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もと神さま、新世界で気ままに2ndライフを堪能する  作者: 可燃物


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神さま、工作する。


滅び行く二つの世界の欠けてる所を補い合うように、なんとか融合させることにこの世界の神様は成功した。

しかし神様は疲弊し力を使い果たしてしまった。

そこで強い「属性スキル」持ちだった地球で亡くなった俺の仲間達の魂に、最後の力を振り絞り自分の力を宿らせ後を託した。


そして、世界に新しい神様が七柱誕生した。


地=「テルモ」

水=「アクア」

火=「イグニス」

風=「ウェントス」

光=「ルーメン」

闇=「テネブラエ」

時=「クロノス」


元々この世界に存在していた人間の日々の生活を手助けするようプログラムされた精霊を総べる役割を「地」「水」「火」「風」それぞれ得意とした「スキル」の属性ごとに担う役割を与えられた四柱。

創造神が不在になった為に不安定になりやすい「光」と「闇」の「時」配分が等しく正しく世界に訪れるように新しく作られた、世界の理を総べる存在が三柱。


……前世はみんな、俺の身内なんだけどね。

そんな偉い立場になったのね。



「皆がこの世界の神様、ねぇ……」


現実味のないことを言われても目の前の神々しいという他ない光景を見れば受け入れざるを得ない。

そうは思うのだが、イマイチぴんとはこない。

地球でバカやってた頃のことを思い出すと、どうしても受け入れ難い気持ちがせめぎ出すのだ。


ここが100%地球じゃないって言うのは想定外だったが、まぁ、地球成分が含まれているならば合点がいくことがある。

言葉や文字のアレコレもそうだが、それよりも何よりも。


俺の「知識」が使えることだ。


外部HDDとでも例えれば良いのか。

人一人の脳味噌には到底詰め込めないような知識が世界を作りかえる「万物創造」のスキルを使うのには必要だった。

地球で過去どんな過ちが起きたのか。

ひとつの問題を放置した時、それはどこまで波及してしまうのか。

歴史の数々も勿論大切だし生態系のバランスや天候の影響。

あらゆる全ての知識を抱え込める脳みそは残念ながら俺には備わっていなかった。

そのため、必要な知識に順位をつけて、優先度の高いものは俺が記憶し、低いものは外部メモリに登録しておいて必要な時にそこにアクセスして情報を引っ張り出してきていたのだ。

「スキル」の発動時にパッと使えないといけないからね。

常日頃からカンニングし放題! の勢いであらゆる場所で使っておりました。


イヤ、流石に試験は自力でやったよ?

ホントだよ??


耳に着けてる識別証のイヤーカフと脳に埋め込まれているチップで、離れていても「知識」の電源さえ入っていればアクセス権限の認証、並びに使用が出来る仕様になっている。


イヤ〜、ウッカリしてた。

無意識に使うことに慣れてしまっていたので気付くのが遅れたんだよね。


浜蟹倒した時に自切思い浮かべたじゃん。

あんなの海のない施設内で微塵も必要ないのに「なんで知ってんだ?」 って思った訳よ。

その時に「あれ? もしかしてリンク生きてる??」って気付いたんだよね。

つい先程のことである。

気付くの遅すぎ。


リンクが繋がっているってことは、まだ施設のコンピュータが動いているってことだ。

流石に異世界にまで来たらリンク切れしていただろうし「知識」へアクセス出来る時点でココが地球、もしくはそれに準ずる世界であるって確信を持てば良かったんだよな。



皆、転生するにあたって与えられた使命をこなすべく日々奮闘している。


……と思いきや、基本この世界は平和になったから今はやるべき事が殆どないそうだ。

転生したあと、つまりそれは地球から施設の人間が転移してきた直後の話だが、全く別世界の、文化も言語も何もかも違う先住民と、衝突、とまでは言わないが問題は当然のように起きたらしい。

