じゃなく、ホントに空や海みたく真っ青――に照準、発動。


 前傾姿勢で突っ込んで来ようとしてる槍持ちとメイス持ちと大鎌持ちと盾持ちの隙間をすり抜け、連中を置き去りにしてから骨っこを一閃。


 結果はさっきの赤毛と同じ。

 うんうん、まず遠距離持ちから潰すのは戦いのセオリーだよね。


 ただ一つ、もう一羽の遠距離持ちについて聞きたいんだけど、


『なんでこの御時世にラッパ銃!? ソレってギャグのつもり? いや、そんなんでオレを殺そうとかアホ過ぎて笑えねえよ』


 うんまあ、どーゆーつもりでのチョイスかは知らないけどラッパ銃だ。

 ソレも銃口がホンモノの楽器並みに花開いてる謎仕様だよ。

 初見で笑わせようとしてんのだろうか?

 そーやって隙を作ってから発砲するつもりなのだろうか?


 まあ、撃つどころか引き金に指を掛けられる前に照準、発動ってしちゃったから確かめようが無いけど。


 いやまあ、ソレを言うならあからさまに『天使です』って見た目のワリに死神みたいなおどろおどろしい大鎌持ってる黒髪黒目も大概だけど。

 因みに韓流とかJpopとか歌いそうなカンジじゃなく、ヒスパニック系のガチイケメンです。

 モンゴロイドの骨格じゃねえもんどー見ても。


 しかも、この黒髪が一番強いって言うね。

 最初に処した主人公っぽい赤髪以上の魔力で向かってくるし、その所為で他の近接戦闘系共への対処がおざなりになるって言うね。

 まあ、他の連中はまだ素手の変身体で殴り合えてる分だけマシだけど、にしても骨君と真正面から切り結べるとか凄いよ。


 まあ、三合目で鎌ごと真っ二つになったけど。

 いや~、やっぱり未だ上空に転移門が幾つも見えてると、どうしても出し惜しんじゃうよね。

 あとどれくらい居るのか分からないんだからしょーが無いけど。


 でもって、大鎌が崩れたらあとは一方的に終了ですよ。

 開きになった黒髪を物理干渉で処しつつ両翼に尻尾で他を迎撃。

 あとは一羽ずつ物理干渉で終わりってね。


 ま、ネタバレすると、こんな真面っぽい戦闘はコレだけだったんだけどね、アハハハ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