私と彼と
「愛」の別視点、彼女視点の物語です。
まだ「愛」を読んでない人は話が分からないので読んでからこの短編を読むことをオススメします。
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『私と彼と』
……バカ
今日から日記を書こうと思います。
私と彼、旦那との日記を。
こういうのを書いたことない私がなんで書こうと思ったのか。
それは彼が突然倒れたからかな?まだ私の中でも整理できてなくて、それをするために書くのかもね。
朝、そろそろ彼が起きる時間かな?とか思いながら朝ごはんと彼のお弁当の準備をしていたら突然、本当突然なんです。バタン!って音がして音の方を見たら彼が倒れてて、もう本当わけがわからなくなって……
ごめん、こんなことが書きたいんじゃないの。
今日の出来事だからまだ気が動転してるのかな?
今日は1日病院で彼のそばにいたの。
全然目覚めない彼を見ながら私はお医者さんの話を頭の中で整理していました。
お医者さんが言うには彼はガンだそうです。
それも場所が悪い上に病状が進行していて、広範囲に転移している為、手術しても意味がない状態だそうです。
私はその話を聞いた時、ふとある日の出来事を思い出しました。
その日は彼がいつもより早い時間に帰ってきて、私といつも通り一緒に晩御飯を食べてた時なんですけど、彼が突然泣き出したんです。それも自分が泣いてることに気付いてなかった様で、私が質問してもなかなか答えてくれませんでした。
それになんだか怯えている様な…
いや、私を怖がってる様な気がしました。
気のせいだよね?
次の日、私は彼を心配させてはいけないと思い笑顔を意識して病院に行くと、彼はケロっとした顔で退院するということを話し出しました。
私は驚いて入院しとかないといけないんじゃないの?と聞いても彼はただの疲労で倒れただけだと言い張って結局退院してしまいました。
私は彼が嘘を吐くたびに胸が痛かった。
なんで本当のこと言ってくれないの。
次の日、彼は有給を取って私に突然デートしようと言ってデートに誘ってきました。
もう、ここまでくれば彼の考えてることも分かります。
多分、最後の最後まで楽しもうとしてるんだろうなと。
私は一番の笑顔で彼とのデートに行きました。
本当、本当楽しかった。
次の日、彼はまた有給を取って私と1日家で一緒に居ました。
何をするでもなく家で私と一緒に。
買い物も一緒に行って、手を繋いだりなんかして買い物をしました。
本当楽しかった。
次の日も次の日も次の日も…
彼は有給を取って私と一緒に居てくれました。
楽しかった
最近、彼がトイレによく行きます。
彼は最近お腹の調子が悪くて困ったもんだと言っていましたが私は知っていました。
彼がトイレで苦しそうにしているのを。
私はトイレの扉越しにそれを聞いて泣いた。
泣いて、泣いて、泣いて、泣いて、泣いて、泣いて、泣いて、泣いて、泣いて、泣いて……
今日、彼が亡くなりました。
ごめんなさい。
ちょっと昨日は書ける気分じゃなかったので短くなっちゃいました。
彼の葬式は明日。
明日、このノートを彼と共に燃やそうと思います。
この想いが届く様に祈って……
大好きだったよ