①-15 北文高校オカルト研究会
私立北文高等学校の入学式で起こった神隠し。
それは、朝の情報番組に取り上げられるほどの事件となったにも関わらず、茶釜はそんな事件は起こっていないのだと言う。
茶釜だけでは無い。
茶釜以外のクラスメイトや先生に聞いても、神隠しなんて起きていないと言うのだ。
そもそも、十色ヒトミという女生徒は入学していないという。先生に聞いても、そんな生徒は名簿に無いらしい。
それを聞いて、僕は困惑した。
彼女は本当に存在していたのだろうか。
狐につままれたような気分である。
この現象を解明するためには、『悪戯白狐』について深く知る必要があるだろう。
そう思って、僕はオカルト研究会の部室に足を運ぶのだった。
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北文高校オカルト研究会といえば、五十年以上続く伝統ある研究会である。
この学校における研究会とは、部活動設立の規定人数である五人に達していないグループのことであり、オカルト研究会は設立してから、ずっと少人数で活動を続けてきたのだという。
それでもオカルト研究会は、設立してから一度だって所属人数がゼロになったことは無いらしい。
現在、所属している僕でさえ、よく今までこの研究会が存続していたなぁと思う。
本当に不思議である。
そんな奇妙なこのオカルト研究会には、専用の部室があった。
本来ならば部活動以外で部室が提供されることはないらしいのだが、研究会という立場でありながら部室(会室?)が何故あるのか誰にもわからないという。
一時期、オカルト研究会の部室を別の部活動に割り当てる計画があったらしいのだが、計画を立てた先生が原因不明の腹痛に悩まされたり、校内の窓ガラスが突然割れるなどの超常現象が多発した。
結果、先生や生徒達は気味悪がってオカルト研究会には触れなくなってしまったらしい。
オカルト研究会っぽいエピソードだと思う。
そのオカルト研究会の部室には、古今東西ありとあらゆるオカルトについて記載された莫大な数の書物が配架されていた。オカルト好きな僕ではあるけれど、勉強嫌いなため、この莫大な数の書物を見ていると目眩がしてくる。
そんなオカルト研究会の膨大な書物の海。
きっとその中には、『悪戯白狐』について記載されているものもあるだろう。
そう考えて、僕は一限目から授業をサボり、部室にある書物の海を読み漁っていた。
「うーん、これかな?……違う。うーむ、違う、違うなぁ」
そんな感じに唸りながら、僕は『悪戯白狐』の記述を探す。
それでも、中々見つけられない。
そもそも、狐に纏わる信仰や伝承は多岐に渡る。
例えば狐の神様として、一般的に思い浮かべるものといえば、『稲荷神』が豊穣の神様として有名だ。
古くは平安から江戸に渡って信仰が広まり、それにより日本各地に稲荷神社が建てられた。その数は三万社以上と言われている。
その神社の数から、如何に稲荷信仰が昔の人に人気であったかよく分かる。
部室にある書物を読んでいても稲荷信仰に纏わるものが多い。農耕の神、商売の神といった商工業の神様としての伝承が存在し、庶民の日常に広く浸透した流行神であったという。
このような一例以外にも、狐の神様の見聞や民間伝承は無数にあり、その中から『悪戯白狐』の記述を探すことは雲を掴むようなことに思えた。
……さて、本当に『悪戯白狐』を見つけることはできるのだろうか。




