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もと神さま、新世界で気ままに2ndライフを堪能する  作者: 可燃物


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神さま、スライムを創る。




カブトガニやシーラカンスと同様、生きた化石として有名な、あの全人類の天敵。


一部のマニアックな人を除き、ガチで全世界で忌み嫌われても尚、駆除される速度よりも繁殖スピードが強すぎて、いまだかつて全滅に追い込むことが出来なかった、あの害虫。

地球が滅亡仕掛けても尚、しぶとく生き残っていた、あの不完全変態生物。


温暖な地域だと、その分大きいから人間の足先とか齧られたりしていたとか聞くと、マジで怖い。

つまり、それを踏まえると。

冒険者ギルド隣の食堂の厨房にいたヤツらなんて、人間くらいならガジガジ頭から食ってしまうのではなかろうか。

あな、恐ろしや。



何よりも恐ろしいのが「知識」にアクセスすると漏れなくモザイクすら掛かっていないフルカラーの写真が添付されてることなんだよ。

マジでヤメロ。


誰だよ、論文でもなんでもない、単なる百科事典にそんなもん載せて登録したの。

後世の人間に対する嫌がらせか。


虫食する文化があるのは分かるし、栄養素が書き込まれているのまでは分かる。

分かるが、わざわざ毛とか鱗片まで微細に仔細に載せる必要ないじゃん。

泣くぞ。


俺だって見たくて見たわけじゃない。

効果的な駆除の仕方を調べようとしたら出てきたのだ。


雑食だし、栄養が豊富なら死骸でも生きててもお構いなく食べるそうだ。

毒があっても耐性をさっさと得てしまう強靭さも持っている。

ガチで生物史上最凶生物。


八つ当たりされてグチャグチャになっているサージが足元に転がっているので、コイツに毒でも仕込んで厨房に放り投げてこようか。


繁殖力も強く薬剤抵抗も強いため、地球でのヤツらは難駆除昆虫のひとつに数えられていた。

ハッカ油のような天然の忌避剤では効果が持続しない。

除虫菊からピレスロイドを抽出する方法はあるが、果たしてあの大きさに効果はあるのか……


あったとしても、即効性により道端にあんなのがひっくり返ってたら泣く自信しかない。

アレごと街の一角を消し炭にしてしまいそうだ。


日本でも有名な、タマネギ入りG団子を作るのが効果的なのかな。

撲滅キャンペーンをして成功したって逸話があるんだし。


それも大問題なのだが、あの惨状をどうしてくれようか。

腐海の森もいいところだ。

たった数日で何故あれほどまでに汚せるのだ。

害虫も湧いて出たのだ。

きっと未知の病原菌とか検出されるぞ。


拘って作ったけれど、一度消滅させてから再建させるべきではなかろうか。

だってあんな恐ろしい現場を見てしまったら、俺、怖くてもう入れない。

殺虫剤撒いて所構わず転がる死骸を見つける度にそこの区画を吹っ飛ばすくらいなら、冒険者ギルドごとGを葬り去った方が平和的だと思うんだ。



「お〜。

 湧いてた虫、全部駆除したぞ〜」


気だるそうに入ってきたアルベルトたちが、いつもより数段格好良く見える不思議。


きゃ〜! ステキ!!

ドンドンぱふぱふ!!!


だけど近寄んな。

粘液付いてんぞ。


駆除した上にキチンと外で焼却処分までしてくれたそうだ。

マジでエラい。

料理した後片付けをしないどっかのサージとは大違いだ。


お礼に洗浄と乾燥、浄化までしてやろう。

単に俺が、アレの体液付けたヤツと同じ空間にいたくないだけだけど。


魔物避けの効果がこの街には施してあるのに、一体どうやって侵入したのだろう。


この世界でもやはり嫌われ者なGは、魔物避けの類が効きづらいし、食品を放置していると、すぐにどこからともなく湧いて出てくる。


その救世主がスライムなのだそうだ。

Gの天敵はスライム。

Gを誘き寄せうるものを先んじて食べるスライム。

なんなら本体まで率先して食べて始末してくれる。


なにせ地球でもそうだったように、意外と栄養価高いそうだし。

不飽和脂肪酸とかたっぷり含まれてるからね。

それでコレステロール値とか中性脂肪下がるって言われても食べたくないよ。

漢方になっていたとしても、元の姿を想像しちゃって飲めないよ。


そんな悪魔を率先して食べてくれる、スライム万歳!