ただ、地球人は自分達が侵略者側であることを理解していたし、過去の歴史から何をしてはいけないかをよく学んでいた。

全てが平和的に滞りなく、とは言えない。

だが三英雄と呼ばれる人達を中心に、寿命や文化、思想の違いやズレも、時間こそかかったが受け入れられ混ざり進化し、今は割と平和に程よい距離感を保っているそうだ。


皆が幸せに。

そう願った俺の「万物創造」は不完全な形になってしまったが、この世界の神さまの手助けもあり、そこそこ程度の形にはなったらしい。

少なくとも、あの明日をも知れぬような切羽詰まった世界よりはマシになったし、この世界の滅亡も防げた。

良かったって、思っていいのかな。



信仰心により存在が安定し力を得る存在となった皆は、普段自分が祀られている神殿にいたり精霊の話を聞いて世界の移ろいを感じたり、のんび〜りと過ごしているそうだ。

飲み食べしなくていいし眠くもならない。

長すぎる時間の感覚に対する拒否反応はないそうで、そこは人間から進化したおかげなのかな、と言うのが彼らの弁である。


ただ、最近は精霊術を使おうとするヒトが減っていて、信仰心は変わらずあるけど消費がされないから力が有り余っている! という不満はあるそうだ。

精霊が「暇だから」の一言で人類を滅亡させないかが心配だ。


イヤ、だって。

地球の「破壊・再生・創造の計画」主導者がいるし。


そんな悠々自適に過ごしてきた中、俺の気配を皆同時期に突然察知した。


気絶している間に魔物にちょっかいを出されないようにと周囲を浄化しすぎてしまったのが、光の精霊ルーメン。

早く発見されるようにとカノンの行く手を阻む木の枝も魔物も含めた邪魔者をことごとく排除したのが地の精霊テルモ。

歌声に呼ばれて来てみれば鑑定眼による情報過多により屋根の上で気絶し寝こけている俺を発見し、落ちたり風邪をひいたりしてはいけないと、部屋まで運んでくれたのが風の精霊ウェントス。

精霊の大移動により興奮した魔物が暴走しないように適度に弱らせようと聖水の雨を降らせたのが水の精霊アクア。

干渉し過ぎないように他の精霊を見張っていたのに、つい役目を与えられ張り切ってしまい「ファイアストーム」を「エンシェントシレノ」と言う幾段上の術にしてしまったのがイグニス。


うん、俺、マジで愛されてるね。

そうか、転移(?)した直後から既に俺がこの世界に来たことを察知していたんだな。

んで、アレコレちょっかいかけていた、と。


カノンが言ってたのはこういうことか。

名誉会長を前にして、その他大勢から名指しで呼ばれてもアルバイトが恐れ多くて前に出られないのと同じだよね。

王様の前に奴隷が出られないのとか。

愛されているが故に精霊が召喚されないって、こういう意味だったんだろうね。

しかも、このヒト達今はとってもエラい神様らしいし。

神さまがイチ人間に召喚されたらおかしいもんね。


まぁ、神様って言っても、個々の強さで行けば、多分、まだ俺の方が強いよね?

神様なのに人間よりも弱いとか、ダメじゃない??


