表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/22

04・冗長

04



「エリゼ、いるか?」

扉を開けると、上から声がした。

やっぱり、上にいるらしい。

「いる。何、芙佐?」

「アイス、いるか」

「いる、来てよ芙佐」

諒承を得て、俺は鉄階段を上がる。風が心地良い。

校舎で一番高い場所で、エリゼは涼んでいた。ビーチチェアに腰掛けて長い足を投げ出してる。

「ほい、アイス」

「ありがと、なに、どうかしたの?」

「んにゃ、用は無い。単に購買で、お前好きだったろってさ」

ソレに、顔を見たかったのもある。

「ふふん、いい心がけ」

「お前、誰がコレ入れたと思うんだ」

「ソレくらい当然………ん、それでどしたの、コーハイチャンなんか連れて…何、マグメイルでも行くの?」

俺はそこで、後輩が上がって来てる事に気がついた。お前、パンツ見えるかもしれないのに、良く上がったな…そう思ったが、それよりもエリゼの問いに俺は答えた。

「お前、忘れたか」

つまらない話、つまらない事実。もとより彼女が忘れる訳がないのだが、それを言うのは何らかの意図があってだろう。実際、彼女は底意地の悪そうな微笑を浮かべて言った。

「ああ、そそ、そだったうん」

言って、胸ポケットから、煙草を取り出す。

マールボーロのミントだ。職員室からガメた奴だろう。入手場所なんて決まっている。

生徒も持ってるかもしれないが、それよりもループ開始時に職員室で拾った方が早いし。

「最近、行かないし戻ってこないしね、みんな。戻って来ても教室ゾンビになるし」

エリゼは、その片目で俺を見る。中学時代の怪我。変色した瞳が俺を見つめる。

「俺はお前がゾンビにならないのが不思議だよ」

視線をそらし、言う。

「やだー、なにそれ面白くない。暇つぶしの手段なら色々あるもの」

でかいラジカセを、彼女は蹴った。カセットテープまで使える奴。

「何処で見っけた?」

「んー拡張組が行けるようにした、表の民家倉庫から。いいよ、90s」

「お前はそうだもんな。何聞いてんの?」

「電気グルーヴのシャングリラ…なに、その顔。芙佐だってギター弾けるでしょ?」

頬を掻く。

そんな時に、森久保の声がした。

「せんぱーい、戻りましょうよ」

いたな、そう言えば。

「森久保、じゃ、戻ればいいべ、お前いらね」

「べって…しかもイラネ?何ですか、雑くないですか私の扱い」

「おこちゃまだからな」

「おきゃちゃまってなんですかー!!」

事実だろうが、俺は黙っていたが内心思った。そして、意外な事にエリゼが俺を援護した。

「そだよ、芙佐。ちびっ子いでしょ?」

「ああ、そだ小さいもんな、おーよしよし、帰れ、ハウスだハウス」

じとりと、森久保は視線で訴える。なんだよと、俺は言おうとして、エリゼに袖を引っ張られた。

「…あ、そだ、芙佐」

「なに?」

「こないだ戻ってきたグループに着いて知らない?」

「…誰?」

「ほら、腐肉…コロッセオ踏破のパーティー」

話題が、思わぬ方向に転がった。どうでも良い話題だ。

「お前もか」

「お前もって、なあに、誰かから聞かれた?」

「コイツ」

「ああ、そ、ちびちゃんから…でねーちょっと、話題になってんの」

「何が?」

俺が聞くと、彼女は煙草に火をつけながら言う。

「ん、いや、そのね。腐肉を倒したのは、リーダー。って電影部が放送したじゃん?」

「そだな」

話しが長くなりそうだし、日差しも暑いしで、俺はエリゼの近くに座った。

「でね、ところが噂になってんのよ。腐肉を殺したのは、別の奴だって」

「ほぉ…そら、荒れるな」

「でしょでしょ?」

「それで、エリザは何が気になる訳」

一番の疑問。それに、彼女は次の用に答えた。

「んー、嘘つきは行けないなーってそれだけ」

「嘘つけ、お前がそんなもんか」

煙草を抜く。そんな事、思っても無いくせに。

「ヤダ、手癖悪い」

「うっせ。でだ、俺はお前が、そんな野次馬根性でいってねーと勘ぐるんだわ」

アイツの吸う煙草の先に、煙草を押し付け火をつける。ミントの呼気が肺と舌に充ちる。不味いんだよな、だけど吸えるから不思議だ。

「え、そんなに信用ない?」

「ビッチが言っても説得力がな」

「えーひどい、ギャルって言えよ芙佐。…ってね、本題だけど」

エリゼは煙草を捨てる。

「そのパーティーの一人が殺されたわけ」

俺は、思わず顔を森久保と見合わせた。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