生まれ変わる日
ゆっくりと沈む
夕日を見ながら考えている
どうして人類は死ぬのだろうかと
てでぬぐうと
いやにねちょりとした
Q私は考えている
なぜ考えているなんて事は実に適当ごもっとも
とんちにトンきちきち左衛門
ざるにござるにゴリラ ニホンヒヒザル王
どこに居るのか探してみれば
レバーの下でふてくされた錆びたレバーがあるではございませんか
それを引いたとき
歩き回っていたqが扉を開ける
qおはようございます
z手を上げる
pあらおはようございます
qそれではしごとをはじめせていただきます
それぞれの机
qはノートパソコンを開くとちからのかぎり
めをみひきらき必死にキーボードをたたきつづけた
p大丈夫 関節炎になっても この会社は労災どころか
仕事が遅くなると慰謝料を医者にも見せずに
請求書を見せてきますよ
ほどほどですよお仕事は
おほほほほ
pは机に戻ると手かがみで顔を又 見ている
zがqに近寄る
zそんな量だけやる仕事では話にならん
qそんなことはありません 私は量 質共に高品質 つまり 詰まるところ良品質と自負して仕方がないくらいです
zはぁ そんなことを言ってもだな
となりの会社に提出した資料の誤字 数えること500飛んで5
数字の間違いヶ所三百あまり
これなら何もしない方がましだと社長自ら
お前のやった仕事の手直しを
いま まさに 社長室で徹夜で25日からやっているんだぞ
q二十五日って徹夜じゃないですが
一日でもねないとお肌に悪いですよ お肌に
社長も若くないんだから
z二日よ 今日で
と言って日めくりカレンダーを指さす
z社長もよくやるよ
q先輩がやったら良いじゃないですか
z俺は忙しんだよ
お前の不始末をあやまったり
pでも昨日お酒飲んでいたじゃない
zそれがなんだ
qげこじゃないですか 先輩
zそれがなんだ
pまあ適当なのよ どっちみち仕事もやらず
ふらふらと謝る振りをしてるんでしょ
zそれがなんだ
q先輩
pそれにしても社長大丈夫なの
z大丈夫だろう
何時もお茶を飲んで
人が忙しく仕事をしている中
水戸黄門を見たり
近所の友達と仕事場で囲碁を打っているんだから
pそうは言っても全部じゃないじゃない
ほんの一時間程度
それもあなたよりよっぽど勤勉よ
z誰が不真面目だと言ったんだ
それもこれもどれも何処も
全てこいつが こいつが こいつが
重念に入念に綿密に甘納豆より甘く濃密に
入念な計画を立てたというのに
シロアリのように
気づいたときには
qシロアリはひ弱なんですよ
それにシロアリがいれるような
じめじめとした乾燥しない場所を作る方が悪いんです
自然は悪くない その法則に従わない
zじゃあ水にでも沈めてやろうか
pシロアリはありじゃないけど水性でもないんだから
それは暴言よザルガワちゃん
zそれより仕事をしろ仕事を
pはいはい それにしても
qおやつは
z仕事をしろ
p仕事をしてる音がしないわね
q確かにザリガニ
zうるさい後輩
p日本サワガニ
qザリガニ
zうるさい 仕事をしなさい部長命令だ
pぷっちょめいれいじゃ仕方がないわね
qぷっちょならしかたがありませんね 私も感服缶コーヒー二本分です
z誰がぷちょだ だれが ふざけていると 減給するよ
q言及だけにってか
z仕事をしなさい 社長だってオケラだって私だって社会だって
忙しく仕事をしているんだから
君だけだじゃれだけ言って仕事をしているわけじゃないんだかね
pでも芸人さんはだじゃれを言うじゃない洒落だけに
zだじゃれと洒落は違う
q何処がどう違うんですか
両耳そろえてきっちりかっきりくっきりキラキラ
新札揃えて茶封筒に入れて持ってきてもらいましょうかね
