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探偵との取引

俺は探偵の言われるままについていった。

連れて行かれた場所はどっかのビルの一室だった。探偵が何かあった時のために用意していたもう一つの部屋らしい。


今の自分の置かれている状況があまり理解できていない。後から、しっかりと話をもう一度聞き直すと俺はどうやら、命を狙われているらしい。なぜなら、父親の会社の不正について何かを知っているかもしれないから。知っているか知らないかと言われれば、知らない。でもそんなことは会社側からすればどうでもよくて、知っている可能性があるなら殺す。それが会社のやり方らしい。俺の家族は事故に見せかけて殺されたらしい。どこまでが本当なのかは分からない。でも、今はそれを一つの真実として受け止めるしかなかった。


探偵が現れてから一週間がたった。探偵は俺の家に何度か出入りして色々調べたという。でも、何も新しい手がかりを得られなかったと言う。やはり、あの時盗みにはいったのは会社の人間で不正につながるようなものは全て盗んだのだろう。


「お前、父親から何か聞いていないのか?」

「何も聞いてないよ…」

「何でもいいんだ」

「分からない」

「くっそ!」


探偵は諦め気味であったが完全にお手上げという様子ではなかった


「なぁ、お前、父親のパソコンのパスワード知らないか?」


そう、部屋には父親のパソコンが残っていた。破壊はされていたが、中にあるデータの復元には成功したらしい。

だが、俺は簡単にはパスワードを教えなかった。


「俺の家族について調べてくれ。そしたら教えてやるよ」

「このクソガキが」


妹のいじめについて。母親は家の外で何をしていたのか。それが気になってしょうがなかった。それを俺は知りたい。


「そんなものを調べていたら、時間がかかって仕方ないだろ!」

「俺はそれについて知りたいんだ!妹がいじめられとは思えないし、母親が何をしていたのか気になる!」

「俺には関係ないね」

「じゃ、パスワード教えてやんないよ」


探偵は何も言い返さなかった。


「じゃ、わかった、調べてきてやるよ。どこまでお前の知りたい真実が出てくるかわからんけどな」

「ありがとう」


探偵は早速部屋を出て行こうとした。


「ちょっと待って」

「あ?」

「あのさ、俺がここにいるってことを知らせたい人がいるんだけど」

「ダメだ。あれだろ?なつきだっけ?お前の彼女。お前のメール、SNS、電話は全て裏のやつらに管理されてるとでも思っていた方がいい。連絡は一切とるな」


なつきからはたくさんのメールに着信りれきが残っていた。

一週間前から俺がいなくなって心配するような内容だった。もしかしたら、なつきと俺の心の通じあいぐあいならここの場所がわかるかもしれない、何て思ったりしているところだ。


実際、過去にそういうことはあった。俺となつきがデートで遊園地に行った時大量の人の飲まれて逸れてしまった。その時、俺はスマホを家に置いてきてしまって、連絡が取れなかった。でも、なつきは俺のことを見つけてくれた。

俺はその時、遊園地から出て、家に帰ったのだ。正直、なつきと遊園地で再開するのは難しいと思っていた。家に着いたら、なつきの携帯に連絡を入れればそれでいいだろうと。

帰りの電車を待ちながらそんなことを考えていた。

「春樹〜」

聞き覚えのある声だった。なつきだ。

「春樹くんが何か家に帰ろうとしてるって思ったからここに来てみたら、やっぱりいたね」

そう言って俺のことを見つけたのだ。

あいつは俺の考えていることをほとんど読んでくる。逆に俺もあいつが今何を考えているとかもわかる時がある。俺とあいつは本当に心が繋がっている。まさに以心伝心だ。


「とにかく調べてきてやるから、ここで少し待ってろ」

そう言って探偵は出て行った。

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