開戦
20XX年地球に大きな変化が訪れようとしていた。
扶桑立憲王国、ドルツ連邦を中心とする同盟国と連合国との戦争からすでに80年以上がたち、世界はこの戦争の勝利国側の同盟国側が中心となって秩序を維持してきた。
そんな中で新たに発見された資源、メタントラオムの存在が今まで長きにわたる蜜月関係を気づいてきた扶桑、ドルツ両国の関係を大きく変えようとしていた。
このメタントラオムは今までの石炭、石油、原子力よりも進んだエネルギー資源であったのだ。その生み出すエネルギー量ある程度の量で原子力発電所1基のおよそ数倍から数十倍ともいわれたのだ。しかもドルツ連邦本国があり扶桑が領土を持つユーレント大陸東部でしか採掘することのできないものであったのだ。
しかも、当時世界的に見つかっていた超能力者〈ルーラー〉の存在が混乱に拍車をかけさせた。ルーラーは何かしらのエネルギー媒体、電力、水力、火力、場合によっては位置エネルギーでも構わないが、それらなどを利用して様々な力を生み出し、単体の人間でありながら強力な力を手にしているのであった。
そんな中で、ドルツ連邦内でこのルーラーがメタントラオムを媒介に力を生み出し、ビームなような光線を手から打ち出し、銀行を襲う事件が発生したのだ。結果この事件では連邦軍が出動する騒動になったものの、この犯人を殺害するまでに連邦軍側も主力戦車3両喪失、一個歩兵中隊壊滅といった大損害を被ったのであった。
それを契機として一層のルーラーの軍事利用、特に、メタントラオムを利用したルーラーの軍事研究がドルツ連邦内では急速に進んでいくことになる。特にドルツ連邦軍内部急進派の将軍たちがその研究に興味を持ち支援したのだ。
もっとも、このメタントラオムの存在する鉱脈群の多くは扶桑側に存在していた。しかし、扶桑とドルツは大陸で国境を接しそれは資源豊富な鉱脈群に至っても同じことであった。そこで、扶桑側はある程度国境一帯の軍事的な増強を行うも、長年の友好国であるドルツとは共同採掘とういう形で開発を行い、領土の関係からその取り分は扶桑に多く分けるといった経済協力提案をドルツ側に持ち掛けたのだった。
誰もが飲むと思われた提案は案の定ドルツ連邦首相が歓迎の意を示し、議会与党の賛成も取り付けられたことで、その協力協定は見事に締結されたのであった。しかし、ことはそう単純にうまくは運ばなかったのである。
ドルツ側の一方的な開発要求、分配規則の無視、あげくには勝手な採掘の開始といった有様であった。
多くの扶桑国民はこの現状に怒り、現政権の無力をなじった。
扶桑側もなんども外交ルートを通してその無法をやめるよう申し入れたが聞き入れらず、
ついに、先週ドルツ連邦より正式の宣戦布告と宣戦同時攻撃が行われた。
臨戦態勢ではなかった扶桑大陸派遣軍は各戦線において敗北を喫し、国境沿いのメタントラオム鉱山の3割はすでに奪われてしまったのだ。しかも、先日には鉱山などの集中する北部の防衛の要である「白頭要塞」が陥落し、扶桑勢力はさらに追い詰められていた。
その、原因はドルツ側が実現したルーラーのメタントラオムを利用した新兵器による戦術にあった。
事ここに至って扶桑本国政府は全力の大陸領土の維持を決断、大陸に大規模増援を送るのであった。
ついに、地獄の窯が開いた。これが戦争なのだ。
人はトラオム〈夢〉を巡って争う。
それが、自滅への道とも知らず……
この戦争の経緯を説明しました
次回からが本編
お楽しみにゆっくり更新を待て!!