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私の旦那さま♡  作者: しいたけ
一章
15/38

修理

 時雨の修理を待つ間、俺はデスクの引き出しから例の鏡を取り出していた。


(ついでにコイツが本物かどうかも見てもらうか……)



 ──コンコン……ガチャ



「終わったか?」


「ああ……」


 オイル染みたマクスウェルの傍らに、腰掛けた時雨が目を開いて最後の修理を受けていた。


「すみません旦那様……」


「いや、いいんだ。俺が無理をさせたから……」


 申し訳無さそうに謝る時雨の頭を撫で…………よく見たら時雨の右手が漫画でよく見るようなマジックアームになっていた……


「な、何だコレは!?」


「すまんな、あまりにも損傷が酷くてな。部品が来るまでこれで我慢してくれ」


「大丈夫です旦那様。私これでも頑張れます……」


「そ、そうか……?」


 マジックアームをワキワキさせる時雨。どう見てもコップを掴むくらいしか出来ないと思うが……。


「激しく動くと取れるからな? パーツが来るまで大人しくしてろよ」


「そ、そんな……」



 マクスウェルは修理が終わると、伸びを大きくすると手をニギニギと繰り返し、ゲスな笑みを溢し始めた。


「それじゃあ……報酬を貰おうか?」


「まあ、待て待て。疲れただろうからコーヒーでもどうだ?」


「お、八郎のくせに気が利くじゃないか!」


 俺は内線電話を取った。



「あ、サンシャちゃんかな? すまないがコーヒーを一つ頼むよ。お客様用の豆でね」


「畏まりました旦那様!」


 受話器越しにサンシャちゃんの張り切る声が聞こえてきた。奴にはすまないがコーヒー()でくたばってもらおうか……。



 ──コンコン


「コーヒーをお持ちしました」


「ありがとう」


 ──ガチャ


 歪んだトレイにコーヒーを乗せ、サンシャちゃんがヨロヨロと入ってくる。余程気合いが入っていたのだろうか、溢れんばかりに注がれたコーヒーは案の定少し溢れている。


「おろ!? 新入りメイドちゃん!? しかも巨乳!? 八郎テメェ!!」


「止めろ、下品だぞ…………」


「コーヒーをどうぞ。私、新入りのサンシャと申します。宜しくお願い致します♪」


「(色々な意味で)宜しくね♡」


 鼻の下を伸ばしきったマクスウェルがコーヒーを受け取り、笑顔でサンシャちゃんの胸をジロジロと見ている。


「報酬はこっちにしようかのぅ?」


「……?」


 スケベオヤジ全開なマクスウェルがコーヒーを一口…………




「……ウッ!」


「どうした?」


 怪訝な顔をするマクスウェルに、わざとらしく不思議そうに問い掛ける。


「何だ……急に腹が…………!!」


「えっ!? お客様大丈夫ですか!?」


「トイレならココを右に出て突き当たりの左だ」


「わ、分かった…………」



 ──バタンッ



 それからマクスウェルは二時間トイレに籠城し、戻ってきた頃にはゲッソリと痩せ細っていた。


「大丈夫か?」


「仕事し過ぎたかな? すまんが報酬はまた今度貰うわ……それじゃ……」


 フラフラとマクスウェルが屋敷を出て行く。俺か内心喜びの舞を踊った。


「旦那様、お客様は大丈夫でしょうか?」


「きっと仕事をし過ぎたんだろう……」


 俺はこっそりコーヒーにペンを入れ、窓際の観葉植物に一滴コーヒーを垂らした。


 すると観葉植物は瞬く間に枯れ果て、見る影もない程にシナシナになってしまった。


(客用の豆はサンシャちゃんに使わせないようにしないとな。うっかり客を殺しかねん……)


 俺は天然死神ドジっ娘の行く末に少し不安を感じていた…………

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― 新着の感想 ―
[一言] 優れたリーダーは構成員の適性を見極め、有効に活用します。 但し、相手を殺してはいけませんが。
[一言] マジックアーム可愛いww そして、最強キャラはサンシャちゃんなんやなって( ˘ω˘ )
[一言] >溢れんばかりに注がれたコーヒー やべぇ Σ( ̄□ ̄|||) 全部飲んだらどうなっちゃうんだろ?(恐怖)
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