『アナタは別格でしょ。

元地球の神さまだもの』


否定せんのか。

作られたエセ神だけどね〜。

神と名乗るのはさすがにおこがましすぎる。


でも、そっか。

テルモなんかは料理上手で作ることも食べることも好きだったのに。

この世界ではそれが出来ないのか。


『依代があれば具現化出来るし受肉すればヒトとしても生きていける。

人の肉体を借りる降臨や、同化する神依なんてことも出来るぞ。』

「その話、kwsk」


無機物を依代とした具現化は神託を下す時なんかに使う、会話は出来るが移動したり物に触れたりすることは出来ない半端な降臨方法だ。

中途半端な仕様ではあるが、意思疎通がしやすい教会につとめる者たちに話が通りやすくなるから最も使われる現生への連絡手段なのだ。

夢の中で神託なんかしても夢とスルーされたり細かいことを忘れられたりしてしまってあまり意味をなさないので、信託は神秘的だが利便性は低いんだって。

直接の干渉も出来ないし。


有機物を依代とした具現化が三種類あり、受肉は依代となる生物の肉体をそのまま自分のモノとするもの。

大抵は神々の持つ霊力の多さに肉体が耐えきれずにすぐ死んだり弾け飛んだりしてしまうので生命をひとつ悪戯に殺すだけになる。

大量の受肉体を集めて強固な依代を作る方法もあるにはあるが、黒魔術のようなその方法を精霊は取らない。

与えられた使命に反するしね。


降臨は一時的に霊力が多く精霊を降ろしても問題ないヒトの身体を借り受け、その間は肉体の権限を全て精霊に委ねるられること。

人間の頃のように好き勝手に行動できる。

ヒトが拒否反応を示したり、ある一定の時間が過ぎると解除される。


神依も半分降臨型として扱えば良いらしいが、降臨のように肉体の権限を精霊に渡さず、基本的な行動はヒト側に任せ、意識や力を共有する形になる。

比較的ヒトの負担は少なく感覚共有によりヒトが飲み食べしたものを味わうことも出来るらしい。


「……つまり。

俺が「スキル」で皆の受肉体作ればいいんじゃね?」

『お前、天才か』

『脱着可能なのがいい』

『馴染めば問題ない』

『おなかい〜っぱい食べたい!』

『見た目可愛くしてね』


賞賛を浴び希望も聞いていざ、作るぞ!



……――と意気込んだは良いけど、1人分作った段階で霊力枯渇を起こしかけましたとさ。

イヤ、マジで疲れた。


その1人分も、どれだけの時間保てるか分からん。

曲がりなりにも神の称号を持つだけあって、器をかなり頑丈にしないとすぐダメになる。

試しに作ったのはすぐ壊れた。

人間と同じ構造の肉の塊ではダメだったよ。


それじゃあさっきの滅茶苦茶硬いと言われていた浜蟹の甲羅の構造を参考に強度を上げてみようと二体目を作ったが、物質的強度の問題ではなかったようでコレもすぐに壊れた。


霊力の通りが良い方がいいのか、と思いストックしてあった聖水を失敬して流れる水分を全て聖水にして作ってみたら馴染みがよく、「お、これはイけるか!?」と期待したら、今度は通りが良すぎて弾け飛んだ。

すぷらったー。


聖水のように何かしら触媒があったほうが当然創りやすいよな、ということで使えそうなもの勝手に地下から漁って皆でアレやコレやと見繕い作った4体目が、ようやく形を保ったまま精霊を降臨させることに成功した。


おめでとう。

一番遠慮をしたテルモが最初の受肉者です。

拍手。


だが、困った。

徹夜明けに酒浴びるほど飲んだようなテンションで創ったから何を触媒にしたのか全然覚えてないや。

鑑定眼使って名前は一通り見たんだけど。


あ、そっか。

テルモの肉体見れば何を使ったか分かるかな。


手をワキワキ握ったり開いたりしているテルモに視線を向ける。

……うん、馴染んでしまっているせいかテルモの情報が出てくるだけだわ。

失敗したな。

メモをしておくんだった。

その場のノリと勢いで行動してはいけないと、目の前の元先輩に何度も注意を受けたのに。


「不具合はない?」

「……そうだね。

肉体ってこんなに重かったのだと、久しぶりの感覚に感動しているよ」


あぁ、頭に響くような声も、ちゃんと声帯震わせて空気が耳に運んできてくれているものに変わっているな。

よしよし。

ちゃんとヒトの肉体として形成されているな。


マネキンのようなノペッとした見た目のヒトガタを作ったのに、テルモが入った途端ちゃんと人間だった頃の外見に変化していく様はなかなかに面白かった。

この世界って外見を作る要素に霊力が関係しているのだろうか。

不思議だ。

あとは内臓がどうなっているかも追追で良いし確認しなくちゃ。


施設の制服作って着せたり、早く馴染むよう霊力の巡りを良くするために地属性の精霊らしく花を作って貰ったり。

完全におふざけモードに入っていたために、気が付かなかった。


「……何をしているんだ?」


カノンが起きた気配に。


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