00・余談
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暇つぶしで、俺は話しを切り出した。
場所は校舎屋上、ビーチパラソルとビーチチェアはセット済み。
どこからか、彼女は冷蔵庫まで用意していた。
「なあ、エリゼ」
「なに、芙佐」
「俺さ、思うんだけど」
そう言うと、彼女はコーラのペットボトルを開栓しながら言った。
「どうしたの?」
「女子の制服がなんで、パンツルックじゃないか不思議なんだ」
「…別にスカートでいいんじゃない?可愛いでしょ、スカート」
「そりゃそうだ、確かに可愛い」
生足はいいもんだ。けれど、俺は思っていた事を続ける。
「しかしだ、この男女平等の世において、性差を顕著に表す格好もどうなのだろうか?男子は、タイ、女子はリボンと、これも差別じゃないか?北海道のどっかににはスラックスが制服の高校があるらしいんだけど、俺はそれを全国に広めるべきだと思う…そしたら痴漢とか減ると思うんだ」
なにそれ、馬鹿でしょうと、彼女は笑う。
「いや、でも、考えてみ」
「うん」
「スカートじゃないんやで、パンチラの危険も無いんやで?」
「似非、関西弁は気持ち悪いけど。一理あるかな?でも、みんなが選ぶとは思えないけどね」
「なんでよ」
「可愛くないじゃん?流行っても無いし」
「なるほど」
俺は、納得した。コーラくれと、言うと、エリゼは飲みかけのボトルを手渡してくれた。
「…しっかし暑いね」
「そう?以外と風が通るからいいんじゃない?」
と言っても、空には入道雲が見えるんですが。
「クーラー使いたい」
「涼んで凝ればいいじゃない、職員室とか、校長室とかで」
「あ――、アリだけど、どうせどっかの団体が占領してるよ、やだし、一人で行くの」
「変な所でボッチを主張するんだ、おっかしいの」
「お前に言われたかないや」
俺が言うと、健康優良不良少女は笑う。
「駄弁る友達がいないわけじゃないし…面倒だしね、女って。一人の方が気楽なの」
「お前、非常に乾いてるもんな。男みたい」
「ヒッど、それ女の子に言う台詞?」
くすくすと、彼女は笑うが俺は笑えない。
「その女の子に喰われたんだが」
「後生大事にもっておく物でもないでしょ?」
「もっと情緒が欲しかった。あんなのやだったよ…」
「あー、うじうじと。駆け足が嫌だった?」
超露骨に、エリゼは情事を口にしようとした。俺は慌ててやめさせる。
「そうじゃない」
「そうじゃないって、何?まさか、キスだの手をつないでだとか、愛してとか…言って欲しい訳?」
「ごめん、俺が悪かった。お前に、そんな純な台詞は似合わない」
「あら、失礼ー。自分だって、冴えない外見のくせに」
「かっこわるいのは今だけだ。金さえ在れば、サロンにも行けるチャラい服も買える」
「金があったら、アンタの事だから趣味に消えるんでしょ」
「ばれたか」
俺が立ち上がると、彼女は煙草を抜いて言う。
「そう言えばさ、ど、楽になった?」
「んにゃ…お前こそ、どうよ?」
エリゼは、煙草に火をつけながら言う。
「んー、夢を見てるって感じかな」
「俺も同感。信じられない。もう繰り返しも20日過ぎてるけど」
「出たのが、3日目だっっけ」
「そ、で、戻って来たら、まだ7日しか経ってなかった」
「笑えるよなあ」
「そ、ワタシ、未だに、これがまともだとは思えない」