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もと神さま、新世界で気ままに2ndライフを堪能する  作者: 可燃物


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神さま、瀬踏みされる。

下ネタあります。

苦手な方はご注意ください。




ほんの一時間前に食べたばかりだと言うのに、あればまだ食べると冒険者たちがダラけた姿で挙手をする。

仕方がないので、カノンの朝食と冒険者たちの昼食、になるのだろうか。

卵入りの麦粥と、ミンチにした熊肉と自分用にと確保しておいた豆乳で試作した豆腐で作った麻婆豆腐、採れたて野菜の八宝菜――肉は熊肉だしエビが入ってないので単なる野菜炒めと言った方が正しいかもしれない――を山盛り作った。


キクラゲが入ってないのが非常に残念な八宝菜もどきだが、この世界にはキクラゲはあるのだろうか。

無いならどこかで適当な原木を見繕って育てよう。

キノコはもれなく好きだ。

美味しいし栄養満点だし、何より食べなれているからね。


カノンが家で結構な種類を育てていたが、一般的なのかな。

イヤ、キノコ全般薬の材料だとか言っていたのだ。

食材としては育てていなかったのだから、決して普通ではないだろう。



街は人が居てこそ成り立つものだ。

人を集めるための策略を、出し惜しむ必要はない。

思いつく限り用意せねばならない。


幾つか案はあるが、そのうちのひとつとして食品の特産物を用意したい。

日持ちする加工品を主軸に国内全体へ物流を築きたい。


胃袋を掴むのは大事である。

男性を落とす女性のテクニックとして、古今東西使われ続けてきた代表的な手法だ。

胡椒が金と同等の価値を持った時期があったのだって、食を重んじての結果だし。

ホタテのせいで戦争を起こした国もあったくらいだ。


食糧事情は人の生活に非常に密接しており、一歩間違えれば和睦の材料にも戦争の引き金にもなる。

食を街の強みにすることは間違っていないはずだ。



この世界、船はあるかもしれない。

だが、残念ながらこの街は、川は近くに流れているが街中に通っているわけではない。

水流が穏やかとは言えないので、港も船着場も当然用意されていない。


物流網の構築を考えるなら作った方が良いのかとも思うが、水害が怖いので今は一旦見送ることにした。

どこの街や国に繋がっているのかも把握できてないしね。


馬車や馬、徒歩しか移動手段が今までの話しで上がってこないのだ。

車や電車もない。

飛行機だって当然ない。


そうなると、俺たちの試行錯誤の結晶である、ココならではの農作物を新鮮なうちに他の街に運ぶのは難しい。

冷蔵庫を馬車に積んで運ぶのには霊玉への霊力補充が定期的に必要になる。

そもそも冷蔵庫を作れるのが、今の所俺しかいないのであれば、物流の要としてそんな限定的にしか作れない、使えないものを据え置くわけにはいかない。


ならば熱を通したり塩漬けにしたりして日持ちする状態にしてから運ぶ他ない。

下処理が楽なお野菜、となれば売れると思うんだけどね。

物流網を整えるまでは諦めよう。


種を売るつもりはない。

この街ならではのお野菜にしたいから。


そのうち、この世界の食糧事情を把握して、街にもそれなりの人数が定住するようになったら、少しずつ広めるつもりだけど。

今はまだその時ではない。



家は建売か借家にするかで迷っているが、辺境であることを考えると、まずは人がこの街に訪れる理由を作らなければならない。


住んでもらう以前の大きな問題だ。

それを考えると、税が少ないとか、安全だとか。

他の街にはない、誰もが思う住みやすさを提供しなければならない。


なので最初何年かは破格の値段設定で貸して、その後、その都度、通常価格で更新するとか、格安で売るとか、そんな感じでいいんじゃないかと。

もしくは、通常価格で貸しはするけど、年末に一部のお金を返しますよってするかだな。

収める額が最初少なかったのに何年後か忘れた頃に倍値になったら怒られそうだ。

不平不満は人離れの原因になるからね。


長く住めば住むほど納税額が減るパターンも良いかもしれない。

最初何年か賑わっても五年、十年経ったらゴーストタウン化してたなんてなったらシャレにならない。


素材収集や世界一周の旅を終えて帰ってきたら人っ子一人いないなんて悲しすぎる。

それは避けたいからね。



策略からは少し外れるかもしれないが、ギルドのシステムが広範囲に浸透するまでの間は、冒険者には一度この街に来て欲しいんだよね。


冒険者の登録を出来る機械をとりあえず一個は作る予定なので、アルベルトや俺たちが旅の道中スカウトした冒険者たちには一度この街に足を運んでもらい、首輪に内蔵させるギルド証の正式登録をさせたいと考えている。

