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私の旦那さま♡  作者: しいたけ
一章
8/38

モーニングコーヒー

 目覚ましより五分も早く起きるなんて何年ぶりだろうか。目覚ましとの死闘の末起きるよりも清々しい朝を迎え、俺は目の前にあるダークネスなモーニングコーヒーを口へと運んだ。


(何故コーヒーから鉄の味がするんだ……?)


「お、お味は如何でしょうか?」


 ダークネスの運び屋たるサンシャちゃんが、朝日より眩しい笑顔で俺の顔を覗き込んでくる。


「お、おいじいよ……っ!」


 俺は有らん限りの活力でサンシャちゃんに笑顔で答えた。なんならこの後死んでも良いくらいに気合を入れた。


 ──ガチャ


「おはようございます旦那さま。モーニングコーヒーを…………あれれ?」


 アサヒーナは俺が起きていることに驚いているが、それよりも早くいつもの(解毒剤)が欲しい。俺はサンシャちゃんのコーヒーを清水の舞台で切腹する勢いで飲み干し、アサヒーナのコーヒーに手をかけた。


「こっちも残すと勿体ないから貰おうかな……」


 二人の気分を害すること無くやり過ごすために一言付け加える。やはりアサヒーナのモーニングコーヒーは美味い。俺好みの味を心得ている。


「ふーっ。二人ともありがとう。今日は良い仕事が出来そうだよ」


「……そうですか」

「へへ、ありがとうございます♪」


 ──バタン……


 二人が部屋を後にし廊下から微かに二人の話し声が聞こえてきた。


「わ、私も少しコーヒーを頂いてもいいですか?」

「? どうぞ」


 サンシャちゃんがアサヒーナの煎れたコーヒーを飲もうとしている。


(おいおいアサヒーナ。それは止めないとサンシャちゃんのコーヒーが劇薬だとバレるだろが……)


 俺は扉に張り付きヒヤヒヤしながら次の言葉を待った……。



「―――とても苦い……です」

「……ふふっ」


「こんな苦い物を毎日飲んでたら旦那様死んでしまいますよ!」

「……そうね♪」


 待て待て。サンシャちゃんたった今俺に毒を飲ませたよね? あれはセーフなのかい?


「明日から私が旦那様のモーニングコーヒーをお持ちしても宜しいですか!?」

「…………」


(止めろ! 止めるんだアサヒーナ!!)


 俺は扉の向こうのアサヒーナの脳に向かって全力で念波を送りつけた。


「……いいわよ。明日から宜しくね♪」


 ──ガクッ


 俺は項垂れその場に跪いた。


「やった♪ それではコーヒーの練習をしてきますね!!」


 ──タタタタタ……


 走り去るサンシャちゃんの足音が消え、アサヒーナの気配が強まる。


「聞きましたか旦那さま?」


「……ああ。俺の死刑宣告がな」


「私は旦那さまが早起きなされるのなら何だって良いんですけどね♪」


「いやいや、毎日劇薬(アレ)を飲んだら本当に死んでしまうぞ……?」


「大丈夫ですよ。彼女は頑張り屋さんですから、直ぐに上達致しますよ」


「それはそうだが、何よりアサヒーナの煎れたコーヒーが飲めなくなるのが辛い。昼はアサヒーナが煎れてくれ」


「……はい♡」


 ──タッタッタッタッ


 心なしかいつもより軽快な足取りでアサヒーナは去って行った。


(…………仕事するか)


 俺はデスクに座り、書類に目を通し始めた。

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― 新着の感想 ―
[一言] >目覚ましとの死闘の末起きる (;'∀') もうまさしく こんな感じで拙者は 毎日生きておりますww
[一言] シリアスとラブコメのギャップが凄い!ww これぞしいたけさんって感じですね! 最高です!!w
[一言] ハードボイルドの中にさり気ない萌え。 >「それはそうだが、何よりアサヒーナの煎れたコーヒーが飲めなくなるのが辛い。昼はアサヒーナが煎れてくれ」 「……はい♡」 ──タッタッタッタッ 心なし…
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