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『ベルギーの白き大地を血に染めて――』1



さてさて、役数ヶ月ぶりに大変お待たせしました。

前回から一変して、いよいよナチス空軍による一大奇襲作戦『Bodenpiatte』が発動します。



今回は、エリーアス達とは逆になる連合国側での、とある若きパイロットから物語は始まるのだが。


ベルギーアッシュに点在する基地。地獄を未だ知らない兵士達はこの戦いで――


そんな訳で

『1945年元旦Bodenpiatteの空へ――』

始まり始まりっ!




 



 清々しい早朝の新鮮な空気を肺一杯に吸い込む。

 冷えきった大気に混じり白い息を吐き出し、微かに霞むように、ベルギー、アッシュを取り囲む美しい山脈の景色に溶け込む。



「お〜い。スカッシュ! 朝っぱらから何を寝ぼけてる? 昨晩の酔い醒ましもいいが風邪ひくぞ」



 淡い色の金髪を風に揺らしながら一人の青年は、伸ばした両腕をそのまま錆付いた手摺りを掴み。半身を乗り出し、遥か下方を除く。

 索敵用に設置された展望台の真下から知り合いの顔が除いている事を辞任するのだ。



「なんだ、英国産のゴリラ軍曹かと思ったぜ」


「おいっ! いくら何でも言い過ぎだぞ。まぁ、ここは最前線でもないし…たまには、はめを外すのも悪くないがな。だが昨日までだっ! 今日から又気を引き締めるように」



「イエッサーッ!」



 やれやれとズレたキャップを治しつつ、配属されたばかりの米兵に対しため息を溢す。

 無理もない。連日続きの訓練で、要約休暇が取れたのか。

 昨夜での同僚達と明かした大晦日でのパーティーを、思い出してはふっ…と自然と笑顔が零れる。



 既に敵対するナチス空軍も、もはや戦力的に衰退し、未だ各地で激突はするものの、ようやく終演を迎える。



 隣国ポーランドの突然の進行から始まりヨーロッパ全土を巻き込んだ、一握りの独裁者が招いたこの殺戮劇も終演を迎えると――



 遠い故郷に残した家族達の顔を浮かべては、自然と気分は浮き足立つのは当たり前なのだ。



「最前線では今頃まだ戦っている同僚が居ると言うのに、呑気なもんだよ――しかし……ん? 聞きなれないスキール音が微かに、あの並びは?」



 ふと、物思いに耽る彼の視界には。別の索敵の任務なのか、遥か上空に流れる雲の更に突き抜けた上方。 微かに見え隠れする総勢数十機からなる編隊を組む機影が視界に入る。

 早朝でのフライトでの偵察命令が下っているのだろうか、自身が佇む遥か上方から未だ顔を除かしている同僚に一言質問を投げ掛けるのだが?



