伝説の三頭犬-5
「ここは...なんだ?」
「子供部屋なので...しょうか?」
光り輝くクリスタルの先には、明るい色で塗装された壁、沢山のぬいぐるみ、豊富な種類のおもちゃなどなど、まるで子供部屋のような空間が広がっていた。
「さっきの空間といい、この部屋といい、もう意味わからないっすね」
「その通りであるな...」
「ビャー...ビャービュー...」
その空間の一部から獣の寝息のような音が聞こえて来た。
「なんかあそこのベットからいびきっぽい音が聞こえてくるっすよ」
恐る恐るサクリュウたちはそのベットに近づく。
「バビュー...ゴハン...ビュー」
「これは...ケロベロスの赤ちゃん?」
「そうっぽいであるな」
「あらやだぁー可愛い♡」
ベットで寝ていたのは3つの頭を持った紛れも無いケロベロスの赤ちゃんであった。
「ゴハン...オナカ...ビュー」
「お腹空いているのかしら?」
「って言っても、ケロベロスって何食べるであるか?」
「とりあえず、ぱち公用の<ビーフジャーキー>あげてみるっすか?」
ビーフジャーキーをインベントリから取り出し、赤ちゃんの口元に持っていった。
「ビャ!ビャァァア!!」
ビーフジャーキーは嫌だったようで暴れ出してしまった。
「赤ちゃんがそんなの食べるわけないじゃない」
と言いつつ、今度はカッコ嫁がインベントリから<ミルク>を取り出した。
「ビェ...」
ミルクも嫌なようだ。
「嫁はダメであるな。獣ごころをまるでわかっていないである」
カ・キオーはおもむろに大きな肉の塊<オーガニック・シープミート>を取り出した。
「.....」
もはや無反応である。
「私よりひどいじゃない!!そんなの好きなのあんたぐらいよ!なんかその肉くさいし」
「.....」
すごい剣幕にカ・キオーも黙ってしまった。
「これなら食べるのではないでしょうか?」
ターシャが近くに置いてあった<洗われた山菜>を持ってきた
「ケロベロスが草食だなんてそんなのないよなー...」
「ビャ!ゴハン!」
元気よく食べ出した。
「「えぇ.....」」
「...まさか草食だなんて...そんなとこも可愛いわ!」
「獣ごころは実に難しいである...」
「かなりイメージと違うっすね」
そんな3人を尻目に、ケロベロスの赤ちゃんはムシャムシャ元気よく食べている。
「そういえば、この子のお母さんってどこにいるのかしら?」
「そういえばそうであるな...」
「---コドモカラハナレルノジャ---」
どこからか分からないが声が聞こえる。
「どこにいるの!あなた誰なの?」
相手が見えない恐怖に、サクリュウたちは戦闘態勢入る。
「---ソノコカラハナレルノジャ...サモナクバオマエラヲ---ってあれ?」
声の主は何かに気づいたようだ。
---クリスタルがある方の出入り口から大きな影が現れた。
その影は、大きな体に鋭い牙、そして3つの頭を持っていた。---
「あらやだ!ちょっとあんたたち、子守してくれてたの?もぉーそれなら早く言ってくれればよかったのにー」
その見た目からは想像できないぐらいの声の高さ、人当たりの良さ...まるで近所のおばさn...
「なになにー?ご飯まであげてくれたの?すごい助かるわ!もぉー私がいない間に連れ去られてたらどうしようかと思ってたのよー」
呆気にとられているサクリュウたちにはまるで気づいていない。
「えーっと、もしかして、この子のお母さんっすか?」
ちゃめしが皆の疑問を代弁した。
「そうよ!...あ!父親はどこだって?あの人にはとっくに逃げられちゃったわよー。『もうお前についていけない』だってー、ひどいわよねぇ」
「ケロベロスの生活も大変なんっすね...」
「あら僕、分かってくれるのかしら?嬉しいわ!ところであなたたちは何の用で私の家にきたのかしら?」
サクリュウも一足遅れてだが、状況を理解できた。
「私たちは仲間を集めて冒険している者です。たまたま探索されていない洞窟があったので探索していたのですが、まさかお家だったとは...失礼しました。」
「いいのよぉ気にしなくて!お客さんが来たのなんて初めてだわ!」
「あなたたちは仲間を集めて冒険しているのよね?もしよかったらでいいんだけど...」
すごく言いづらそうなのが伝わってくる。
「もしよかったら、私がいない間、この子の子守をしてくれないかしら?住み込みで!」
「「えええ!!」」
そこにいる者全てが驚いた声を出していた。
もちろん、ケロベロスの赤ちゃんもだ。
ターシャは、今日は驚かされっぱなしだと思いながら話の続きを聞いていた。
いいとこで終わるわよねぇー
いいとこというか途中だわねぇー
次頑張ります