春頃の話2
「ねえ、ボーイズラブって興味ある?」
「何だいきなり、頭大丈夫か?」
「大丈夫だと思うよ?自身無いけど。それよりどうなの?ボーイズラブ。興味ある?」
「ありそうに見えるか?だとしたらさすがに凹むぞ俺も」
「どっちかってーと受けっぽいよね。線細いし、ヘタレだし」
「ねえ人の話聞いてる?聞いた上で無視してる?どっちにしても帰ってくんない?」
「誰か仲のいい男友達呼んでくんない?絡めとまでは言わないから、何か適当に仲良さそうにしててよ」
「日本語通じてるかそろそろ不安になってきたんだけど。つーか仲良い男友達ってお前の彼氏くらいしかいないんだけど、彼女的にはOKなのか?それ」
「あ?秀平君巻き込んでんじゃねーよ殺すぞ」
「やだこの子怖い。何なんだよお前マジで。」
「いや、最近そういうのもあるって知ってさ。やっぱ実物見てみたいなー、と。でも、例え男でも秀平君があたし以外と……って考えると殺意湧いちゃうからさ」
「で、俺ならいいやーってか?はは、死ねよ。つーか知るなよそんなもん。誰だお前に教えたアホは」
「正ちゃんだよ?」
「……は、え?」
「正ちゃん」
「……どの正ちゃん?」
「あんたが一昨日告白して付き合う事になった正ちゃんだっての」
「……え、うっそマジで?ちょっと詳しく教えろ、おい」
「それが人に物を頼む態度か?あ?」
「スンマセン教えてくださいお願いします!」
「さすがに土下座は引くわー……一瞬も躊躇しなかったなお前」
「その情報に比べれば俺のプライドなんざゴミなんだよ!」
「そういう所は尊敬するよ、マジで。あたしには妙に素直だよね、あんた」
「そんな事はどうでもいい。いいから説明はよ」
「土下座したまま言われても……まあいいか、二週間くらい前の話なんだけど、」
「よーっす孝一、来たぞー!……ってあれ、何で土下座してんの?奈那美が可愛すぎてつい襲っちゃった系?ないわー、自分の彼女にやれよそういうのー」
「……秀平?何で来た?何しに来た?」
「あ、あたしが呼んだの。今孝一の所にいるから、来てって」
「いやー、丁度暇だったからさー。で、二人で何してたの?浮気?泣くよ?俺も正ちゃんも」
「ねえよカス、死ね」
「そうそう、あたし秀平君の事大好きだから大丈夫だよ。つーか孝一、誰がカスだテメーが死ねよヘタレ。さっさとキスくらい済ませろや」
「ヘタッ……ヘタレじゃねえよ!真面目なんですぅー!お前らと違ってな!」
「やめて!私のために争わないでって痛い!孝一、小指は踏まれると凄く痛いぞ!」
「おう孝一、表出ろや」
「何でお前はそんな秀平の事になると怖いんだよ!いいぜやってやんよ表出ろやオラァ!」
「待て待て孝一、奈那美も落ち着け。そろそろ正ちゃんも来るから、外行くならそれからな。つーかマジで何の話してたん?」
「ああ?テメーの彼女が」
「喋ったら蹴り殺すぞ」
「カワイクテウラヤマシイナーッテ」
「やだ、孝一ったら彼女いるくせに。それに、あたしには秀平君が……ああ、美人って罪よね」
「もうやだコレの相手すんの」
「うーむ、イマイチ釈然としないがまあいいや。話せるようになったらおせーてな」
「いや……それでいいのか?秀平」
「気にならないって言ったら嘘だけど、話したくないんだろ?奈那美が嫌ならしょうがないよ。それに、俺は二人共信頼してるからな」
「惚れ直したわ、デート行こう秀平君。出来れば泊まりで。三泊四日で」
「盛んじゃねーよ豚。しかし、秀平はそういう所はカッコいいよなあ、この野郎」
「……孝一」
「あ?んだよ、珍しく真面目な顔して」
「デレはいらない、ツンだけでいい」
「褒めて損したわ、死ね」
「秀平君、そういうのが好きなの?」
「いや、俺が好きなのは奈那美だよ」
「孝一、ベッド借りていい?それと、出来れば二時間くらい散歩してきてくんない?」
「もう出てけよお前らあ!」
あわれ