神さま、我が道をゆく。
いつもご覧頂きありがとうございます。
昨日来客がありろくに書けず、今日ハロワ行かねばならんので短いです。
ご了承ください。
町長さんこと、ゴルカさんを街の代表に。
何でもすると言質を取ってたヌリアさんを、その秘書的な補助要因に。
フリアンくんはその二人の働きっぷりを見て育ち、ゆくゆくは二代目代表に。
そんな将来を夢見て、大雑把にだが街の指針が決まった。
「……という訳で、王都に到着しました」
「「どういう訳だよ!!」」
夕焼けを背景に、全力でツッコミを喰らった。
うんうん、息がピッタリ合っておりますな。
どういう訳と聞かれましても。
ある程度の道筋が決まったら、あとは実際に街に住む人達が営み築き、発展させていくのが人口集中地区というものだ。
もちろん造った責任は、ある程度ではあるが多少なりとも持とうと一応思ってはいる。
軌道に乗るまではちょくちょく顔を出して、不都合がないかの確認を取り、必要であれば手を貸すつもりだ。
ゴルカさんにも、意見や陳述があれば、まとめておいて欲しいとお願いしてある。
だが、たまにしか訪れない、短期間しか滞在しない俺たちはお客様。
言ってしまえば、もう部外者でしかない。
今出来ることはないのだから、ならば自分たちの目的を遂行した方が有益だ。
時間は有限なのだから。
そうなると、中途半端な時間ではあるが、タダでさえ俺とカノンの旅の日程が押している中、街でもう一泊するのは時間のムダに思えた。
村の人たち全員に霊力が宿ったのか、その霊力の保有量は個体差でどれ程あるのか。
従来通りの料理方法で過ごすグループと、下茹等せずになるべく霊力が含まれている状態の食事をとるグループと分けて、時間経過と共にどのような体調の変化が見られるか。
また霊力の保有量がどれだけ増えるのか。
実際に精霊術は使えるようになるのか。
……などなど。
実験したいことが山ほどあるだろうカノンを置いてくる選択肢も、あったんだけどね。
データ欲しくて堪らないって顔してたし。
三度の飯より研究が大好きな彼だ。
当然だろう。
だが、彼には自分の研究欲よりも、精霊の皆に頼まれたこと、つまり俺のお守りの方が優先されるべき項目だと、血涙流して断腸の思いで街を後にする決意を固めてもらった。
ならば、心変わりをする前にさっさと出立するのが得策である。
そういう訳で、三バカや村の人たちへのあいさつもソコソコに、急展開に思考が追いついていないだろうアルベルトとウヌモ町のメンツを掻っ攫った。
ウヌモ町の面々は、町の前でぺいっと放り捨て、門番をしている人に「ヨロシクね」と一方的に任せ、町から王都への道を阻む森の上を通過し、バビュンとひとっ飛びした訳だ。
抜けるのに走って一日。
迂回すれば五日はかかる森でも、上空を飛べば障害物もなければ、魔物と遭遇することもない。
二時間もあれば王都に着く。
初めて乗る石版に、目を回しているだけだったアルベルトは、時間感覚がおかしくなっているようだ。
あっという間の出来事で何がどうなっているのか分からない、と頭を抱えた。
二時間はあっという間とは言わないぞ。
カノンには、道中アルベルトを支えてもらいながら、遠くに見えるのが王都だから真っ直ぐ翔べば着くとか、眼下に広がる森に生息する魔物の特徴を説明されたりだとかされながら飛んで来たというのに。
何でアルベルトと同じようにツッコミをしてくるかね。
ブーブー文句を垂れたら、街道を通すための森への視察目的だと思ったのに、さっさと王都まで連れてこられたことに驚いたそうだ。
旅の荷物も街に置いてきてしまったし、とブツクサ言われた。
どうせ安全運転で片道二時間、早く飛べばその半分以下の時間で着くのだ。
細かいことは気にすんな。
大人十人を乗せられるような大きい石版を持ち込むのは流石に無理がある。
大きさ的に抱えられるサイズじゃないし、どう向きを変えても、そもそも門を通れない。
何のために持って入るのか目的を聞かれても答えられないし。
まだ人の行き来がある跳ね橋から少し離れた場所で降り、致し方がないのでただの土塊に戻した。
遠目で見ても存在感バッチリだった王都は、さすが王様が住む場所なだけあり、とても大きい。
外壁の高さといい、門の大きさといい、俺が造った街よりも随分と大きい。
街を見たカノンが、王都に負けず劣らずだと形容したから、どんだけ質素なのだろうと思っていたが、いやはやどうして。
華美さはないが、積み上げられたレンガの朽ち具合や重厚な橋のくすみ具合。
小手先でソレっぽくみせることは出来ても、やはり実際に年月を重ねてきたからこそ出せる風合いだ。
カッコイイね!
