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取材・檜山定家

リーダー 檜山のインタビュー



だから、僕はもう話しただろ。嫌いなんだ、噂のせいであれこれ聞かれるの。

僕が倒したんだ、『腐肉』は。

ラビの安城が、殺したのは末海って言ってた?よせよ、あんな嘘つきの言う事を信じるなんて。しってるだろ、アンタなら。ラビってのは、クラスの中で、いるかいないか分かんない空気みたいな奴がなるんだ。パーティーだって、そうじゃんか、クラスの中でジョブを得た奴が集まるだろ。

だからさ、本当は安城みたいな奴を入れたくなかった。

ソレ以外はいい仲間だった。別に、安城が嫌いって訳じゃない。アイツのお陰で助かりもしたけど、傍観してる奴がいるってのは僕は好きになれなかった。ああ、僕が個人的に苦手だから、アイツも僕が苦手なんだろう。

だって、そだろ、ほら…遠藤班みたいにさ後藤みたいな真面目な奴ならいいけど、安城は何を考えているか分からないし。だってそうだろう、この学校が丸ごと、ソシャゲの中に取り込まれた時も、アイツが真っ先に校門に向かったって話じゃないか。

だいたい、ラビなんてパーティーに何も貢献してない。

それはさ、ダンジョン内で全滅した時、奴らがいればその場からリスタート出来るし、アイテムドロップも無効になる。けど、シングルでやってる奴らだと、『公衆電話』から復活出来るし、正直イラナイと僕は思ってる。ソレをさ、卜部や末海が必要だって言うから…

え、何だって、四股?

馬鹿を言うなよ、どうしてそんなことすんだよ。僕は栗栖と、学校がこんな状況になる前からつき合ってた。だってのに、なんでそんなことを――どうせ安城だろ?アイツは、ひがみやだからな。何も装備出来ないし、何も攻撃されない。空気みたいなアイツらしいよ、本当に。

で、最終決戦の時だって?

いいよ、話すよ。

話せばいいんだろ。替わりに女の子の事は聞くなよ。

最初に前提だけど、僕らは、『メイグメール』でも北方を中心に攻略していた。現状、メイグメールの外へ行けないってのは、攻略組の共通見解だった。で、攻略されているダンジョンを中心に、何度でも潜れる事は知ってるだろ?その中で、一度か二度しか…ああ、メイグメールの住人がクリアしてる可能性はあったけど、攻略されていない『コロッセオ』を目指した。

『時計廟』とかに他の攻略組が向かっている間に、僕らで『コロッセオ』の腐肉を討つ算段だった。

もちろん、反対も出たよ。ダンジョンの分布はメイグメール全島に散在してる。それに『テイルノーノルグ島への橋』など、皆で攻略すべきだって事も分かっていた。

けど、僕らには、ある不安があった。

それは、最初に『メイグメール』の謎を解くよりも、もっと現実的な問題。

装備と、アイテムの上位パーティーの寡占だよ。そうしないと、僕らが帰還出来ない可能性があった。…あんまり、君らは実感ないか。そうだよな、拡張していればいいんだから。

どこまで学校の外まで復元出来た?その話はやめとけって?ああ、生徒会長か…その話にも言える事だけど、僕ら攻略組は『メイグメール』からアイテムを持ち込める。で、生徒会長はもしかしたらあっちから何かを持って来てるかもしれない。

そうじゃなきゃ、一年が就任出来ないだろ?

その話はやめよう。どうせ、まだ、選挙まで時間はあるさ。

で、僕ら攻略組の危機感というのは、そのアイテムを独占される事だ。別に、ソイツらが真面目にクリアしてくれればいいけど…ほら、あったろ。PKに発展されたら困るんだ。なにせ、メイグメールで稀少装備とか普通のアイテム問わす、頭の数が決まっている可能性があるんだ。

例えば世界に5しかないアイテムを独占されるのは不味いんだ。

え、無ければ代用すればいいだろう?

そうしたいんだけどね、例えば、学校に戻ってくるアイテムの上限が決まっていたとしたら?或は消費されたら戻れないとしたら?僕らの不安はソレだよ、だから、僕らはクリアを目指しつつも…同人コッチに変える事を考えてる。

その前提の上で、僕らは『腐肉』の持つ簪を狙っていた。ソレが在れば…仮に死亡から蘇るアイテムが尽きても大丈夫だと考えたからだよ。反対意見は出なかった。僕らは何度も死んでたから、死から復活出来ない恐怖なんてのは味わってたから。

唯一、反対したのは末海だったな。アイツは、まだクリア出来ないダンジョンを目指すよりも、底上げを優先すべきだと言ってた。けど、攻略組が一枚岩でない以上、僕らも対策を練らないと行けなかったからね。

『名もなき王府』は、もう攻略されていた。なにせ、学校から転送されるサークルに一番近いから。だけど、最新部の『オケアノス』へは誰もいこうとしなかった。レベルからして段違いの敵が徘徊してるんだ。自然と、僕らも慎重になった。

特に僕らは、後衛に頼った編成だったしね。前衛は僕と末海。僕が機動力で翻弄して、末海が皆の盾になる。大寺と荻窪の火力で押して、それを卜部と栗栖がフォローする。…途中はいいって?

安城から聞いたんだっけ。アイツ、嘘ついてないだろうな。

じゃあ、その最終決戦を話そう。

僕らは、マモノやアンデットを退け、深部に向かった。酷かったよ。回復アイテムもギリギリ、撤退も考えたけれど、この機会を逃せば、再度潜れる可能性も無かった。なにせ、徘徊するモンスターは完全に読めない。それに、腐肉と一度でも戦っておきたいというのも在った。

だから僕らは腐肉に挑んだ。

で、戦いは長引いたよ。スリップダメージを与えてくる上に、状態異常攻撃の多い事。

それに、僕の竜が死んだ。お陰で、さらに戦いは泥臭くなった。回復の栗栖がカウンタースキルでやられていっきに旗色が悪くなった。攻撃の頼みの大寺が死んで、荻窪一人になった。なんとか、末海が卜部のステータス底上げで凌いでくれてたけど、それも持ちそうになかった。末海が耐えてくれたからよかったものの、僕らはアイテムをほぼ使い果たしてた。カウンターで、卜部がやられた時は、もう駄目だと思った。

その時だよ、僕が思いついたのは。

しってるだろ、フィニッシューブロー。捨てる物を選んで繰り出す、僕らの技。大半はMPとかライフ、それかスケープゴートのアイテムを消費してぶっ放す必殺技。僕のジョブはドラゴンライダー、だったら、やる事は一つ。僕はね、自分の竜を犠牲にしたんだ。だから、腐肉を倒した。実際、そうだろう?インタビューにもそう答えたんだし。

もういいだろう、あんまり話したくないんだ。

なんだって、僕が末海を殺した?君は何を言うんだ、どうしてパーティーメンバーを殺す必要がある?仲間だよ、彼は安城なんかより、ずっとずっと。それをどうして殺す必要があるんだい。馬鹿な事は言うなよ。

さすがに君が女の子でも、僕は怒るよ。アリバイがない?だから殺す訳無いだろう。

それに僕は大寺と一緒にいたんだ。途中、ジュースを買いに出たけど。



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