「スカッシュ。あれは?」



「んあ、確か――今朝のフライト命令は、まさか? こんな場所を通過する機体は!」



 上方からしかめた表情を除かせる同僚の一言に、一声かけようと監視用に設置された施設に足を運ぼうとした瞬間。

 突如ここアッシュにある小さな基地全体を揺るがせる警報が鳴り響くのだ。



「おいおいおいっ。何時もの訓練にしちゃやけにリアルじゃねーか?」


「この風の匂い…俺の長年の感が正しいなら、おいスカッシュ! 貴様は早くこの場所から降りろっ! ようやくこの基地にもおいでなすったようだ」



「えっ? マジで!?」



 栗色の程よく伸ばした髪を片手でワシャリとかき分けながら左右を見渡す。

 熟練された感を働かせながら自身の愛機が格納されている機体倉庫に青い瞳を滑らせる。

 訓練でのサボり組なのか、けたたましく鳴り響く警報を何時もの事だと、彼の横をのんびりと通り過ぎる数名の兵士を捕まえては、 食って掛かるように、一言投げ掛ける。



「おいっ――貴様等整備兵だろっ! 敵が来ているのも分からないのかっ?」

「これはこれはダグラス大尉。今はあんたに構ってる暇はねえんだ、昨晩あんた等英国組がポーカーで騒いでる間、俺達整備兵は徹夜だってのによ。朝っぱらから」



「ああ、そうか――すまんが俺の機体を速く回してくれっ!」



「あのハリケーンをか? ダメだ! 今は武装の点検もかねバラしてる最中だ…その代わりだが、取って置きの彼女を紹介してやる。前の彼女よか乗り心地はご機嫌な奴さ」



「彼女を?…面白い冗談だな。まぁ、今はそんな悠長してる暇はない。その彼女とやらを速く飛べるようにたのむっ」



 数名の整備員と意気投合したのか、彼の言葉に応えるかのように、付いて来いと言わんばかりに機体格納庫に駆け出す。 同時に地面を揺さぶりながら対空用の高角砲が激しく炎と黒煙を撒き散らし、砲撃が始まる。

 空一面を炸裂火薬の華々を咲かせる中を掻い潜るように、遥か直上から次々にバレル軌道を描き襲いかかるJu-87シュトゥーカ急降下爆撃機が視界に映る。



 既に索敵用のレーダーは遥か上空約2000フィートを飛行する機影を捕えていたのだろうか。

 担当の整備兵数名を巻き込みながらダグラスと名乗るパイロットは力任せに数名を突き飛ばし、地面に這いつくばり両手で頭を抱え、両目と耳を鬱ぐ。

 至近での炸裂による激しい爆風で両目が飛び出し失明する話は、当り前のように地獄を経験した陸軍兵士から聞かされているからだ。



「ぐっ!」



 彼が見上げる頭上から付近の数階建ての鉄筋の建築物が紙屑のように弾ける。 500ポンド級の火薬が真上から引き裂くような雷音と熱波に続く暴風を生み出す。

 必死に地べたに這いつくばり絶える彼の頭上を全幅13.82メートルの巨大な怪鳥がユモ211サウンドを轟かせ時速370キロで通過。


 一連のそれ等を一通り確認した後。見上げた彼の視界には、既に鉄骨が剥き出しになり果てたビルの残骸の山の各所に燃え盛る炎。

 

 鼻に突き刺さるもう慣れ切っているあの火薬臭に混じる。肉が焼ける嫌な匂い。



 目の前に先程突飛ばした数名の整備兵達は、こういう地獄に慣れていないのか。呆然と立ち尽くす様が映る。



「とりあえずは…あちらの倉庫は無事のようだな」



 冷静な感慨を研ぎ澄ましながら、先程前に駄弁っていた彼の悪友の一人。スカッシュの姿を瓦礫の影に辞任。



「ちっ! ほらスカッシュ、今回の爆撃部隊だけじゃないぞ。次も来る。だから早?……」



「そうか……後で貴様を拾ってやる。だから、とりあえずはここにじっとしていろ」



 両目蓋を伏せながら。ダグラスは、既に腕だけになった同僚に一言別れを告げながら。その他の整備兵と共に奇跡的無傷な機体格納庫へ全力で駆け出していた。



 ――そこにこの基地に配属されたばかりのこの時代に最新鋭になるP51D 銀色のアルミ独自の輝きを放つマスタング数機が次々と押し出されて行く様を見つめながら、ダグラスは自然と笑みが零れる。



「成る程――確かにスタイルのいい美人かもな」と――



次回へ続く――





今回に登場しましたキャラクターでの逆側での連合軍視点との切り替えで行けばという考えで行ったのだが……(― ―;



なにやら余計に話的に長引くような気がしますねっ。


まぁ、これからもボチボチと進めて行きますので、長い目で観ていただければ幸いっすねっ!(o‘∀‘o)



そんな訳で次回もお楽しみにっΣ( ̄□ ̄;)

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