ギルド初代職員となるガルバでも扱いやすく、また職員が増えた時に扱い方を教えられるように、単純な手続きで済むようにするつもりだ。


ただ装着するだけでギルド登録出来るようにすることも、一応は可能なのだが、契約書はやはり本人の意思でサインをして貰いたい。

悪いようにするつもりはないが、口頭説明だけでは全容を把握しきれない人もいるだろう。

この街のギルドで改めて説明を受けて、リスクも含め理解、納得した上で冒険者として活動をして欲しいのだ。


俺が理想とする冒険者って言うのは、自由人で無作法者だが矜恃を持っている格好良い存在だからね。

ソコから逸脱するような輩はお呼びでない。



料理の片手間で作った試作品は二つ。

首輪の表面を押すとパカッとフタが開くようになっていて、その中から情報登録するためのシートが出てくるタイプ。


もうひとつは首輪の接続部分に情報登録が出来る霊玉を埋め込んでおき、金具を押しながら捻ると、その霊玉が外れるタイプのもの。


いずれもアルベルトと話し合った通り、ギルドの規則違反をしたら地味に嫌な攻撃をしてくる仕様になっている。


アレだけ作った料理は全て平らげられ、食事の後片付けをしている間好きなように見てろと言って、食品の加工品や首輪を置いて席を立った。


三バカがまた片付けを名乗り出てくれたが、礼だけ述べて辞退した。

どうせ家の中だから精霊術で洗って乾かすのだし、ほんの少しの時間しか掛からないのだ。

俺がやった方が早い。

それにその首輪は三バカたちも扱うのだ。

多角的な視点が欲しいのだから是非見て意見を出してもらいたい。


固形石鹸を水に溶かしていたら、最も見てもらいたいと思っているカノンがおもむろに台所へ顔を出した。

首の後ろに手を回し何やら言いにくそうに視線をさ迷わせている。


なんだよ、らしくない。


水の精霊術で石鹸の水溶水を操りながら皿の汚れを落とし、キレイな水ですすぎ、更に仕上げ洗いをして、風の精霊術で乾かした。

そこまでしても、まだ口を開かない。


何が言いたいのやら。


俺は察してちゃんは苦手なのだ。

一言一句、正確に心情を読まなければいけない綱渡り感が苦手である。

どちらかと言うと、地雷原を歩いている感覚に近いか。

少しでもミスれば罵詈雑言や平手が飛んでくる、あのある種のデス・ゲームは頂けない。


「……――み」


「ん? なに?」


「髪。

それ、どうしたんだ」


あぁ、そう言えば何の説明もしていなかったか。

たかが髪色の指摘をするのに、なんでそんな言いにくそうな雰囲気を出していたのだろうか。


社会の窓が開いているのを指摘したいが、どうすれば当たり障りなく気付かせることが出来るのだろうか。

そんな空気感だったから、何事かと身構えたのに。


「似合う?

ず〜っとフード被ったままだとちょっと不便だったからさ、染めたんだ」


「……元の髪色と言う訳ではないのか」


「元がアレなんだけど」


何ヶ月一緒にいてもプリンにならなかったでしょうが。

それこそ、フードを被らないようにするなら、定期的に髪の根元の色チェックしなきゃいけないのか。

うわ、面倒クサっ!


普段から寄せている眉間のシワを、より一層深くして何やら考え込むカノン。

俺の髪色が何だって言うのよ。

変な何色とも形容しがたい色味なのは今更じゃない?


そのシワに皿でも挟んでやろうか。

皿はムリかもしれないけど、紙程度ならマジで挟めそうなレベルで深く刻まれてるぞ。


ソォ〜っと、比較的軽くて薄い取り皿を試しにその渓谷に挟んでやろうと近付けば、その途中で普段通りの調子を取り戻したらい。

皿を取り上げられ逆の手でチョップを喰らった。


「あうちっ」と痛がる素振りを見せる俺にはお構い無しで、全ての皿を取り上げ棚に戻し、何事もなかったようにリビングへと戻って行った。

片付けてくれたのはありがとうだけど、一体何だって言うのさ。



オーバーテクノロジーだと言って、再びおでこにツッコミを喰らうと思ったのだが、そんなこともなく。

カノンは俺が作るものにいちいち驚くことも呆れることも、一切を放棄したようだ。

当たり前のように受け入れ首輪をアチコチ障っている。


いつもの脳天への一撃がないのはハゲの心配をしなくて良くなるので嬉しい。

そのハズなのに、ないのはそれはそれで寂しいと思ってしまう俺は、実はMだったのか!?

ンなバカな。


この世界の紙幣は、血から何らかのデータを読み込んで利用すると言っていた。

そういう識別方法が確立されているなら、冒険者ギルドに所属する人たちも血液から遺伝子情報を読み取ることにより、首輪の持ち主と提出した人間が同じ人物であるかを判断することにした。


