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「有り得ない」
「どうすんの、もう引けない」
二人の人影が声を交わす。
「…やるしか無いだろう。俺が引き受ける」
少年が一人、剣を執る。
「無理だって、勝てっこない!」
縋る様に、少女が言う。
「いや、まだだ…手はある」
振り払い、彼は前を見る。
目前には蠢き脈動する骸。
「死ぬ気?」
少女の問い、それに少年は剣を掲げ答えた。
「死にはしない。僕が練度が一番高い」
「だからって」
「それに遅かれ…こうすべきだと分かってた」
その足を止めず、振り返らず、彼は構えをとる。
歴戦の具足を鳴らし、彼は死地へと飛び込んだ。