……やっぱスライムの確保、したいなぁ。

分裂するタイミングってどんなもんなんだろ。

群生地とかないのかな。

それがなくても分裂を促進させて養殖するとか。


凄く実用的だし、その上Gまで退治してくれるなんて。

この世界でダントツのイケメンって実はスライムなんじゃないかしら。


絶滅寸前まで乱獲されるとかモテモテじゃん。

意外と強いし。


「スライムってどこかに落ちてないかな。

 スライム手に入るなら、俺なんでもする」


「とても魅力的な提案なんだが……

 足元で転がっているサージが気になって話しが頭に入って来ないから、どうにかしてくれないか?」


ゴリっと、踵で頭を踏みつけてようやく存在を思い出した。


「……そこら辺に磔にしておけばいい?」


「いやいやいやいや」


ちっ、命拾いしたな。


洗い物が苦手なら、雇うなり飯を食わせる代わりに洗ってもらうなりすれば良いだけなのに。

冒険していた時は出来ていたのに、定住した途端に出来なくなるとはどういうことだ。


スライムが飼えない現状、致し方がないので急遽食洗機を増設することにした。

大鍋になると、さすがに手洗いしなきゃいけないけどね。

それくらいはしろ。



排泄物処理は浄化槽がしっかり稼働してくれているので全く問題ない。


畑で抜いた雑草や、摘芯、摘葉したものも、休耕畑に混ぜて養分にするため端に置いて枯らしている。

なんなら、樹の妖精(ドリュアス)が率先して食べてくれている。

今は俺が手当り次第作物を植えたせいで、この面積をフルで活用しているからね。


樹の妖精(ドリュアス)も便利だよね。

イラッとする喋り方じゃなければ、もっと良いのだけど。


魔物を解体した後の、不要な部位はどうしているかと言うと、わざわざ遠くまで埋めに行っているらしい。

魔物の内臓含めた不要部位は、格上の魔物のものなら魔物避けの役割を果たしてくれる。


だが、格下のものだと食べようと掘り起こされてしまう。

下手をすると浄化をしても魔物をおびき寄せてしまう。

それを避けるためにも深く掘らなければならず、かなり手間がかかっているようだ。


本当は燃やしてしまえば楽なのだが、悪臭の苦情が出たので、燃やすにしても遠くに運ぶまではしなければならない。

ならば風の精霊術で乾燥させてから運ぶなり、土に混ぜるなりして処分する方法はどうか聞いたら、風精霊術が得意なサージが料理狂いとなっている現状では難しいと首を振られた。


おいおい出来るようになったとしても、その手間を掛けてまでするべきかは微妙だ。


外に運ぶのは水分が失われている分楽になるだろうが、深い穴を掘って埋めなければならない手間は変わらない。


他には飼料にする方法がある。

シュケイや鎧牛はさすが魔物と言うべきか、雑食だ。

乾燥させた不要部位を家畜の飼料として使うことは出来るだろう。

だが、肉を与えると凶暴性が増すので、魔物を家畜として育てるなら、畑の雑草や間引きした野菜を与えるべきと言われている。


聖水の確保に困ることはないが、魔物の肉を餌にしてしまうことで危険性が高まるのなら意味がない。

万が一霊力による浄水装置が壊れてしまったら、危険度は更に跳ね上がる。


なにせ創ったのが初めてだから、どれくらい耐久性があるのかとかまだ分からないからね。

リスクは少なくするに越したことはない。



やはり、スライムがいるかどうかで廃棄物処理をどうするか、頭を悩ませないで済むから楽だよな。

スライムも魔物なので雑食性だが、肉も植物も何も関係なしに全部食べてくれる。


水や金属のような無機物は消化に時間が掛かるし、一気に大量に与えると怒るが、それさえ気を付ければなんの問題もない。

あぁ、あと料理中、灰汁を捨てたら怒ったな。

熱かったらしい。


危険度が増すのはそれくらいなもんだ。

どうにかして手に入らないかな。


アルベルトも三バカも、商人のオジサン(トルエバさん)や他の冒険者も、野生のスライムは見たことがないと首を横に振った。


古くからある大きな町ならば、そこの責任者が飼っている場合がある。

だがうまく共生出来ずに死なせてしまうことも多々あると言うことで、たまに分裂したとしても、他の町に売り渡すようなことはないそうだ。


購入するとなったら、かなりの高額になるとか。

実際、それでゴミ問題が解決し、衛生状態が改善するのだ。

その上希少性もある。

当たり前だろう。


カノンが個人で飼っているのが常識的におかしいんだな。

だとしても、あの便利さが当たり前の生活を最初にしてしまったのだ。

俺もアレが標準になっている。


どうにかしてスライム、手に入れたいな。



『何エンリョしてるか知らないけど、アナタが創れば良いじゃない』


そう言って人の道から外そうとしてくるのはいつだってルーメンだ。

生命を「スキル」創り出すのは禁止されているでしょうに。


だが、ソレを言い出したら、地球上にあったけれど、この世界にはなかった植物を創ったことも禁忌に触れると言われた。

た、たしかに……!


