2. 護衛の人がついてくれるそうです
今日も宜しくお願いします!
僕がためらっていると、背の高い男の人が静かな様子で近寄ってきて、台についていた階段を二段ほど上ると、そっと手を差し伸べてくれた。穏やかな微笑みに思わず、おずおずと彼の手を握ってしまう。
(初対面の人の手を握るなんて!)
引っ込み思案な僕は、普段ならそんなことは絶対にしないのに、この時はなぜか、彼の手を取るのが自然だと思ってしまったんだ。
「神子さま、まずは落ち着いてお話しできる場所へ参りましょう。私はスバルナと申します。これからは私があなたをお守りいたしますことをお誓い申し上げます」
「僕を・・・守ってくれるの? 落ち着いてお話って・・・ここはどこ? 何が起こっているの?」
見知らぬ場所と見知らぬ大勢の大人たちに、不安でたまらなくなって思わずスバルナさんに言い募ってしまったけど、きゅっと優しく手を握られると、ハッと我に帰って口を噤んだ。
ひとまず導かれるままに台から降りると、台の下に集まっていた人々がさっと道を開けた。
(なんだっけ、これ。モーセの十戒、だっけ)
こんな時なのに、思わずクスッと笑ってしまって、そんな自分がまたおかしくて、二つに割れた人垣を通り抜ける頃には自然と気持ちが落ち着いていた。