抜け出せない地獄
いじめ。
今の日本では大きく問題になっている。
妹のはるかがいじめられていたかもしれない。
でも、もう、どうしようもない。
どうすればいいのかわからない。そうだ、こんな時母親ならどんな風に考えるだろうか?
俺は母親の日記を取り出した。その名も『家族記録』父さんと母さんが結婚した時からのことがずっと日記としてかかれている。母がそれを書いていることは知っていたがそれの中身を見たことはなかった。誰もそれを見ることはなかった。まぁ、興味があるかないかで言ったら、それは、ないからな。
最新のページをとりあえず見てみると、そこには驚きの内容が書かれていた。
「私はこの家では、ただただ家事をするだけのもの。息子からも娘からも夫からもあまり感謝されていない。夫は昔みたいには愛してくれない。私はこの家ではただのロボット。でも、外では違う。私は外の世界では華麗に咲く花になれる。本当の私を外では出せる。」
なんなんだ、これは。「外の世界」ってなんなんだ。
母親は、外で何をしているんだ?
日記の日付はずっっと昔で止まっていた。母親の中で何かがあったにちがいない。
でも、何があったが分からない。
結局どうすればいいのかは分からない。
どうする?
どうするんだ。俺。
いや、こんな時だからこそ。こんな時だからこそ、考えるんだ。思考と言うという行為は至高である。
なんてことを頭の片隅に置いておきながら、母親のこの日記について考える。
この家ではロボット。外の世界では花。
外の世界っていうのはきっと家の外のことなんだろう。とすれば、花とロボットは何を意味してる?
考えろ、考えるんだ俺。思考は人間が人間たる所以であろう。ここで考えることを諦めてしまったら俺は猿になる!
そうだ、情報を得よう。
考える材料が少なすぎる。
俺は情報を得るために探偵を探すことにした。母親のことについて調べるためだ。この際だ。妹のこともある。きっと父親にも何かあったにちがいない。そしてさらにもしかしたら俺の本当の両親についても知ることができるかもしれないじゃないか。
この天才的発想により、俺は探偵を探し出すことになった。
いろんなところに電話をしたが、どこの探偵も依頼を引き受けてはくれなかった。
理由としては、簡単に言うと内容が難しいということだった。
本当にどうしていいのか分からない。
悩みに悩んでいると夜になっていた。
俺は、とりあえず、外にでる。
一人で夜の風に当たりたいと思った。
マンションの屋上にあがる。
鍵を閉め忘れたと思ったが、まぁ、少しの間外に出るだけだしと思って、そのまんまにしてしまった。
思えば、これが、本当の地獄の始まりになったのかもしれない。
風に当たると気持ちいい。無限の思考地獄から少しの間解放される。
風に当たりながら腕を広げ伸びをする。
すると
腕に激痛が走る。
痛い。
血が出る。
どうやら、弾丸で打たれたようだ。
意識が遠のいていく。
「大丈夫か!?」
誰だかわからないけど声がした。
目の前が真っ暗になった