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ブラバン!!  作者:
3/7

出会い

「廊下にすら、人が少ない…」

 

 昇降口に近い方が五組で、奥に続いている形の教室だ。そんな廊下を歩きながら他のクラスを覗く蒼。教室の中には、誰もいなかったり、数人いたりとまばらだった。

 

(げ、また目ぇあった。知らない奴ばっかだな…)


 二組の教室を覗いたら、中にいた男子と目が合ってしまった蒼。必死に明後日の方向を向き、足早に通り過ぎる。四組の教室を覗いたときにも、蒼は同じことをしていたため、気まずさが増していた。


(…どっか人のいないとこって、ないのか?)


 一組の教室を覗き終わった蒼は少し考えた。左には、反対側の校舎に続く廊下。まっすぐは行き止まりで男子トイレと、少し手前に階段がある。


 「こっち側の校舎には、教室しかないよな…じゃあ、あっちかな」


 昨日の夜に、高校生活に浮かれた蒼は校内図をずっと眺めていたため、脳内に地図がある。

 三階建ての校舎は、北と南に分かれており、北の一階に一年の教室。二階に二年と上に行くにつれ、学年も上がっている。

 反対に南側校舎には、そのほかの職員室等がある。


 それを知っている蒼は、南校舎を見て回ることにしたのだった。


 「…?なんだ、これ?」


 南校舎の階段を登りながら、ふとした違和感が蒼を襲う。それは二階に着くと、確実なものにかわった。


 「…音、的に…ブラバンの朝練か?」


 近くなった音は、それでもまだ遠く、三階から聞こえてくるようだ。蒼は、恐る恐る三階への階段を上っていく。


 「……!」


 階段を上りきったとき、思わず息を呑んだ。


 同じ制服に身を包んだ女子生徒が1人、窓を開けてトランペットを吹いていた。

 力強く、とても優しい音色。溢れ出す生き生きした音に、息をする事を忘れて魅入っていた。


 その生徒との出会いが、蒼の高校生活を鮮やかに彩ることになるとは、このときは思いもしなかっただろう。

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