お風呂シーンはDVD版のみ御覧頂けます
「お、もう上がったのか」
「うむ、中々に良い湯であったぞ」
風呂上がりのコーヒーならぬ、風呂上がりの猛毒を一気に啜るヒメたん。後ろでは嬉しそうなサンシャちゃんが次々と猛毒を生産している。此方としてはその湯気だけで目がシバシバするのだが…………
「……してその方。力を僅かながら取り戻したと見えるが?」
「!」
「覚悟は出来ておるのか?」
「…………」
猛毒を嗜みながら俺を睨みつけるヒメたん。サンシャちゃんがさらりと俺の分まで煎れてくれたが、とてもじゃないが飲めん。と、言う訳でアサヒーナに目配せをして光速ですり替えて貰うことにした。
「まだ極々一部だ。まだ奴等を仕留めるだけの力は無い……」
「当たり前じゃ。そもそもその力は古より伝わる神々への【信仰心】による物。大いなる古の神は唯一無二の神として崇められたが、時が経つにつれ神は増え信仰心は散り散りとなった……その全てを集めるまでは奴等には対抗出来ぬぞ」
「次の欠片の場所の目処は立っている。時期に連絡が来るはずだ」
「奴等もアホでは無い。時間はそう長くは保たぬ……ぬかるなよ?」
──ゴクゴク
毒々しいコーヒーを一気飲みし、ヒメたんは桜吹雪を巻き起こし消えた。ヒメたんが飲んだコーヒーカップの隣には、小さな花を付けた桜の枝がしんみりと残されていた……。
「……イマイチ良く分からない奴だ」
「旦那さま? 今の方は……」
「……幼女……かな?」
桜の枝を手に取り、アサヒーナは可愛らしい笑みを一つこぼした。アサヒーナと桜の枝がよく似合い、俺は思わずそれに見取れてしまった…………
「だ、旦那さまあまりジロジロと見られては……その……」
「あ、あぁ! すまない。それはアサヒーナにあげるよ! ハハ……」
「本当ですか!? 嬉しいです!!」
「―――!!」
素直な喜びをとびきりの笑顔で表現したアサヒーナを見て、俺は胸の鼓動が高鳴るのを抑えられずにいた。それ程までに彼女の笑顔は美しかったのだ……。
だから、もう少しだけ……一度は無くした命だからこそ……今度こそは終わらせる……!!




