読書感想文の定型文 超ひねくれた私が大嫌いだった読書感想文
私は読書感想文が大嫌いだった。そう、「大」が付くほど嫌いだったのだ。もちろん今もだが。
けれど読書感想文とは必ずと言っていいほど夏休みの課題に出るもので……本当に嫌だった。今日はなんか噂で読書感想文のことを聞いたので、小学生のころを思い出して書いてみることにしたのだ。
なぜ嫌いだったかというと……
まあその前に、そもそも読書感想文とは。うん、本を読んだ感想だ。学校で出される。課題図書があって、大体その中から書くのが基本だと思う。
まあ私は小一~小六まで真面目に書いていたわけだ。文を書くのは苦手ではなかった。いやむしろその年齢にしては得意に分類される方だったと思う。けれど、私は、読書感想文が嫌いだった。
ずっと嫌いだったが、明確な理由がわかったのは小五の時だったと思う。
なぜ読書感想文は、本音を書いちゃいけないんだろう?
その時にはすでにひねくれていた私は、夏休みの初日、そんなことを思った。
課題図書を読み終えた私は、正直つまらなかった課題図書を一瞥し、大きく溜息を吐いた。
子供心に理解していたのだ。読書感想文に、「つまらない」や「~~が矛盾している」「主人公の性格がおかしい」など書いてはいけないと。
……たとえ、それが、本音だとしても、だ。
例えば――
A子さんとB子さんの二つの感想文。二人は同じ課題図書について書いていた。1500字以内の感想文だったとする。
A子さんの文章。
「私は、○○という本を読みました。……(略)……私はこの本の作者は、こんなことを言いたかったのだと思います。私はこの主人公から、こんなことを学びました。これを、これからに活かしていこうと思います。」(1458字)
まぁ典型的ないい子ちゃんの文章だ。ちなみに私にとって、自分が言われる場合「いい子ちゃん」と「優等生」は貶し言葉である。
B子さんの文章。
「私は、○○という本を読みました。……正直この主人公の頭はどうかしていると思います。こんなことをする人間がこの世にいるわけないです。△△したからかもしれませんが、私ならこうします。こうすれば、自然になると思います。少し、非・現実的な物語だなと思いました。……特に学んだことはありませんでした。」(723字)
さぁ、あなたが先生ならどちらの方を高く評価する?
……そう、A子さんだ。「普通」はそうだ。あ、ちなみに「普通」も地雷。
字数ギリギリまで書いてるし、ちゃんとしている。けれど、これは、本当にA子さんが本心で、本当に思って書いたことだと?
本当にそうなら尊敬する。けれど、ほとんどの場合そうではない。これは、少しその読書感想文で、どう書いたら「先生ウケ」、「大人ウケ」するか――そういうことを考えて書いた文章に他ならない。
対して、B子さん。確かに先生ウケはしないかもしれない。
……けれど、ちゃんと本音で書いているのが、伝わってくる。
読書感想文とは本来そういうものなのではないだろうか。
子供が先生ウケを狙って、背伸びして書いたものと、子供が子供らしく、本音で、書いたもの。その二つなら、前者の方がやはり評判がいいのだ。後者は、「親の教育が――」とかいろいろ言われるのだ。
それって、おかしくないか?
そう思った私は、読書感想文を書く気力が失せた。
そしてまた課題図書に目を向け、溜息を吐いた。
課題図書も、私が読書感想文を嫌いな大きな要因だ。
なぜあんなに綺麗事ばかり書かれているのだろうか。
なぜあんなにつまらないのだろうか。
なぜ読書の感想を書くのに、綺麗事なんて学ばなければいけないのだろうか。
そう思い私は悪役令嬢もののラノベを読みはじめた。
小六になった(もっとひねくれた)私が読書感想文用の、学校配布「これを埋めればだいたいは書ける!」的なヤツに、「私はこの本から、[ ]を学びました」と書かれていて吐き気を催すのは、また別のお話。
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