プロローグ1「それは何の炎?」
青を基調とした、'魔法少女'を彷彿とさせる衣装に身を包んだ渚先輩が、蛍光緑の人の型を持つ流動体に切り裂かれた。
気泡混じりのそいつは動く度に形を変え、気泡も体を循環しているようで、見たまんまスライムと行ったところ。
だけど腕だけは長く、細く尖って硬化していて槍みたいになっており、今は先輩の血で赤く染められていた。
ずっと「うざい」とか、「面倒」とか言って遠ざけようとしていた私に、何度も接触してきた渚先輩は、きっと私の心情を見透かしていたに違いなかった。
私は「うざい」とも、「面倒」とも思っていないってことに。
一匹狼なんて言われる私は、本当は全然そんなんじゃない。
一匹狼っていうのは、周りが邪魔だとか、独りの方が気が楽だとか、自ら好んでなるものだ。私とは違う。
私は友達が欲しい。
恋人とかだって、できたら良いなとも思う。
渚先輩とだって、仲良くしたい。
カフェに誘われた時だって、本当はすっごく行きたかった。
でも。
私はそれを全て拒否する。
これは自分への罰なんだ。
一度許してしまえば、次の規制が甘くなるから緩めるわけにはいかない。
徹底して全部拒絶し、独りを自ら作り出し、そこから出れないようにしないと、私は抜け出そうとしてしまう。
何度止めよう思ったことか。
隣で聞こえる「放課後カラオケに行こうよ」という言葉。
私も行きたい。
ーーでも駄目だ。
ーーお前は行ってはいけないんだ、罪を忘れたのか?
ーーお前はその炎で何をした?
私は……。
ーー答えろ、何をした?
私は、この炎で、父をーー
父を殺した。
父から生を奪ってしまったから、代わりに私は自分に罰を与えることにした。
自分への繋がりを一切断つことで苦悩を享受し、贖罪とすることにした。
私には先輩を助けることは出来ない。
助けたいよ!
でも助けたら、繋がりを作ることになってしまう。
自分への罰を、規制を緩めてしまう。
スライムの化物は地面に倒れた先輩に近づいていく。
そいつが通ったあとは水分がこれでもかと付着し、地面に軌跡を描かれていく。
体の一部である槍を持ち上げた。
先端の直線上には渚先輩の頭部がある。
このまま黙って見ていればきっと顔面に穴が開いて、当然のことながら絶命するだろう。そしてその次は私が殺される。
この状況は、きっと罰なんだなって思った。
私を苦しめる、罰なんだ。
私の中で、炎が燻った。
憎しみと、悲しみと、後悔と、懺悔の炎がーー
こんにちわ!
ページを開いてくれてありがとうございますm(__)m
本作は「マジカルミラクルきららららー」風な魔法少女ではなく、泥臭い、人間模様も書けていけたらなと思っています。
その実現のために少々面倒な主人公を用意させていただきました(`ー´ゞ
性格も面倒なやつです。
色々ひねくれてる女の子となっていますが、お付き合いいただければと思いますm(__)m
今日中に、もう一回投稿を予定しています。