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もと神さま、新世界で気ままに2ndライフを堪能する  作者: 可燃物


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神さま、見惚れられる。




どうやらアルベルトが指を切り落としかけたのも、町長さん達がちょくちょく怪我をしたのも、全て俺の見てくれが原因らしい。

神々しいとさえ思うその姿は直視するのが畏れ多いとか、近くに来ると緊張するとかで、身体が勝手に強ばってしまうとか。


なんだよソレ。

マジで俺人間兵器じみてるじゃねぇか。


聞いてるだけでこそばゆくなってくる比喩表現にゲンナリしてたらその顔の造形でそんな表情しないでくれとガチで泣かれた。

そんなことを言っていたら、ホンマもんの神様な精霊の皆を連れてきたらどんな反応を示すんだろうね。

五体投地でもし出すのだろうか。

ウケる。


皆も元人間なんだから、当然、喜怒哀楽の感情表現をする。

アクアなんて口が悪いし、ウェントスなんて悪巧みをしている時の顔はかなりゲスい。

()がつく俺に対してでコレなのだから、()神様が顔面崩壊級の顔芸を披露したら心臓が止まってしまうのではなかろうか。

ドキドキ耐久ゲームとかしてみたい。



いつまでたってもマントのフードを被り続けるのは嫌なので、この場にいる人たちには「慣れろ。もしくはお前らが目を逸らせ」と言っておいた。


異世界転移する前は、見た目が整いすぎてると言われてケンカを売られることは多々とあった。

施設には、美しいものを愛でる感性よりも、自分にないものに対して腹を立てる傾向の強い人の方が多かったのだろう。


そういう連中は何度かノしたら大抵大人しくなるので、最初こそ鬱陶しいが、そのうち落ち着くのでまだ良かったのだと、今なら思う。

アレはマシだったのだと。


信仰にも似た、自分とは違う生物を見るかのようなこの目はダメだ。

距離を詰めようと思えば更に遠のくクセに、離れれば一定の距離を保ってでも着いてくる。

挙句の果てには、放り出そうとすればまとわりすがりついてくるのだろう。

その上自分が描いた理想像から現実が離れ出せば、裏切られたと怒り狂って攻撃してくるのだからタチが悪い。


ある種の偶像崇拝のようなものだ。

アイドルデビューでもして、歌って踊れるようにでもなればいいのか。

日本舞踊みたいな雅でゆったりとした踊りがいいかな。

それともストリートダンスやブレイクダンスみたいに激しいヤツがいいかな。

勿論冗談だけど。

BGMないのにとつぜん踊り出したら変人扱いされちゃうじゃん。



まだ許容範囲と言える反応をしてくれるのが三バカしかいないと言う事実が哀しい。

常識人枠だと思っていたアルベルトもダメ人間になってるし、町長さんも何気に目線を合わせてくれないし。

挙動不審になるのは見てる方もゲンナリするし、彼らは善い人なだけあり、そういう反応をしてしまうことを本人も気にするだろう。


致し方ないので朝食はムサ苦しい連中と摂ることになった。

目の前に並ぶ三人を見るだけでもう胃もたれしそう。


コイツらは無自覚に差別発言をするし我欲ダダ漏れな発言をしてくるが、悪意はない。

ないからと言って気にならない訳ではない。

受け手によっては殺傷能力の高い言葉だし、顔を思わずしかめてしまうような下品で下劣な発言であることには違いないのだから。


だが、それは教養のなさの為せるわざと言うか。

ある種致し方ないと思える部分が存在するので、よそよそしい態度を取られるよりは、俺にとっては幾分かマシなのである。

男同士だと、こういうノリって少なからずあるものだしね。



肉が少ないと文句を言いながらも「うまい、うまい」と寝起きから大量に食べるのはガバルだ。

確かに、肉体労働をするのなら通常よりもタンパク質を欲するだろう。

スープのお代わりにはベーコンを大目に入れてやった。

お礼は言わないが良い笑顔で受け取ったので良しとする。


野菜なんて人が食べるものじゃないと言っていたのに、他の人が美味しそうに口に運ぶ姿を見て恐る恐る一欠片口にし、その後掻き込むように食べて思いっきりむせたのはサージである。

