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もと神さま、新世界で気ままに2ndライフを堪能する  作者: 可燃物


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神さま、赤面する。

いつもご覧くださりありがとうございます。

ブックマーク登録もありがとうございます!

大感謝!!




無駄のない行動をしたい。

トルモ町へは片道十日。

つまり往復に二十日かかると仮定する。


その間にトニさんたちに街へ移住する準備をしてもらうとしよう。


だが確認すれば、そんな日数は要らないという。

さすがに今日言われて今日の夕方出発と言われても無理だが。


元々、この世界の住民は基本的に無欲だ。

物を必要以上に持たない。


しかもトニさんは解体に必要なら道具はコチラで用意すると言ったら、先代から受け継いだナイフを一本。

それ以外は全て置いて行くと言った。


思い出の品は置いていくが、それを継いでくれる人がいるならそれは、とても喜ばしいことだと顔を綻ばせた。

品はなくても、追慕するための胸に焼き付いた思い出は沢山あるからと。


そう話すトニさんは、きっととてもロマンチストなのだろう。



先代にも世話になった人たちで盛り上がり初めた。

このままでは話が逸れ続けてしまう。

なにせカノンまでソコの輪に参加しているのだ。

誰も絶対に止められない。


どうしようかな。

商人のオジサン(トルエバさん)の王都滞在日数が延びてしまうが、街に先に行かせてもらって、皮だけでも置いてこようかな。

俺だけ、もしくは俺とカノンだけなら走っても空飛ぶ石版を使っても数時間程度で往復出来る距離だし。


イヤ、あの臭う大量の皮を手で持つのはイヤだ。

空飛ぶ石版を使って、皮を落とさないようなスピードとなると、もう少し時間がかかるな。


午後の時間いっぱい使って往復するか。

届けて住民が増えることを伝えて迎え入れる準備を手伝って、明日朝イチで王都に戻るとか。


トニさんと一緒に街に行くと言っている冒険者たちがギルドに所属してくれるのなら、依頼の発注をこの場でして、達成報酬を街に預けておくのも良いかもな。

知り合いの知り合い程度だが、全くの他人じゃないのだし。

テスト運用させて貰えるなら、色んな人でデータを取りたい。


俺の偏った知識や、創作物でサラッと書かれたシステムだけでは機能しない部分や、実用化に適さない箇所があるかもしれないし。

多少不具合が起きてしまったとしても、導入したての初期段階ならエラーというのはどうやったって起きるものだ。

誰もが勝手の分からない初心者の状態なのだから。


ならば、トライアンドエラーを俺の手が完全に離れる前に繰り返しておきたい。

俺の力技でどうにか出来る部分なら、物理的に近くにいる間に解消しておきたいからな。



すそそ、と冒険者っぽいいでたちをしている男性数名に話しかける。

冒険者ギルドへの勧誘である。

気分は営業回りのセールスマンだ。


そのうちの二人は、既にアルベルトが話を通していた。

すげぇ!

デキる男はスピードがケタ違いに早いな!!


