『大空咲き乱れる華々を乗り越え――』
さてさて。約3日ぶりになりますこの企画話。
今回はついに日の出と共に始動する極秘作戦に参加するべく次々と。天空に飛び立つ機体。
その中には彼。エリーアスを含む小隊の姿があった。
そんな訳でっ!
エリーアス「始まるぞ――」
プロパガンダ――かつて狂気に駆られた一人の男の熱狂が造り上げた夢想。
千年王国。ドイツ第三帝國。誇り高きゲルマン民族による揺るがない世界統一国家。
かつてこの国の全ての者達がその男の熱狂に魅了され――夢想をそれぞれの胸に刻みつけた。
しかし、今は度重なる敗戦と言う名の厳しい現実を叩きつけられた国民に…彼の夢も又儚く人知れず衰退して行く定めなのか――。
ふとそんな哲学論を脳裏に描きながらエリーアスは自身の機体の操縦桿を握り。澄み渡る空を眺める。
朝の静寂を打ち消す数百の鳥達の群れに溶け込みながら。
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1945年1月1日午前5時45分。現在所有する全ての我が国の航空戦力を投入しての極秘作戦に参加するべく、メッサーシュミットbfー109やフォッケウルフfwー190を含む総勢約850機以上にもなる大部隊が早朝の淡い空に溶け込むように埋め尽くす。
ここブルックリン飛行場を飛び立ったエリーアスを含む総勢100機もの大編隊もこの極秘作戦に参加するべく次々と轟音を響かせながら合流する。
そこから約60機程の部隊を編成する。そこからオランダ。ベルギー。北フランスにある連合軍基地17箇所に奇襲攻撃を加え敵制空権を根こそぎ奪う決戦に挑む。この戦いは負ける訳にはいかないのだ。
時速約420キロで飛行する機体。キャノピー越しに東に聳える白き山脈の間から朝日が覗く様を両瞼を細め眺める。
1945年初の日の出を――果たしてこの元旦初日を無事に勝ち残り、首都ベルリンに置いて来た、たった一人の肉親。最愛なる妹を守り抜く決意を新たに固めながら。
彼が操る機体。bfー109gの垂直尾翼に描かれた鍵十字の脇に漆黒の片翼のマーキングが映る。日の出に照らされながら手前側から伸びる主翼を軽く上下に傾かせ、後続の彼の部隊にバンクを送る。
そこからエリーアスは、右手から左手に操縦桿を器用に持ち代え、キャノピーを開きながらスロットルレバーを少し絞り込む。
極寒の突き刺さる突風が地肌に直接突き刺さるのを我慢しながら更に空いている右手を大きく振りかぶるように指示を出す。
同じようにそれぞれ彼と同じ部隊約30機が続け様に同じくスロットルを絞り込み、左翼後続約七時方から後続の他部隊が次々と追い越して行くのだ。
前方に流れる味方部隊をある程度確認後。彼は再び指示を出し。キャノピーを閉じる。
今度は操縦桿を右手に持ちスロットルレバーを目一杯倒す。グッと堅いシートに押し付けられる感覚を感じながら足元のラダーと操縦桿を巧みに操作し、ダイムラーメルセデスサウンドを響かせ軽いバレル軌道から一気に上昇気流に機体を任せる。そこから高度約30000フィートまで次々と上昇をして北西側に機首を向け後続の彼の部隊のメンバー約30機もそれに続く。
ベルギーの白い凍てつく地平線が遥か下方に広がる。そこから索敵されずに高高度を飛行し、アイスランドを抜け、部隊の攻撃目標にもなるノルウェー沖ブレスト港を目指す。
前代未聞のドイツ軍航空兵力による初の艦船攻撃を成功させる為に。
同盟国による日本海軍による敵艦への航空機を使用しての攻撃で、艦船に対する航空攻撃は有効と立証されるも。未だドイツ国はその理念は全く無く、初の正式空母グラーフツェペリンも造船を中断。
そして旧来の大艦巨砲主義を持続する。
その象徴にもなる戦艦ビスマルク級もヤハリ旧式の英国海軍雷撃機ソードフィッシュに敗れ去ったのである。
そして、時既に遅いが彼を含むこの第223部隊『Schduaget』の漆黒の翼。約30機の精鋭が挑むのだ。
エリーアスは眼下に広がる地平線の先。別の攻撃目標地点で向かう部隊が飛行しているであろう箇所から数々の火線が上がる様子を微かに霞む景色から辞任する。
まるで花火でも打ち上げているような光が幾つも肉眼で辞任。味方のルフトヴァッフェの対空基地からだろうか。
この規模の大部隊での作戦は知らされていないので有ろうか。パチリと火花を散らしては無数の黒煙が死の華々を咲かせて行く。
そう、既に制空権を連合国側に奪われた今は大部隊イコール味方では無く敵である連合国側だと信じきっているのだから。
約100機以上の数の内一体何機の味方が同士討ちで命を落として行く。
ベルギーの白い広大な大地に無数に設置してある140ミリ高角砲から打ち出された炸裂火薬が空中で弾ける。
脇を勢いよく通過する味方のbfー109が主翼が吹き飛ばされバランスを失い、燃料に引火。
炎を吹き出しながら地面に約420キロで激突し、再度激しく燃え上がりながら地面に激突。破片を撒き散らしながら四散する。
更にその火戦を察知して嗅ぎつけた一部の敵編隊とも交戦を始めたようである。
「(くっ! 全く上層部の連中は、何をバカな事やっているのだ。この無駄な相討ちで一体何十人の貴い精鋭達の命が)」
ぐっと胃の奥から込み上げて来る嫌なザラつきと苛立ちをじっとこらえながらエリーアスは自身の部隊に機体のバンクを振りながら指示を出す。
嫌な決断を下すように下方に展開する味方機編隊を見捨てるようにこの混乱に乗じて更に北西に迎えと。
高度30000フィート付近。地上と違い零下30度を超す大気を受けながら凍り付くキャノピー越しに映る下方で味方の対空と敵編隊との空中戦に更に混乱する味方大部隊に対し。
"すまない"と一言酸素マスク越の口を開き別れを告げる。
そしてエリーアスは自分達の攻撃目標地点であるノルゥェー沖、そこにあるブレスト港に停泊する連合国軍空母艦隊に向け自身の部隊30機を引きつれて突き進むのである。
更に無理矢理だが次回へ続く。
エリーアス「さて。いよいよ次回からは私達漆黒の片翼が活躍します」
光雄「そしてっ! 俺さま?」←
エリーアス「くっ! 出たな妖怪ピンク頭っ。前回も前々回ものらりくらりとっ」パンッ! パンッ!
光雄「うっは? んだから危ねっつの」ヒョイッ…
マリオン「あだっ! あたたっ! ったく人が居るのにってはれ?」
光雄「んなっ!」
エリーアス「え? まさかこのいつぞやの水色。銃弾が効かない?」パパンッ!
マリオン「いたたっ!」
光雄「なぁ…一つ忠告するが。多分あいつにいくら撃っても」
エリーアス「………」パン
マリオン「ひくっ…」ぱしっ
エリーアス「ひぃっ!? んなアホなぁ!?」
マリオン「さっきからあなた等。いい度胸してるよ!!! 二人纏めて消し飛べやぁ!!!」
「「…来た! 変なの来たっ!うぎゃぁぁぁぁぁ!!!」」
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哲也「ひっ!?…みなさんも"マリオン"っつー変態を見付けたら無闇やたらに発砲するなよ!?」
響「えっ? 哲也っ。後ろっ!後ろに!?」
マリオン「ひくっ……」
「「―――!!!?」」