表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
勇者の魔王育成はなまる日記☆  作者: レフ・エルザ
3/3

魔王たまご期②まおうさまごせいたん。

「なるほど、それでこのたまごなわけか」


カイトとリトに魔王城での出来事を話すと、カイトはたまごをみて顎に手を当てて考え込む。

たまごは今は静止しており、特に変わった様子はない。


「まぁ、考えようによっては平和主義な魔王様をそだてられるってことじゃね?そうなれば、この魔王だの勇者だの言う時代は終わるわけで、ある意味根本解決じゃんか」


「カイト、そう軽く言うけど、産まれながらに凶悪だったらどうするのよ。魔物の子なんかどんな様子で産まれてくるかわからないわよ」


カイトは軽くいつもの調子で答えるが、リトは体を少し小さく縮めるようにして自分の子を抱きしめる。

二人の言うのはもっともで、両方の可能性がある。

俺としてはリトの言う方に意見が寄っているわけではあるが・・・


「たまごの状態で破壊しちまうのは?」


「それもやってみたんだが、これがすごい防御力なんだ。正直、魔王成体よりもすさまじく防御に力が割り振られているようで、普通の物理的な攻撃も魔法も今のところ全く効かない」


「それでいてお前から離れないと・・・もう育てるしかねーんじゃね?」


苦笑いするカイトだが、こういうときに見せる笑顔は打つ手なしというのがいつものパターンである。

こいつはいつも軽く笑っている顔であるが、それが苦笑いになったときは本気でどうしようもないといっているときである。


「一応、王宮魔道士に頼んで、この呪いのような状態だけでも解除してもらえばと思っているのだが・・・」


「クロウくん、それ無理だと思うわ。そのたまごからは呪いの波動を感じないもの。たぶんだけど、刷り込みに近いんだと思うわ。貴方を親と認識しているのだと思う」


「なっ・・・!」


思わずたまごをみる。

聖職者であるリトは呪いをある程度知っており、簡単な呪いなら解くことができる。そのリトが呪いの波動を感じないのならば、事実呪いではないのだろう。

きれいなつるりとしたたまごのフォルムにはどうみても目はないが、これは魔物のたまご。ましてや魔王である。そんな不思議なことがあってもおかしくはない。

それにしても、こんなもうじき四十になろうとするおっさんを親認識しなくともよかろうと思うのだが。


「それに・・・王宮魔道士に見せるにしても、ちょっと間に合わなそうよ・・・防御結界を張るからこっちに来て!」


リトは我が子をベビーベッドに避難させてすぐさまカイトの前に出る。

俺はリトに腕を引かれてリトの横に並ぶ。それと同時に防御結界が展開される。

そしてそれから一拍おいたぐらいにたまごにひびが入り出し、中から光が漏れ始めた。


「魔王のたまごなのにずいぶんと神々しい孵化だこって」


カイトがぼやくのも無理はない。

まるで天使が産まれるかのようなそんな誕生である。

たまごの殻が粉々になり霧散すると、中から青みがかかった銀色の髪をした赤子が光の膜に包まれた状態で空中に浮かんでいた。赤子の大きさはちょうどカイトとリトの子供と同じぐらいの産まれて間もないような大きさである。


防御結界を必死に張っていたリトがふいに動き始め、新たに産まれた魔王に向かってゆっくりと歩き始める。


「・・・か・・・」


リトの口からため息が漏れるような声が出る。


「「か?」」


俺とカイトはそれをおもわずオウム返しする。


「かわいい!!!!何これ、これが魔王なの?」


先ほどの警戒が嘘のようにリトは魔王の赤子を抱きしめる。リトが抱きしめると光の膜は消えてリトの腕の中に収まる。


「きめた!私、この子も育てるよ!」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