えぇザルカワさんよぉう
zお前は仕事をしろ ヌイアナ お前は
あの前衛芸術めいた
突発めいた言動の数々を
洒落だと何処に風刺が効いている
何処が風流だ
何処と何処がかかっている
pでも現在のあべこべさにかかってるんじゃないの
q一枚
z何が一枚だ
お前は茶でも入れてこい
100℃程度の
今引き出しから水銀性の躰に折れたら悪そうな
温度計をプラスチックのすこし柔らかい長細いケースから出して用意しているから
三人分 いや社長の分ももってこい
qいやです
zなんでじゃい 部長兼お電話係兼お前の先輩の俺のことが
俺のいうことが
お前の失敗で毎晩毎晩接待続きの胃に穴が今にも開きそうで開かないような
そんな 迷惑を量産している
お前は茶も沸かせないのか出せないのか だせえぞ 出せよ
pセクハラパワハラバイセクシャル
zそれはかかってないだろ
p上手いこと良いわね
z何がだ
qメモメモ
z茶を出せよ
qいやです
zなんでだよう
qお二人の会話は非常に面白いですから見逃すわけには
zお前は帰れ そして日本一周して
ロシアか中国の国交領土に足を踏み入れて二度と帰ってくんな
どうせ俺が生きている内に帰ってこないんだから
q上手いですね
zだじゃれじゃねえ
pあんただってだじゃれいってるじゃない
上手くないけど
qだじゃれ じゃない ぷくく
z今度こそ首だ
qでも私 もうこんなにしごとしてきました
それに家に帰ってからも
p何やってるのお肌が荒れるわよ
zそうだぞ 仕事をすると俺の仕事が増える
p大した仕事もしてないじゃない
zうるっし
Q大丈夫です仕事と言ってもお肌の手入れです
pあら 大丈夫 化粧品も品質が大事だから メーカー今度教えてあげようか
知り合いにメーカーの人が居て安く買えるのよ
zお前らヌイアナ 昼休みにやれ私語は
今度仕事中に会話してみろ
社長に直談判だ
p自分で言えないなんてださいわね
q…
z……お前らが言っても聞かないからだろう なあ だろお
qさあ仕事をしましょう
zお前は帰れ 出来ないならねていろ
なあ電車で帰り方も分からないなら
おじちゃんが安月給からタクシーよんであげようか
qおなしゃす 帰りに
pあら私もお願いしようかしら
毎晩毎晩キャバクラがよいの部長さんに
zうるっし さ さっさと仕事だ 仕事
お前は パープル上田
辺りを見回すq
qそんなおかしな名前の ああ
zお前だよ そんなぼけをかますくらいなら
お前がここに来た当初の履歴書 今持ってこようか
寝癖ピンボケ 忘れもしない 社長のひと言がなければ
p惜しかったわね あなたの無意味な人生で最も出来たはずの
最善策は それを覆せなかったこと やれるはずなのにやれない
無意味な人生ね もう
zそう あの時 誤字脱字を可愛いと思ってしまった社長のひと言が無ければ
今しゃちょうとおれはこんなにも苦しまずに済んだのだ
野鳥は拾ってはいけない そのままにしとけば良かったんだ
q先輩 私が大空に羽ばたく それを待っているんですね
zオコジョにでも食われれば今頃
死にゆく物を拾ったが故に
pまあ 大体 巣から落ちてるだけだから
qええ 健康優良日本ナデシコです
zお前はいつの時代だ
p令和じゃない
qいえ 平成と書いて波乱 平成生まれです
pそうね 嵐の前は 本当に穏やかって言うし
そう言えば社長静かね 何時もこの時間 再放送の水戸黄門見ている頃だけど
zそう言えば パープル上田 そう お前だよ
パープル上田 周りを見るな お前 そうパープル上田
俺の指先の延長線上何も遮ることなく その線の上には
パープル上田 君きみ パープル上田君しか
