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7. 寝たり起きたりの生活です

お久しぶりです。

少し間が空いてしまいましたが、また少しずつ更新していこうと思います。目指せ、完結!

それから三日が経った。僕は、毎日朝日と共に起きて、寝起きしている(やしろ)の周りを一回りしてから、森へ行く。あの日自分が立っていた台まで、ただ行って戻ってくるだけのこともあれば、少し木々の間を散策する事もある。


けれど、いつもほんの少し歩いただけで、こちらに来たあの日のように体が怠くなって、ひどいときには立っていることもできなくなる。


電池が切れたように地面に蹲っていたところを、何度かユクリトさんやスバルナさんに助け起こされ、社まで連れ戻されて、そっと布団に寝かされるということを、この三日間、何度も繰り返していた。


今日も、あの日僕が立っていた台の上に腰掛けて、ぼんやりと虚空を見つめている。すると、どこからかピチピチと小鳥の鳴く可愛らしい声が聞こえてきた。


(どこだろう?)


ぼんやりと思うけれど、体も頭も重くてその声の主を探すのも億劫だ。


と、お尻の横についていた手の甲にふわふわとしたものが触れる。柔らかいものを感じた手に、力なく視線を向けると、真っ白い小さな小鳥がいて、一生懸命僕の手に頭を擦り付けている。


「小鳥さん、何してるの?」


声をかけると、小鳥はピッと短く鳴いて僕を見上げた。


ピピピピッ


何か言っているみたいに鳴くけれど、残念ながら僕は鳥語は分からない。困って首を傾げていると、小鳥がパッと飛び立った。


「神子さま、こちらにいらっしゃいましたか」


かけられたのは低く穏やかな声。スバルナさんだ。


僕の護衛だという彼は、日中は毎日僕の様子を見にきてくれる。はじめは僕が行く先へ毎回付いてきてくれていたんだけれど、僕が社の周りか森にしか行かないことが分かったのか、いつの間にか一人にしてくれるようになった。でも、僕がなかなか戻らないと、こうして心配して探しにきてくれる。申し訳ないなあ。


「・・・」


声も出す力もなくて、スバルナさんをただ見つめると、すぐに近くへ寄ってきて、僕の膝裏に片腕を入れ、もう片腕で背中を支えて抱き上げてくれた。


気恥ずかしいし申し訳ないけれど、今日はもう限界みたいで、意識を保つのも難しい。僕はされるがまま、スバルナさんの胸に頭を預けると、全身の力を抜いて目を瞑った。


すぐに沈みこむような眠りに落ちてゆく。この三日間、何度も落ちた底の見えない沼のような眠りだ。


嫌だなと思っていると、温かい手が頭を撫でてくれた気がした。けれど、眠りに落ちかけている僕には、それがスバルナさんの手だったのか、子どもの頃の遠い記憶が思い起こされただけなのかはよくわからなかった。

しばらくは一日おきに更新します。

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