ペアで冒険者業をしているそうで、隣の国から来たそうだ。

腰を落ち着ける場所があるなら定住したいと考えているが、まぁ、どこの町も外国の者と見ると排他的でなかなか難しい。


しかもこの辺は魔物が強く、二人ではこの先に進むとなると万が一のことも有り得る。

そう判断し引き返し、適当な町を拠点に活動するか、故郷へ帰るか、さてどうしようかと話していた所に、アルベルトが冒険者ギルドの話を持ってきた。


王都付近には野宿をしている、実力がソコソコの冒険者が多くいる。

そういう人たちに声をかけて、一度街を見に行くだけでもしてもいいかもしれないと話していたそうだ。


その話を横で聞いていた他の冒険者も、トニさんについて行こうと思っていた人も、冒険者ギルドに興味を持ってくれた。


移住はしないと決めている人も、魅力的な話だと会話に加わる。

王都のように徴税が重くないのなら、そして耕す安全な土地が与えられるなら移住したい希望者は多くいるのではないかと言ってきた。


今は日中に当番制で、護衛として少数の憲兵隊に連れられて、城郭外にある簡素な囲いに区切られた畑で農作業をしている農夫が多い。

さして広くもないし、輪番生だし収穫物は複数人で分けなければいけない。

その上税として何割か持っていかれるから手元に残る作物はかなり少ない。


トニさんと先代から仕込まれた解体技術を持っている人と、教会にツテがある者が聖水を格安で譲ってもらって食物の確保はできる。

飢え死にすることはないが、育ち盛りの子供にはかなり辛い思いをさせている家庭が多いそうだ。


若い夫婦なら、現状打破のために新天地を目指したいと考える人もいる。

良い情報を聞いた。



アリアから頼まれた重要度も緊急度も高い項目のひとつに、若い世代の保護が含まれている。

妊婦の栄養状態が芳しくない上、教会は在籍する治癒術を使える者の貸出しに高額のお布施を要求する。

そのせいもあり、死産させてしまう割合が徐々に増えてきていると言うのだ。


地球の先進国のような医療体制もないし、麻酔も無い。

不衛生な場所で、万全とは言えない体調で出産する。

当然、子だけではなく母親も肥立ち悪く亡くなることが多い。


国民は、宝だ。

救う手立てを講じれば妨害が入る今の国内では、手を伸ばすことこそが、余計に国民を死地に招き入れる結果に陥ってしまう。


なので、アリアたちが把握している、その上で教会は知らない国民が壁通行税を避けるべく使っている壁抜けの穴を幾つか教えて貰っている。

ソコから、特に外に近い、いつ崩れ落ちるかも分からないような、無理矢理建てた家に住んでいる貧困層を救い出し、街に避難させて欲しいと言われている。


国王からの命令ではなく、市民が自ら動いてくれると言うのなら、とても行動しやすくなるな。

説得の必要がなくなるし。



コレは、いわゆる難民の保護だ。

クーデターが起きた国から逃げる避難民や、迫害され居住地を追われた人たちとは違い、後ろから撃たれるようなことはない。

しかし全員分の通行税を支払うことは到底できないので、コッソリ、バレないようにしなければならない。

しかし大所帯で動けば、その分バレる確率は上がる。


少しづつ移動させるのが一番良いんだけどな。

抜け出したあと、街に出荷する積荷を乗せた馬車にでも乗ってもらって少人数で移動するのが、多分ベスト。


商人のオジサン(トルエバさん)と相談して、先に街へ行く許可が出たら、彼の馬車を借りる相談をしよう。

アルベルトも巻き込んで良いなら、馬車は皮を乗せたまま王都を出発。

護衛はアルベルトとカノン、俺の三人。


二人にマルっと任せようと思ったが、俺は良くも悪くも目立つから。

隠密行動には向かないんだよね。

気配消すのは得意なんだよ?