存在しえないんだからねパープル上田君 教訓に今日から君が君だと
その名前を言われたとき 理解できるように訓練を訓示しておくよ
qはい平林
p何を言ってるのあなたたち
zきいてないじゃないかパープル
q上田です
P早くお茶菓子でも二人で持って行きなさいよ
zなんで俺が
qどうせ暇でしょ 私の誤りし貸してないらしいし
p早くしなさい
zパープルお前はお茶を沸かせ 流石にそれも出来ないほど
q何を言っているんです
無意味な文字列を有意義に直すより
お茶検定七段所有している 日本茶入れ連盟裏三家の一家
なのですから 緑茶せんじちゃ水出し氷だし高利貸し氷菓子から
子鬼退治に大鬼退治 一寸法師にフェンシングを教え
金太郎にきびだんごを与え八百長をさせ
浦島太郎から横取りした細菌兵器を隣国に売りつけ
今まさにそのワクチンで大もうけをたくらんでいるわたしにできないことなど
お茶沸かしと書類制作くらいな物です
zお茶が沸いたぞ
pお茶菓子も用意できたわ 龍屋のプリン
zじゃあ行くか
qええ
pそうね
z社長失礼します
ノックの後
社長室で目にしたのは
机のノートパソコンで突っ伏して寝ている社長の姿であった
その形相 すさまじく残忍残酷であり
qきゃぁああー
p誰が犯人だ
z社長 大丈夫ですか
お前らこんな時に
社長 眠ってるんじゃ 脈が
q先輩が やっぱり
z何がだ
q何
p第一発見者
q犯人
z 人が死んでいるんだぞ お前ら おまえら お前らと言う奴は 心底見損なったぞ
現実なんだぞ 演劇でもアニメでも小説でも噂話でも無い
q先輩 何言ってるんですか
zなんだ
qこれくらいワクチンで
zお前 現実なんだぞ 嘘を言っても
pそう言えば
qええ 老いから脱出する玉手箱のワクチン
その名もキビナゴン
一口食べれば死人も咳き込み産声を上げ
2口口にすれば精子と卵子に元どおり
三口食べれば
zp食べれば
q驚くなかれ前世の死に際に立ち返るという
z前世はあったのか
pあるわけ無いじゃない
zえ
qそうですよ 遺伝子の親を乗っ取るだけです
zそんなことはいい 早くそれを
qそう焦らずとも
一口与えれば
ムクムクとゆっくりと
口に入れられ動く社長
tなんだ あの世で豪勢にキャバクラに行っていたというのに
生前は恥ずかしくてとてもとても行けなかったが
年上だと分かれば ああ戻らなければ 我が愛しきじゅりあ
ハムナプトラ ジェイソン・ステイサム エボリューション
どぐらまぐら ぱんぷきんはんぷきんバター味醤油小袋別付き
p大丈夫なの 頭ぱっぱかぱーに
q大丈夫です
この世に来た反動で肉体と相容れていないのでしょうが
その内収まります
tああ糸麗しのオアシス ユートピア メイドイン冥土
その名にふさわしい鳴動なるこの胸の高まり
いや 脈打っている 残業に次ぐ残業
死んだ犬に似ているからと
あの犬よりも頭の悪い従業員を雇ったがばっかりに
野良犬は拾ってはいけなかったのだ
あれは狂犬病とかそういう次元じゃない
そう山犬 いや 日本狼だったのだ
Zおれも おれもあの時代に若帰りたい
あの失敗を そう子供の頃じゃなくていい
せめて そうせめて Pとのあやまちなどじゃなくていい
せめて せめて そう 攻めた考えで
彼奴 そうさ 爽快に 攻めた考えで 彼奴が
試験に受けに来た日にまで若返れば
別の会社を受けてやるこんな会社じゃなく
コンビニでもいいきっとここよりも
そうおれは生まれ変わるんだきっと
Pっあコンビニはここよりも大変よきっと
Qっあ 駄目ですよ
Tメイド~~~~ぉおおおお
だんごを貪るZ
崩れ落ちるZ
T生まれ変わるんだ~だああああ




