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私の旦那さま♡  作者: しいたけ
一章
19/38

寝起き

「……う、うぅん……旦那さまぁ……」


「…………あ……」


「……うぇ?」



 今の今まで黙って見ていたが、起きるまでずっとアサヒーナは寝言で俺の事を呼び続けていた。正直すっごい恥ずかしいんだけど……!!



「やあ、おはよう。具合はどうかな?」


「……だ、旦那……さま?」


「おう! 俺だぞ?」



 イマイチ目覚めの悪いアサヒーナに、俺は飛び切りのスマイルをお見舞いした。するとアサヒーナは飛び起き服のシワを伸ばし深々と頭を下げた。



「も、申し訳在りません!! このような醜態を曝してしまい―――!!」



 ペコペコと高速で頭を上下させるアサヒーナの肩を、俺はひっそりと叩いた。



「いいんだ。君が無事ならそれで。寧ろ危険な目に合わせてこっちこそ申し訳ない……」


「い、いえいえいえいえいえいえ!! そ、そのような事は決して!!」



 アタフタとアサヒーナが手足をジタバタさせる。これ程までに取り乱すアサヒーナも珍しい。



「それより……」


「な、何でしょうか……?」


「ずっと寝言で俺の事を呼んでたぞ?」


「……!!!!」


「うわ……耳まで赤くなったぞ……大丈夫か?」



  ──バチーン!!



「ウボォァ……!!」


「やっぱり旦那さまはあの時絶命すれば良かったんですぅ!!」



  ──バタンッ!!



 プンプンと怒りながら部屋を出て行ったアサヒーナ。とりあえず元気な姿に戻ったから良しとしよう。



(さて……問題は奴だな…………)



 俺は窓の外に見える一台の車に、ため息漏らし思案を巡らせた。





「……居るんだろ?」


「……ああ」



 部屋に来るなりニヤリと薄ら笑いを浮かべた芳信。どうやらコイツに下手な隠し事は出来ない様だ。



「目を見れば分かる。鏡を使ったんだな?」



 ニヤニヤと笑いながらソファにもたれ掛かり、まるで勝ち誇った様子で俺を見つめる。



「どうするんだ? 俺を処分しに来たのか?」


「まさか! 俺はな……単純に嬉しいんだ!」



 芳信は立ち上がり、拍手を始めた。どうやら俺が鏡を使うことは想定内で、それを揉み消すだけの用意は既に出来ていると言う訳だ…………。



「本来なら鏡の欠片を更に手渡したい所なんだがな……肝心の欠片がまるで見付からん。どうやら魔界の奴等があらかた攫ってしまったらしい……」


「俺の復活に加担したらお前も処分対象になるだけだぞ?」


「クックックッ……その辺は上手くやるさ。それより、お前はお前の心配をした方が良い。そろそろなり振り構っていられなくなる奴等が出てくる頃だ……」



 薄気味悪い笑いを浮かべ、芳信はスーツケースを手に扉の前へと立つ。



「……どいつの仕業だ。昨日の悪魔共は……」


「……さあな?」


「教えてくれないのか?」



 部屋の温度計が見る見るうちに降下し、空気が冷たく重い物に変わり始める。芳信の吐息が白くなり、ドアノブには霜が降り始めた。



「少し力を取り戻したからと言って、調子に乗るなよ? 今のお前を殺す事は赤子の手を捻るより楽だと言う事を……忘れるなよ」



  ──ゴドンッ!



 ドアが斜めに切り裂かれ前へと倒れる。芳信はゆっくりとドアを潜り低い足音で屋敷から去って行った。



「……人の家を壊すなよ…………」



 部屋の空気を元に戻し、倒れた扉を起こし立て掛ける。



「時雨はいるか?」


「お側に……」



 スタッと後ろに時雨が降り立ち、右手が電動ドライバーへと変形する。



「修理を頼む」


「……承知!」



 トンテンカンと時雨が修理をする間、俺は食堂で朝食を取ることにした…………。

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― 新着の感想 ―
[一言] 今日もアサヒーナちゃんが可愛い( ˘ω˘ ) そしてうちにも時雨が欲しい( ˘ω˘ )
[一言] ラブコメからのハードボイルド。 相変わらずの切れ味。 楽しいです。 でも、いのちだいじに。
[一言] 正直な感想として、アサヒーナが可愛くて狡いです (*´▽`*)
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