突然の真実
目が覚めると見知らないところにいた。
自分の状況から考えるにここはおそらく病院である。
そう、自分は夜風に当たっていたら打たれたのだ。何で?とかすごいきになるけど考えても分からないだろう。
「目覚めたか?」
見知らぬ声がする。俺が記憶の最後に聞いた声だ。
ベッドのそばにはサングラスをかけたちょっと怖いお兄さんが座っていた。
「あなたは?」
「俺か。人のことを聞く時はまず、自分から名乗らないとな」
「あ、僕は…その…」
「いいよ、お前のことはよく知っている」
「え?何でよ?」
「俺は探偵だ」
「探偵?」
「お前の父親の会社について俺は調べていた」
「どういうこと?」
「ことの発端はお前の父親の会社で不正が行われているということを匿名で受け取った。全てを明かせば大量の金を与えるということを言うもんだから全力で調べたよ。そしたらその会社は大変なことになっていたよ。不正をするものとそれを止めようとするものの二つの派閥が出来上がっていたよ。君の父親は止めようとする側だったよ。そしてこの二つの派閥は戦闘状態にあったよ。ついには人の殺し合いになった。その最初の犠牲者が君のお父さんだ。あの車の事故は事故じゃない。会社の人間が意図的に行った。そして、彼らはその後も事故に見えるようなことを起こしている。俺はその殺人を止め、不正を暴き、そして、お前を守らなきゃならない」
「俺を守る?」
「あぁ。お前に接触するタイミングを俺は伺っていた。俺はお前に接触してお前の父親の部屋を見してもらおうと考えていたよ。まぁ、それもダメそうだけどな」
「何で?」
「お前、夜風に当たりに行った時に家の鍵閉めなかっただろ?泥棒に入られてお前の父親の部屋だけ荒らされていたぞ」
「え?泥棒!?」
「あぁ、そしてこの件で警察は動かない」
「ん??なんでだよ!?」
「お前の父親の会社には何か強い力が裏についている。だから、警察にも圧力がかかっている。」
「ちょ、ちょっと待って。話はすごく難しい」
「お前が理解する必要はない、なんとなく知っておけ」
「いや、え?本当にわからないんだけど!?」
「この件に深く突っ込んではいけない。現に俺の家族が全員行方不明になった。」
「どういうことだよ」
「俺にも分からない。でも、この事件、相当やばい。お前が打たれたのも裏の力が関わってるだろうな」
俺は返す言葉が見つからなかった。自分の家族のことで相当悩まされていた。なのに今度はまた、他のことで悩まされることになる。全く。俺の人生はどうなってるんだよ。俺は、普通の、普通に大学生活を送ることができていればそれでよかったのに…。
俺の頭の中は真っ白になっていた。完全に考えることを放棄していた。考えることができなかった。会社の不正?裏の力?そんなの、小説やテレビだけの世界のものだと思っていた。現実に、自分の目の前にそれが起きて、それが自分に影響するなんて考えてもみなかった。
「ここから先の話なんだが、お前はここにいると非常に危ない。この病院の中に裏の人間がいないとも限らない。だから、逃げるぞ」
探偵はそう言った。
俺は何も考えずにその言葉に従った。