プロローグ
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「ヴィッー!ヴィッー!ヴィッー!……」
けたたましくなる警報音、緊急事態を知らせる表示が壁一面のディスプレイに表示されている。
「ダメです!!第二区に敵大隊規模で侵入、第5中隊応答なしっ!!!」
司令部員たちの悲痛な叫びがこだまする。
そう、いまこの場所は敵の攻撃を受けている最中なのだ。もちろん、侵攻に対しての精一杯の抵抗をここの守備隊は彼らの持てる力の限り行った。
それが、今一歩届かなっただけなのだ……。
「ぐッ…。もはやここまでか……。ただちに”アレ”を、搬出中のものだけで構わんっ!!輸送隊は緊急発進だ!」
「し、しかし閣下、それは本部の命令とは異なります。」
閣下と呼ばれるここの司令官である男は、目の前の自軍参謀の頭の固さに怒りを覚えつつも、今はそんなことを叱責している場合ではないと首を振りながら命令を繰り返した。
「もはやどうにもできんのだ…。敵に奪われるぐらいならある分だけでも急いで持ち出すんだ!!輸送隊は緊急発進!これは命令だ!!」
参謀はそれでも唖然としていただけだったが、参謀よりは幾分か頭の柔らかいらしいオペレーターが司令官の命令を即座に伝達した。
司令部の壁面ディスプレイに秘密滑走路から3機の中型輸送機が緊急発進していく様子が映し出された。ひどく、その姿は惨めなものであるなと司令官は思いつつその様子を眺めていた。
「敵、最終防衛線を突破!!このまま司令部に向かってきます!!」
滴る汗も拭く暇がないなと思いつつ司令官は呟いた。
「大山……。我が国と軍の未来は任せたぞ……。」
次の瞬間、突然一際大きな爆発音が鳴ったと感じたのが司令部要員のほとんどが最後にこの世で感知できたことであった。そう、敵軍の放ったミサイルと砲弾が司令部ビルを含めた一帯を直撃したのだ。
要塞は陥落した……。
しかし、戦争はまだ続く、否、これは始まりなのだ。
これから起こる流血と悲劇の幕開けなのだ。