それに、生命体を創るのを禁止していたのはあくまで地球での話で、この世界では誰も「スキル」の使い方に言及するような人はいないし、法律だってない。

気にしたら負けだと親指を立てられた。


多分コイツ、自分の肉体作りをまた後回しにされないために詭弁を述べているだけだ。


あぁ、それこそ、精霊の皆の肉体づくりだって、言ってしまえば生命体の生成か。

魂を宿らせていない単なる器だから、ロボットやぬいぐるみを作るのと大差ないと思っていた。


しかし、魔物素材を使った嵌合体なわけだろ。

つまり地球でも禁忌とされていた動物素体の異質同体実験と一緒だ。

生命を生み出すのに近い。


俺は大人に言われたことに関して、自分の頭でろくに考えず実行に移すクセがあっていかんな。


倫理に反することや、偉い大人たちの意に反することはしてはいけません。

大人たちの言うことをよく聞きましょう。

大人たちに命令されたものだけを「創り」ましょう。


まぁつまりは体の良いコマでいろってことだが。


そう徹底的に教育されてきたから、自分の意思で、自分の都合の良いものを創り出すと言うのが……

イヤ、人のためと言い訳が出来る無機物や、農作物の類ならいくらでも作ってきているけれど。

地球でもさんざん「スキル」を使ってきた事柄だし。


でも、生き物、しかも「知識」にすら載っていない不思議な生命体を「創る」と言っても……難しくない?

遺伝子情報も分からないし、実物をしっかり見たのなんて、攻撃をされたあの一回だけだ。


ろくに見ていない。

再現が出来ないぞ。


『別に、スライムそのものを創れって言っているんじゃないデショ。

スライムみたいに便利な生きもの創ったら? って言っているの』


俺オリジナルの魔物ってこと?

生きものなんて創ったことないから、どんだけ精神力削られるが分からないんだけど。


ん〜……まぁ、でも、ここでマゴマゴしていてもスライムは湧いて出てこないしね。

ディテールが単純な分、創りやすいか。

試しに創るなら、ちょうど良い実験になるかも。


ただ、創るとなると、明確に想像出来ないといけない。

まずは詰めよう。


スライムといえば。


水まんじゅうみたいなツルンとした丸みを帯びた軟体生物。

もしくはゲル状の粘性物体。

ここの世界のは後者っぽいよね。

洗濯糊とホウ砂の混合物のオモチャっポイやつ。

巨大化したアメーバみたいなイメージかな。

形が不確か故に下水に住めるんだろうね。


他にもタマネギ型でキュルンとした目と、とぼけた半開きの口が付いている見た目のものがあるけど……版権が怖いからね。

イヤ、この世界には版権条例も著作権もないけれど。

なんとなく、アッチ方面の外見は遠慮しておこうかな、と思う。


見た目は水まんじゅうで良いだろ。

色はイメージとしては透明で水色かな。

愛着を持てるように、両目つけて、口は……

……う〜ん。

食べるものの好みとか口やかましくなったら嫌だしな。

だが意思疎通は出来た方が便利だし、多少の知能はつけておきたいよな。

口は付けずに、その時の気分で核の形が変化するようにでもしておくか。

あとは犬や猫のように、人間で言うなら五歳程度の知能があれば良いかな。


なんでも食べる、だと街ごと食べられてしまいそうだ。

指定された箇所にあるものをなんでも食べる、で良いかな。

廃棄物やゴミの処理をしてもらえれば充分なんだし。

あ、万が一ゴミ箱にインして眠りこける酔っぱらいが出た時のために、生きてるモノは食べちゃダメって設定にしておこう。


移動方法は飛び跳ねてる方が可愛いかな。

ナメクジみたいにズルズルと這っていたら、人に踏まれてしまうかもしれないし。

だとすると、弾力性があるよな。

ぷるんとした見た目でツヤツヤしていたら、マジで水まんじゅうの隣にいたら区別つかなさそう。

間違えて誰かが食べたりしないように、ソコソコ大きくしないとね。


スライムはいじめられっ子属性があると言うし、防御力は高くしておかないと。

柔軟性も兼ね備えて、悪意のある攻撃はマルっと弾き返す仕様にするか。


どうせ創るのなら万能にしたい。

万が一の時に街を守れるくらいの強さも欲しいよね。

俺を基準にすれば良いかな。


残念ながら、自分より強くは作れないんだよね。

俺より強い存在のデータ解析を、時間をかけてじっくり丹念に全てすることが叶えば作れるようにもなるのだろうが。

まぁ、そんなことは出来ないだろうね。


あぁ、あと「スキル」を後付けすることも出来ない。

コレばっかりは地球でもなぜ生まれたのか、どこの遺伝子が改変された結果なのか、解明されていない部分だった。

分かっているのなんて、似た「スキル」が親から子へ遺伝することや、掛け合わせ方でより強り「スキル」が発現することくらいか。


理解出来ていないものは創れない。

「万物創造」なんてご大層な名前を付けておきながら、全てのものを創り出すことは不可能なのだよ。


まぁ、精霊術を使えるようにはしておこう。

自衛は大事だからね。

騒ぎがあるたびに、バンバンレーザー砲を撃つわけにもいかないから。



「スキル」を使う時のエネルギーはかなり高密度だ。

コレを生身の人間が生み出していると言う事実が、我ながら恐ろしい。


街道を創った時よりも頻繁にバヂバヂと弾け、光を不規則に周囲に放ちながら、書き出したメモを思い浮かべ「創造」する。


光が収束した両の手のひらの上には、チョコンと半透明の半球状の物体が乗っかっていた。




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