このタレがうまいと絶賛したので後でレシピを教える約束をした。


レシピとはなんぞや? と顔に書いてあったので、教科書とか手引書だと思えと言われたら嫌な顔をされた。

昨日文字や数字を見すぎたせいで寝る前はのぼせたようになったし、今も少し頭が痛いそうだよ。

知恵熱ってやつか。


まぁ、万人が読みやすいように簡単な言葉を使ったり挿絵をつけたりして理解しやすいようにはするつもりだが。

こういう時は動画があればいいのにと思ってしまうな。

文字が読めなくても見た通りに真似て作れば形になるのだし。


カノンの銅像があるとのことだが、肖像画や写真の類はどこまで発展しているのだろうか。

王都に行って確かめるものがまた増えた。


ジャビルは……申しわけないが視線が怖かったので途中からアルベルト達と一緒に離れた所で食べてもらっている。

なんか異様な寒気がすると言ったら、アルベルト達が原因を察して俺とジャビルを引き離したのだ。


自他共に認める解体大好き人間なジャビルは、気に入った女性を解体するのが特に好きだそうで。

……さっき言ってた「お前なら男でも」と言う言葉に全てが集約されているな。


アレ、一発ヤるならって話かと思ったのだがそっちの話だったのだろう。

確かに、村で襲われていた女性も突っ込まれてはいなかった。


シリアルキラーとでも言えばいいのだろうか。

性的な接触が行われない場合でも、連続殺人ならそう呼ばれるし。


なんでそんなヤツと一緒に旅をしてるんだよ、と思うが、野放しにした方が色々ヤバいと思っての行動だそうだ。

アルベルトも三バカをさして、そう言っていたな。

その対象である二人ですらこういうのだ。

アルベルトの心労は計り知れない。


この街をたつ前に首枷を外そうかと思っていたのだが、アイツに関しては外さない方が良いかもしれない。



いつの間にやら村の女性陣が淹れてくれたお茶を食後にすすりながら、今日の予定はどうしようかとダベる。


町長さんたちと村の人たちは、農業区の持ち回りをどうするかを話し合っている。

畑のお世話をする人や、この街が街として機能するまで収穫物をどうするのか。

分配はどうするのか。


街の住み分けをどうするのか。

その延長でルールの制定や、村の人たちが知らないような国に属するものの義務や権利も説明していた。


世話好きな人が町長さんで良かった。

……このままこの街の責任者になるよう外堀を埋めるか。

大勢の前で言質さえとってしまえばコッチのもんだ。


ニヤリと笑んだらまたドン引きされた。

ひどい。



コチラは三バカに昨日の復習をさせながら、カノンが未だに起きてこないので、少し距離をとって二人でアルベルトと話し合いだ。

目に見える銅貨の枚数を数えながらの計算ではないと躓いてしまうようで、指を折りながら懸命に計算している。

とてもマジメだ。

ご褒美に急遽用意したデザートが効いているな。


試しに作ったシフォンケーキなのだが、ほんの一欠片だけ食べさせて「全問正解先着順であげます」と言ったら必死さが増した。

欲望に忠実すぎる。


大丈夫。

喧嘩が勃発しないように、ちゃんと全員分用意はしてあるから。


躾も兼ねて、最下位の人が切り分けて、全問正解の順序が早かった人から選んでいくスタイルで渡すことにしている。

その方が公平だろ。


その上で一位の人には樹の妖精(ドリュアス)の実のジャムを添えようと思う。

美味しかったよ。


鑑定眼で見てみたら、「杏子と桃の合の子みたいな味がする。生薬として用いられる。また生食のほか、ジャムや酒などにも利用される」と書いてあったのだ。

なるほど確かにそんな味だったよなと思い、試しに作ってみた。

種もとっておいてあるので、杏仁豆腐も後で作ってみよう。

それっぽい風味がつくと良いな。


「できたー!」と勢いよく提出されてはペケマークを付けて正解を書き込み返却し、別のテストを渡す。

欲に釣られて確認作業を怠れば解く問題数が増えてしまう罠だ。

数をこなすのは大事なので大いに間違ってくれたまえ。



その三バカに冒険者ギルドとしてすべきことのマニュアルを作って渡すのは最低。

跳ね橋や解体用滑車の操作の仕方を教えるのも必須。

町長さんたちの話がまとまれば、この街の住民として守らなければならないルールを教え込むことも必要だ。


首枷はどうしようかと尋ねれば、アルベルトも含めて自戒のためにもつけておいた方が良いと言われた。

ある程度の暴力による服従はケモノに対してと同じで必要だという判断だ。

