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破滅転生譚  作者: chalk
第四生 道化の涙
26/33

24転目 使徒

 しばしの静寂が、空間を支配した。

 そして......。


「がはッ...! キミ...いったい何を......?」


 狂死郎は地面に倒れ伏した。

 次いで偽気に目を向ける。

 その情景で、彼は推し量るだろう。

 偽気はすでに倒れていた。


(アクシルは...運動連鎖を起こし、波を加速させる高等術......。まさか――)


「技を相手の人体に直接引き起こせば......それは術者にも跳ね返りが...来るんだっけか?」


 偽気は、前期での戦闘で三波の使っていた技を思い出していた。

 彼女はこの技を用いて偽気との勝負を相打ちにさせようとしていたのだ。

 

「ボクの血液を...加速させているのか...! まさか......相打ち狙い!?」


「そんなくだらないこと...するつもりはないさ......。でも、ちょっぴりばかし我慢比べと行こうぜ...ピエロ...。」


 吐血を繰り返し、互いに痛みからのたうち回る。


(血液を無理やり回して、少しでも早く毒素の分解をするんだ...! 頼む...早く......!!)




 血管は裂け、心臓が悲鳴を上げる阿鼻叫喚が続く中、いずれ解放が訪れる。


「ハァ...ハァ......。これで、やっとこさ...自由だ」


「ゲホッゲホッ!! やっぱキミ...イカれてんね。毒は分解出来ても君の身体は限界だろうに」


「そりゃあ...お互い様だろ?」


 フラフラと立ち上がる両者が再び睨み合う。

 互いに満身創痍。

 決着の時は近いだろう。


『スペード』


『リセル』


 偽気の太腿に刺さっていた針目掛け無数のナイフが偽気を襲うが、それらの力は偽気の前に全て凪ぐ。

 それを見た狂死郎は、偽気へ肉迫する。


『リペル』


 狂死郎は弓状に進路を曲げられるが――。


『クラブ』


 それを見た狂死郎は、偽気の正面、そして背後から二台の自動車を放り込む。

 偽気はそれを側転で飛び退けると同時に、手のひらから地面へ波紋を引き起こす。


『クレイグ!』


 体制を崩した狂死郎へ、体操選手さながらの体捌きで蹴りの起動を描く。


『空螺旋!』


「ぐあッ!」


 鞭の様に宙に伝わる衝撃が、確実に狂死郎に届いた。




「偽気ぃ......。お前一体――」


 朱莉は朦朧とした意識の中で、2人の戦いを見届けていた。




「ならこれはどうだい?」


『キングスペード』


 無数のナイフを無作為に投げ付ける。

 それらは偽気を取り囲むように散らばり、一斉に吸い込まれて行く。


『我流 四転全方の型』


 以前、鳥助との戦闘でも見せた歌舞伎役者のような構えである。

 片手を前に突き出した構えから身体を捻り、弧を描く様に腕を薙ぎ払う。


『リペル』


 巻き取られるように進路を変えたナイフ群は、散り散りに飛んでいく。

 さらに回転させた身体を軸に、後ろ回し蹴りを合わせ、狂死郎に空気の衝撃が襲う。


「チィ...」


 既の所でそれを見据え、狂死郎はその衝撃を去なすが、その隙に再び偽気は奇怪な構えを整えている。


(マズイな...もう、だいぶ意識が朦朧としてきた。使徒の攻撃はそこまで重くない......。だがさっきまでのダメージで思うように身体も動かせない.......)


 狂死郎は既に極限状態にあるようで、目を擦り、耳を抑え、掠れゆく五感に抗っているようであった。

 偽気もそれは同然だろう。

 互いが息をついたその時――。


『ミス・ディレクション』




 偽気の足元のマンホールが、途端に吹き上がる。


「しまっ――」


 重く分厚い鉄の塊が、こめかみに直撃した。

 血を吹き出し、偽気はそのまま崩れ落ちる。

 そして物言わぬ人形の様に、偽気の意識は落ちて行った。




「卑怯とは言わせないよ。だってボクはこうして生き延びて来たんだから......。


 姑息に、卑屈に、狡猾に......。


 これがボクの戦いだ」






 全滅――。






 そう思われた戦闘。

 そこに一糸の希望が差し込んだ。


『フェザーストーム』


「あれ、まだいたんだ〜」


 力尽きた偽気を優しく包み込む様に回転する羽根のカーテンが、この戦の幕を閉ざす事となる。


「偽気くんは...殺させない」


 一度青年の手によって離脱していた愛女だったが、意識を取り戻しここまで引き返してきたのだろう。


(くそ...もう身体が言うことを効かない......。ここらが潮時かな......)


「偽気クン...キミは天に恵まれているんだね......」


「ハァ...ハァ......。あなたに偽気くんの何がわかるの...」


「いや、知らないね...故に妬ましいんだよ」


「あなた何を言って――」


「悪いね、今回は引き分けだ。でも......


 次は殺すから。」


 愛女の疑心を遮り、道化は静かにその場を後にした。


 なだらかに身体を浮かばせ、振り返ることなく去っていくその姿を眺めていた愛女は、確かに美しいしずくを零して行ったのが見えていた。




 あきれるほどの静寂が木霊する。




 赤いサイレンが彼らを見つけるその時まで......。

今回の小話なんですが...

現状公開できる情報だとそろそろネタ切ゲフンゲフン!!

まあとりあえずそろそろ自己紹介的なものでも挟もうかなぁと...ね?


ということで...

キャラクター紹介「番外編」 chalk


名前 chalk

能力 怠慢の意石 (風が欲しい)

年齢 最近年齢が分からなくなってきた

身長 168km

体重 1g

好きな食べ物 寿司 和梨

嫌いな食べ物 ポテチ セロリ

趣味 創作物 料理

座右の銘 見知らぬ誰かの恩返しに、

見知らぬ貴方へ恩を貸す。

イメージソング 俺こそがオリジナル

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