気がついたら知らんところにいた話
外が明るいのか、瞼の裏が赤い。
ここはどこだ...。
薄く目を開くと、外のあまりの眩しさにもう一度目を閉じてしまった。
「あれ?おきたかな?」
聞き慣れない声が聞こえてきた。
話しかけられては返さないと迷惑だ。
光のダメージをあまりの受けないように、目の前に手をかざして起き上がる。
「はい。起きました。」
律儀に返してしまった。ちょっと固すぎたかな?
「起きましたって...。そっか、良かったよ。」
と、少し苦笑気味に白い髪の少年が返してくれた。
と、ここに来て大きな疑問がある。
「あの...。ここどこです?」
座っている僕と少年。少しの沈黙の後。
「ぶほッ!今なの?!」
突然少年が吹き出した。
「え?」
まさか笑われるとは思っていなかった。
「ハハッ!面白、フフフフフフフww」
少し悶えた後、さっと真面目な顔になって向き合ってきた。なにそれこわい。
「そうだね、君みたいにここに来てから暫く寝てるのは珍しいから、最初にする説明を忘れてたよ。」
ほう。
「ここは空間と空間の間。世界のバランスの管理室だよ。」
もっと分からなくなった。
「ええと...。つまりね、ここは君がいた世界の人口や気候を管理するところで、空間の間だから、世界のどこにでもあって、どこでもない場所ってことだよ。」
空間の間の理屈はよく分からないけど、つまり僕たちのせかいを管理してるっていうのは分かった。
「何となく分かりました。」
少年がほっとした顔をして話を続ける。
「それで、君がここに来た理由。」
「はい。」
それがよく分からない。今まで何をしていたのかも朧気だし、自分がどういう人間なのかも分からなくなっている。
「何も覚えていないのはいいんだよ、僕がそうした。」
「僕の記憶をいじったんですか?」
いじった...。少し言い方が悪かったかも。責めるような言い方になってしまった。
でも、頭をいじったことは事実だ。
「うん、いじったよ。」
「え?」
と、悪びれる様子もなく続けた。
「ごめんね、君たちとは価値観が違うのかもしれないけど、君のためなんだよ。」
「僕のため?」
「ああ。君のためだ。」
ふうん、ならいっか。
と、自分の中で完結した僕を見下ろして、
「ふうん、ホントに面白い。」
少年は口の端を釣り上げて怪しく笑った。
「君の記憶は、今の君の精神体では耐えられないからね。断片的な記憶だけ送るよ。」
それだけ言うと少年は僕の隣に腰かけ、額に人差し指と中指を当てた。
膨大な記憶と知識が流れ込んでくる。
「へえ。」
僕がつぶやくと、
「そっか、君はとっくに壊れてるんだね。」
と、面白そうに僕の顔を覗いてくるので、ついムッとして
「何ですか。」
と言ってしまった。
確かに思うことはあったが、なんだか少し自分の事のように思えなかった。
「ふふ、何でもない。さて、次はなんで君がここに呼ばれたのかだね。」




