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01・返答

01



さて、私は答を考えついた。

それでそのまま先輩に言ってやろうと思ったのだが、予想外の自体が起こった。なんと末海先輩の死体?が消えたというのだ。それなのに、慌てたのはパーティーのメンバーだけで、芙佐先輩は気にもしていない様子だった。むしろ、予想通りだなんてエリザ先輩に言っていた。

そんな対応を取られると訳が分かんない。もしかして、先輩が殺したのかなあ。いや…無いでしょ。先輩、ヒョロいし、そんな凶行におよべる程強そうでない。

「で、答え合わせに、なんでアタシのとこにくるのかなー後輩ちゃん」

「エリゼ先輩なら、客観的に見てくれるかなって」

私は、屋上に上がっていた。ワンゲルから、折りたたみの椅子を借りて彼女の隣りに腰掛ける。

「んー、アタシ、推理得意じゃないんだ。だってフェアな書き方しないもん。それに本なんてあんまり読まないし」

「だからいいんです」

そう、エリゼ先輩なら芙佐先輩と違って、口先で丸められるってことも無いだろうし。

「そ、じゃ名探偵さん、教えて」

「…じゃ、行きます」

「はい」

「今回の事件ですけど」

「うん」

「犯人は、ワタシ、卜部先輩だと思うんです」

「ほうほう」

エリゼ先輩、煙草を付けながら言った。

「動機と言うのは分からないんですけど、アリバイが無いのは荻窪さんと卜部先輩だけなんですよ」

「あー、その時間に自由に動けると言う奴ね?」

「ええ、だからってのと…檜山先輩の四股の話しですけど」

「何ソレ知らない。檜山君、そんなに遊び人だったんだ」

「らしいです」

「ふーん、上手いのかな」

何言ってんだ、この不良少女。

「その上手い下手は別です」

「えーでも、大事よ。下手だと痛いし」

「だからやめてくださいって。それで、四股してるって安城先輩から聞いたんですけど、でも卜部先輩は違う様子だったんです。となると、本当は、卜部先輩と末海先輩が出来てて…なんだか不味い事を知られて、殺したんじゃないかなと」

私が言うと、エリゼ先輩は煙草を美味しそうに吸った。彼女は長く細く煙を吐いて、私に言う。

「じゃ、腐肉は誰が殺した訳?」

「私は、檜山先輩だと思ってます」

「その理由は?あんまり、アタシ、あのパーティの設計分かんないから、そこ含めて教えて」

「…いいです。で、檜山先輩班は、後衛重視の編成です。前衛が防御のパラディン、機動力の竜騎兵、魔法に魔女、狙撃でガンナー、回復にヒーラー、ステータスアップと前衛補佐にダンサーの組み合わせです」

私が言うと、エリゼ先輩は意外そうな顔をした。

「あら、本気で攻略する感じ。でも、二次職までだから以外とアレかな、進めてはないのかな?」

「え、二次の上なんて在るんですか」

「在るよ、普通に。条件シビアだけど。また、高次職程、応用が行かないしね」

「そうなんですかって、話しがズレてますよ。で、戻すんですけど、攻撃力から考えても、殺せるメンバーは限られてくるんですよ」

「そうね、パンチ力で言ったら、前衛二人か、魔女、ガンナーしか出来ないもんね」

「それで、ラビの安城先輩は殺された末海先輩が殺したって言ったんですよ」

「なあに、実際は違うの?」

「私は、安城先輩が嘘着いてるんだろうなと。フィニッシュブローで倒したのは間違いないんですけど、殺したのは私は檜山先輩だと思います。ただ、ライフゼロで死亡。…で生きてたから末海が殺したって安城先輩は言ったんだって」

「根拠は?」

「他のインタビューで、死んだ順番も含めると、安城先輩が嘘をついたと考えるのが妥当ですから…その、檜山先輩と不仲らしいですし」

「なるほどーね」

と、エリゼ先輩は言うと、私に質問した。

「じゃあ、ミステリ初心者から質問なんだけどいい?」

「どうぞ」

「あのさ、証拠はないじゃん」

「そうですね、ちょっと無理ですもん」

「うん、だったらさ…そんなの違うと否定すればゴリ押せるんじゃないの」

「…う」

痛い所だった。そうなのだ、凶器が無い以上。また指紋や物的証拠が無いこの状態だと、推論以外に犯人を割り出せない。

「けど、ソレ以外に何が出来ます?」

「何も出来ないね」

けらけらと、無責任に彼女は笑う。

「私なんか嘘つきだからさ、誰が嘘をついてるかなんてわかんないもん。と言うか、私はなんか違う気がするんだけどなー」

「ソレは嘘をついてると言う意味で?」

「そ、だって、話すと思う、部外者に。目撃していない状態で、想像だけってねえ?」

もっともな意見。だってそうだもん。

誰も見ていない、けれど話しを聞いたのは間違いないんだから…

「でも、それを言い出したら、私たちって意見の交換なんて出来てないと思うんですけど」

「そうじゃなないの?わたしなんて、会話ってのは双方の欠けた部分を想像力で補う物だと考えてるんだけど」

「それって、会話が辛くないですか?」

「えーでも、親しい…と言うか、自分と同一な考えの奴と会話して楽しいのは自分と話してるから面白いんじゃないのかなーとかって、私は言っちゃったり」

「答えになってないですよ、先輩」

私が言うと、んーと、えリザ先輩は悩む。

「だって、あんまり頭を使っても仕方ないじゃない。ねえ、賢い事が美徳なのかしら」

「人よりも、優位に立てますよ」

私が言うと、エリゼ先輩はそれで、と言った。

「どうなんだろうね、賢い事は道を早く歩ける事だと思うの」

「なんですそれ」

「私の考えてる事。答えって言う終着点に、早く歩ける方が、早く着くでしょ」

「そうですね、それは当然です」

ウサギは慢心しなければ、鈍足の亀に追いつかれる事等無かったろう。

「けどね、私は馬鹿でいいと思うの。疑問を持てる馬鹿の方が」

「なんでですか」

馬鹿がいいと言う神経がわからなくて、私は聞く。また似た事を聞いたっけ。

「んーとね、だってゆっくりの方が回りを良く見れるでしょう?それに真面目に歩いてたら答えにたどり着く。なら疲れない馬鹿の方がアタシはいいかなってさ」

「よくわかんないです」

同意しかねる意見。

賢いならば、それでいいじゃないですか。賢い事は力だと私は思うんだけど。

「まあ、そう思うだけ、アタシがね。でも筋は通ってるんじゃないかな?」

「本気で言ってます?」

「まあまあ本気」

そう、エリゼ先輩は笑った。

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