アルベルトに対しては必要ないのでは? と言ったら全員付けることで納得させやすいと返された。

なるほど、おそろい。


アルベルトが冒険者ギルドの広報活動をするに当たって、ギルド所属に賛成した人に配るための目印を作りたいと相談すると、まぁ、当然悩まれた。


よく創作物であるカードでは、紛失の可能性が高い。

財布を持ち歩くような人種ではないし、胸ポケットがある服が普通に流通している世界でもない。

強い魔物と対峙すれば、ほうほうの体で逃げ出し荷物から服から投げ出してその身一つになってしまう場合もあるだろう。

無くすリスクが大きい。


気軽に身に付けられる腕輪や指輪では、剣の握り具合や手の重さが変わって戦闘において不都合が生じるかもしれない。

アンクレットではパッと見でギルド所属員か否かが判断出来ない。


ある程度、金銭的な価値も付けたいと思っている。

負傷した時に回復薬を買う金すらない、みたいな状況に陥った時に、ソレを担保にお金を借りたり回復薬と交換したりして、冒険者生命が絶たれないようにしたいからだ。


どうやったって冒険者のような肉体的・体力的に負担がかかる、若いうちしか出来ない仕事は、可能なうちにリタイア後のお金も稼いで欲しいし。

簡単に引退されてしまってはギルドへの貢献が少ないままでギルドに微塵も旨みが無くなってしまう。


それは会社として運営していく以上は避けたいパターンだ。

黒字にしてこその企業である。

ならば福利厚生を手厚くして離れたくても冒険者以上に良い仕事はないと思わせるべきである。

ブラックだと気付かせてはいけない。


貢献度によっては引退時に退職金のような手当だって出したい。

アレだ。

冒険者のランク制度と呼ばれるヤツを導入するのだ。

魔物を倒せば倒すほど、世のため人のために依頼を多くこなせばこなすほどボーナスや退職金を多く貰えるようにすれば、短期目標と長期目標が目に見えて分かりやすくなる。

現物支給でも金でも良い。

運営状況によってはその両方でも勿論良い。

人間、分かりやすい報酬があれば結構頑張れるものなのだ。


そう言えば、銀行のようなものがあると言っていたが、一般人でも利用できるのだろうか。

出来ないならお金の預貯金システムも導入しなきゃだよな。

積立とか保険もいっそのこと導入しちゃう?


あぁ、整えなければならないことが多すぎる……



「これじゃ駄目なのか?」


首をトントンと指さされる。

まさかの首枷、デスか。

飼い犬みたいな印象受けるし、どう見ても被支配者側の見てくれだ。

自由人である冒険者には辛いのではなかろうか。


地球では奴隷の拘束具として用いられてきた歴史があるのでそう思ったのだが、この世界では手枷はあるが、首枷はないようだ。

首に何か巻き付ける行為は、かしこまった席で付け襟や襞襟をつけるのがお貴族様の間で流行ったことがあるくらいなもので、市民と区別を付けると言う意味なら悪くないのだそうだ。

もちろん、爆発機能は外して欲しいと言われたが。


パッと見で判断できるのは魅力的だし、嫌な印象を与えないのであれば、悪くないかも。

冒険者の管理に必要な情報を登録する媒介は、首輪に内蔵すれば良いし。

それか霊玉を表面に付けるとか。

ランクによって霊玉の色を変えるか、首輪の色を変えるか。

どっちの方が楽かな。


ただ首輪だと、俺以外が作れないのがネックだよね。

爆発機能とまでは言わないにしても、何かしら悪いことをしたら取り締まりたいし。

なんて言ったって、荒くれ者ばかりの冒険者だ。

緊張感があった方が良いじゃん。


流石に命をとるようなものにはしないが、ペナルティは三バカに対するみたいに必要だろう。

首がチョット絞まるとか、トゲトゲが内側に出現するとか。

そんな些細ではあるがされたら嫌だよね、と言う機能を付けることにした。


そして殺人等の極刑レベルの罪を犯した際には痺れ薬を注入しようと言う話になった。

首チョンパは私刑になってしまうのでしない。

あってはいけないが、万が一そのようなことになったら、キチンとその国、地域の法に則り裁かれるべきだと思う。

なので、刑吏が犯人を取り締まりやすいように、という配慮だ。


カノンの様子もいい加減気になるし、首輪を一から作ると「スキル」を使っても大変な作業になるので、材料を見繕うため、冒険者組を伴い移動することにした。




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