カノンに導かれるままに、幌馬車が列になっている最後尾に並びながらハスハスしていると、目立つことを理由にフードを被せられた。
せっかく髪色染めたのに。
暗い中移動するのは得策でない。
さすがに次の町を目指すにはもう遅い時間だ。
王都なら人も多いから見知った顔も居るだろう。
さっそく声を掛けてみると、銀貨を数枚出しながらアルベルトが顔をほころばせた。
どうやら一緒に入るらしい。
が、そのお金はなに?
門番を買収でもするの??
発想が物騒だと呆れられながらも理由を聞いたら、この国の市民権を持たない冒険者や、国外から遠路はるばる訪れた行商人たちは、街に入るために通常よりもかなり高い関税を支払わなければならないそうだ。
銀貨って感覚的に、一枚で日当に値するくらいの金銭価値があると思ったんだけど。
それをただ街中に入るだけで数枚支払わなきゃいけないの!?
ボッタクリじゃない!!?
王都だから物価も他所より高ければ、人も沢山集まるのだから、徴収される金額が大きいのは当たり前だと言われれば、そりゃそうだろうと頷けるが、それにしても高すぎる。
冒険者が町に入れないのは、粗暴者で町中で暴れる危険性があるから立ち入れないのではなく、この高額すぎる関税のせいなのではなかろうか。
経済的効率性において、関税を課すことは愚策とは言わないが、最善とは決して言えない。
最善はやはり自由貿易化である。
政治的な利益形成を理由に関税を課すことは、次善の策とは言われているので、間違った選択であると切り捨てることは出来ない。
だが、やはりヒトやモノの行き来に制限が掛かってしまうのは避けようのない事実だ。
コレだけの課税はやり過ぎのような気がする。
金銭による差別は完全な悪政と言えるし。
他の冒険者を見ていないから甘く考えてしまっているだけなのかな。
それが不当だと声を上げる人はいないのだろうか。
悩むが実際目の当たりにしなければ答えは出ない。
とりあえず目下の問題は、俺の入国税をどうするかということだ。
アルベルト達への支払いに、カノンに作って貰った手持ちの大半を使ってしまった。
つまり、今の俺は金の元となる素材は持っていても、現ナマを持たない、貧乏人だ。
当然俺も、この国の市民権を持っているわけがないので、アルベルトと同様の金額を支払う必要があるだろう。
……そんな大金、あったかな。
ポケットの中をガソゴソ探ろうとしたらカノンに、その必要はないと、アルベルトが手にした銀貨もしまうように促される。
王都の他、彼の顔が認識されている都市なら、たぶん連れも含めて入国税は徴収されないそうだ。
少なくとも、今まで支払いを要求されたことはないという。
おぉ!
多分って一言が怖いが、それって顔パスってヤツですか!?
興奮もソコソコに、入るのは一緒だから支払わなくても良いけど、王都を立つのは別々になるだろうから出国税は必要だから注意しろ、とアルベルトに言っててたまげた。
入るのにも出るのにもお金いるのかよ。
いや、かつて旅行をするに当たって外国へ繰り出す場合、国際観光旅客税と言うものがチケット代に上乗せされた状態で自然と旅行客に課せられていた。
アレは軍や国賓以外のすべての者に支払いを義務付けていたものだ。
そう考えれば、入国にせよ出国にせよ、カノンは国際的なVIPだろうし、それの伴となれば恩恵にあやかれるのも納得だ。
立場的にチートなヤツがいると旅がとっても楽になっていいね。
実際には顔パスと言うよりも、胸につけた霊玉と、あらかじめ出していた杖を確認した門兵が敬礼をしていた。
身分証代わりの霊玉提示で面倒臭い入国審査は免除される、と言った感じのようだ。
カノンの持っているサイズの霊玉、しかも透き通った風属性の色に染まっているもの、となったらそうそうないだろうしね。