依頼達成の都度ではなく、年に一回とか、貢献度がある程度溜まった時とか。

定期的に確認すれば良いかなと思ってる。

毎回血を流させて、貢献度合いが高い人ほど貧血になるとか笑えないし。


ついでにその血液から疾患がないかも調べようかなと。

福利厚生の一環だ。

冒険者は肉体労働がどうしても多くなる。

埃っぽい洞窟に入れば肺をヤられるし、突発的に力むことが多ければ血管へダメージを受ける。


酒を飲むイメージが強いのは当然として、長旅をしていればどうしても塩分過多・野菜不足のバランスの悪い食事をする機会が増える。

俺はテルモの奮闘の甲斐と、旅慣れしているカノンのおかげで結構そこの所は問題が少なく済んでいる。

だが、知識がある人たちが工夫しても、問題は少ないだけでゼロではない。


ソレを考えると一般的な冒険者はどうしているんだと言うお話で。

健康診断の概念がこの世界にあるとは思えないので、コッチで勝手に行い、問題がある人はお呼び出しして生活指導をさせてもらう。


チェック項目はどうしようかな。

さすがに血糖値を測るためだけに朝食抜いた状態で依頼を受けに来いとか、依頼の完了報告は食後一二時間経過してからにしろとは言い難い。


長い野営を終えて温かいご飯が久しぶりに食べられる! って意気揚々と街に戻っても、前回の食事から十時間しか経ってないから報告は受け付けられません。

なので報酬も渡せません。

なんて言ったら暴動が起きそうだ。


空腹は人を凶暴にさせるからな。

なにせ三大欲求のひとつだし。


あぁ、そう考えれば、三バカたちが前日より穏やかに見えるのもその欲求が満たされているからなのかもしれないな。

頭まで胃袋拡張してない? って勢いで大量のご飯食べて、赤子か! というレベルて午睡を貪ったんだし。


性欲は……発散出来る施設がまだないから、まぁ、自分で処理してくれって感じだね。

仕方ない。


頼むから村の女性陣を不同意状態で襲ってくれるなよ。

念の為クギを刺したら、意外と紳士なようでレイプの類はしないそうだ。


むしろ、なんてことを言いやがると外道を見るような視線を向けられた。

ヒドイ。


するのは、戦時や今回の侵略・略奪行為をする際の征服された側の人間にのみだと言う。

それは敵側への見せしめとして効果的であるとし、兵士や侵略者の強者への褒美として目溢しされる範囲だそうだ。


ただし、処女は除く。

貞操観念が宗教に絡められしっかりあるそうで、未通の女性、特に月のものが来ていない少女は神に近い存在とされるので、それを侵害するのは神に喧嘩を売るのと同等の行為であるとかなんとか。


因みに、処女の強姦はいかなる理由があろうと死罪だそうだ。

重いと思うのは俺の貞操観念が緩いせいなのだろうか。

イヤ、強姦は心の殺人と呼ばれる位だし、相応と言えば相応か。

鞭打ち程度では生ぬるい、と考える人が多いことは喜ばしいことだ。


男尊女卑の価値観が根付いているのかと思ったけれど、そうではないんだな。

ホント、適材適所の考え方で、男は力仕事、女は家庭の細かい仕事が割り振られる傾向にあるだけのようだ。

そこの所、地球よりも進んだ価値観だと感じる。


体力的、筋力的に女性が男性の仕事を割り振られる機会は少ないが、男性が紡績物業に従事することもあれば、女性が建築業に携わることもある。

柔軟性があるのは良いことだ。


人口が少ないから性別関係なく出来る人が出来ることをやらないと社会が回らないだけなのかもしれないが。



欲求が地球の人間に比べれば少ないとはいえ、お腹が減れば食べるし、眠たくなれば寝る。

適齢になれば番を探し婚姻を結び子供をこさえもする。


戦により昂った心を落ち着かせるための発散方法のひとつとして性行為があがるなら、当然日々溜まったモノを吐き出すことも必要だろう。


ティッシュもないのにどうすんの?

風呂場ですんの?

タンパク質だからお湯で流すと固まって詰まるから辞めて欲しいんだけど。


カノンにははぐらかされてしまったが、同じ疑問をぶつけてみたら、「その顔でそう言うこと言うの辞めて」とアルベルトに頭を抱えて懇願された。

その顔ってどんな顔だよ。

女顔だとでも言いたいのか。

俺の知ってる女は結構エグい下ネタでも平気で口にしていたぞ。


それこそ男女差別だ。

女性にそんな幻想を抱いてはいけない。

彼女たちは澄ました顔で結構あけすけに、男性が泣くようなネタですら笑い話にしてお茶請けにして咀嚼してしまうのだぞ。


そういうことを気にしないらしい三バカが教えてくれたのだが、うん、なんと言うか。

自称動物学者の小柄な髭メガネを彷彿とさせた。


その腹上死した人物とは違い、魔物を殺し、安全確保をしっかりして、温かいうちに必要箇所だけ切り取ってするそうだが。

食べたくなくなるし、素材が汚れてもいいいけないから。

理由が真っ当過ぎる。


獣姦なんて信じらんねぇと、ドン引きした目で見たら半泣き顔で「コレが普通だからな!」と怒られた。

もしくは、同行者に小綺麗な顔の人がいれば金を払ったり食べ物を優遇したりして処理の手伝いをさせることもあるそうだ。

物凄く少ないが、女性の冒険者がいる場合はそのお世話も含めてで冒険者間で取り合いになることもあるとかないとか。


あぁ、だからカノンの小姓じゃないのかって散々疑われたのか。

なるほどね。

謎が解けましたよ、ありがとう。


……とでも言うと思ったか!?

ラブ・ドールの代わりだと思われたのは甚だ遺憾である。




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