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私の旦那さま♡  作者: しいたけ
二章
23/38

ハッピーバースデー

  ──コンコン



  ──コンコン



  ──コンコンコン



「…………ぅ……え?」



「旦那様?」



「うー……あー……?」



 凄まじい倦怠感を一身に背負い、何とか頭を持ち上げる。時計の針に焦点が合うまで時間が掛かり、その間にも瞼がズシリと重くなる。


「旦那様朝ですよー?」


「あ……さ? …………朝ぁぁ!?」



  ──ガバッ!!


 眠気の銀幕を袈裟斬りに一刀両断するかのように、眠気がストンと落ち、瞼がパッチリと開いた。


「うおっ!! うおおおお!?」


 裸の自分に気付き、昨日の出来事が頭の中にフラッシュバックする。



「うへへ! うへへへへ!!」


「旦那様ぁ?」


 サンシャちゃんの呼び声がまるで不審者を疑うかのようだが、鏡にチラリと映る今の俺の顔は間違いなく不審者である。


「そう言えばアサヒーナは…………」


 隣で寝ていたアサヒーナの姿が無い。先に起きたのだろうか。まぁ、一緒に寝ているところを見られたらそれはそれでマズいか……。


「すまないサンシャちゃん。今行くよ」


「は~い。食堂でお待ちしてます~」


 一先ず昨日脱いだ服にもう一度袖を通す。ネクタイを締めていると鏡に映る小さな箱が見えた。



「…………何だこれ?」


 リボンの付いた手のひらサイズの小さな赤い箱。真ん中から開くその箱は、中に小さなメッセージカードと猫の絵が描かれているマグカップが入っていた。




『ハッピーバースデー 旦那さま』



「……あ」


 カレンダーを見てようやく思い出した。そう言えば今日は俺の誕生日だ…………。



「アサヒーナめ、照れ隠しにかわゆい渡し方しよって……」


 俺は箱の蓋を閉め、デスクに丁寧に仕舞い込んだ。後で眺めてニヤニヤしよう。それより先ずは朝食とアサヒーナの顔を見に行くか。




「~♪」


 ルンルンスキップで食堂へ行くと、食堂は1メートル先も真面に見えない程の深い霧に包まれていた。


「な、なんだぁ!?」


「ひえぇぇぇ!! 旦那様ぁぁ~!」


 食堂の霧の奥深くからサンシャちゃんの悲鳴が聞こえてくる。しかしその姿は見えない。


「サンシャちゃんどうした!?」


「突然トーストが泡だって、紫だちたる雲の細くたなびきたるです~!!」


「どゆことぉぉ!?」


「アサヒーナさんの代わりに朝食を作ったらこうなりました~!!」


「なんでぇ!?」


「ああっ!? トーストが私の服を齧ってますぅ!!」


「はあぁ!?」


 慌てて換気扇を回し、窓を開けて霧を外へと追いやる。霧が晴れるとサンシャちゃんが厨房の奥でグスンと泣いており、服は濡れ所々大きく破れていた。


「エロっ……」


 思わず心の声が漏れた。

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― 新着の感想 ―
[良い点] >「突然トーストが泡だって、紫だちたる雲の細くたなびきたるです~!!」 ここ爆笑しました。 それにしても、アサヒーナはどこへ。
[一言] やっぱサンシャちゃんはスゲェなwww ある意味最強なのでは?ww
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