だけど、王都に入る時は三人だったのに、出る時は二人だと「あれ? もう一人は?」と門番に疑問を抱かせてしまう。

それは非常に危ない。

なので、出るのも三人一緒。


アルベルトがココで分かれるってなったら、それは別に後暗い言い訳を考える必要もなく、単に旅の行先が違えただけなので問題ない。

普通に「あ、別れました」って言えばいいだけだ。


王都から出たあと、一旦抜け穴から街の中に戻る。

落ち合う場所を決めておかなきゃね。

そこに行って合流をする。

気配察知フル稼働して誰にも目撃されないよう細心の注意をはらい、移住希望者を外の壁へと誘導する。


その間にあらかじめ用意しておいた空飛ぶ石版に買い取った皮を乗せて置いてもらう。


全員誘導し終えたら壁を元通りにして、移住する人たちを馬車に乗せる。

俺とカノンは石版で先導し“喰魔の森“を切り開きながら進む。

手元が狂うといけないし、石版の制御はカノンにしてもらうべきだな。


住む森を追われた魔物が王都や街を襲わないように、空から退治して、打ち漏らしをアルベルトに任せる。

彼はあんまり強くないから、そうならないようには注意するけど。

万が一の時はね、男を見せていただこう。



馬車が通った新しい街道の調査を、トニさんの護衛がてら移動する冒険者に調査してもらう。

なので、街に着いたら達成報酬を出すべき依頼はトニさんの護衛と、調査の依頼の二つだ。


いつ出発をするか、現段階では不明だが、鉄は熱いうちに打てと言う。

冒険者ギルドに所属してくれると言ってくれた人たちに首輪を渡し、持っていた依頼書の雛形を書き込み、受諾の母音を押してもらった。


誰も文字書けないって言うし。

街に着いたらお勉強してね。


本来なら冒険者ギルドの受付窓口で依頼者は雛形を書き込む。

ギルドが不備がないかのチェックをして、問題が無ければ依頼料を預けて、受託してくれる冒険者が依頼を完了する日を待つ。


今回は依頼主が俺だし。

イレギュラーな手順になってしまうが、まぁ、今後もこういうことがあるだろう。

旅の先々で、街の居住希望者を護衛し送り届ける依頼を冒険者に出すつもりだし。

ギルド職員であるガルバには、慣れて貰わねばね。



状況によってはウヌモ町、及びその周辺で野宿。

ジャビルかサージかが、しっかり仕事をこなしていれば跳ね橋が上げられていて街に入ることが出来ないからね。


どうやら街周辺に出る魔物は強いそうだ。

皆が口を揃えて言うのだから間違いないのだろう。


ならば、無理に川向うに行くくらいなら、ウヌモ町の住民はこれから先ご近所さんになる人もいるのだ。

先に顔合わせをしておいても損はない。


俺が居るのだから、跳ね橋が上がっていても下ろすことは勿論できる。

だが、橋が上げられるような遅い時間に街に入っても、移住者が自分の新しく住む家を探すことは出来ない。

依頼完了の手続きを取ることもできない。


せっかく新たな環境で人生のやり直しをしよう、とドキドキワクワクに満ちている所に、アレもできない、コレもできない、だなんてマイナスイメージ付けたくないじゃん。

前途多難だなんて思わせたくないじゃん。

ケチがついたものを毛嫌う人だっているんだし。



順調に進まなかった場合が少し大変だ。

“喰魔の森“の中、及びその周辺で一夜明かすことになる。


その際は街道の整備だけではなく電気柵を設置したりカプシカムを植えたり、魔物対策もバッチリするつもりだ。

それでも襲ってくる魔物が居ないとも限らない。

不寝番を置いて皆を守らないとね。


……実力的に、俺とカノンが前半後半に分かれて警護することになるな。

うたた寝しないようにしないと。



街に着いたら冒険者にはギルドを案内して、商人のオジサン(トルエバさん)と移民者は村の人たちと合流させる。


俺に生殺与奪の権利を握られてる村の人たちに課せられた仕事のひとつに、移民者への街の案内と仕事分担の割り振りがある。

新参者となると、気後れする人が当然出てくる。

その時に先住者がリードしてあげれば、既にコミュニティが出来上がっていたとしても、打ち解けやすくなるだろう。


商人のオジサン(トルエバさん)の様子を見て、サッサと出発すると言うのなら王都にとんぼ返り。

街の中を見たいと言うならそうしてもらう。


コチラの都合で振り回してしまうからね。

少しくらいはさせたいようにしたい。

商人の目から見て、街が魅力的に見えるのかも聞きたいしね。


街で時間が出来るのならば、一日俺もカノンも不在だった状態の街がどんな状態だったのか聞いて回る。

たった一日で問題が山となっているようなら、問題点の解消だけはしたい。

それ以外の、まだ明るみになっていないだけの懸念点を洗い出す作業もしなければ。


街を発つ前に、カノンにはしっかり荷物を持って貰わなきゃね。

また文句言われても嫌だし。

トルモ町でなにごとも起こらなければ、街には遠分帰ってこないことになるのだから。

忘れ物がないかと、鍵の閉め忘れがないかのチェックは入念にしなきゃだ。



「そういえば、先生が造った街って名前はなんて言うんだ?」


何気なしのその質問。

ピシリと動きをつい、止めてしまった。


お名前、そう言えば、付けてないね。

カノンと互いに睨み合い、無言でどっちが名付け親になるのか押し付け合いをする。


「“賢者“の庇護下の街なのだから、カノンが付けるべきだろう」

「イヤイヤ、造ったのはレイムなのだから責任もってお前がつけろ」


見えない火花を散らすこと数秒。

ふぅ、とため息をついて目を閉じた。


「ポリフォニーかディルクルム」


「それは……いかんだろ」


へ? なんで??

ってか、どっちが???

そんなセンスなかったかな。


「ポリフォニーはともかく、ディルクルムは、この王都の名前だ」


……うぁ、マジか。


「んじゃ、ポリフォニーかオルトゥス」


「ポリフォニーは変わらないのか」


「カノンって意味の言葉だし」


「ディルクルムとオルトゥスは?」


「…………夜明け」


「それじゃあオルトゥスで」


ポリフォニーの意味を聞いて口元を引き攣らせたカノンが、アッサリ即決した。

お前、自分の名前が街の名前になるのが嫌なだけだろ。


正確に言うのであれば、ポリフォニーの演奏方式のひとつにカノンがあるってだけなのだが。

モノフォニーの対義語だね。

複数のパートからなる多声音楽を意味する。


「ジーグでもいいのよ?」


「意味は」


「カノンとセットになっている曲の名前」


「オルトゥスで」


王都に近い大きな街なら、あやかった名前をつけるのは悪くないだろう。

そんな雰囲気が後押しになり、街の名前は“オルトゥス“に決まってしまった。

拍手をする場面なのだろうが、したくない……


王都の名付けは、三英雄がしたと言う。


……俺の名前が由来だと、自惚れても良いのだろうか。

どんな思いで、付けたのだろう。

俺みたいに勢いと、半ば冗談で付けたのだろうか。


……イヤ、アイツらは冗談の類は好かなかったな。

死者と対話する方法、ないのかなぁ……

その名前をつけた、理由が知りたい。




飼い猫に朝の4時に猫パンチで起こされました。

おかげで更新出来ました。

ありがとう、猫。

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