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機鋼変形 シーレスト  作者: くれた
非日常との出会い。
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1-5

一瞬で狼型に変形した、赤いスポーツカーを見て、まず隼人が思ったのは、敵の変形の方が、実戦的だなという事だ。


それはすなわち、変形した瞬間、即座にこちらに襲いかかれるという事だ。

容赦なく、鋼鉄の牙が、きゅう子の駆るクレスタに迫る。


『FDの狼型シーレストかぁ、見た感じ、ノーマルの最終型っぽいから、280馬力くらいかな。パワー勝負だと、こっちに部はあるけど、軽いから、機動性は厄介そうだなぁ』


隼人の頭に、きゅう子の考えている事が伝わってくる。

相変わらず、何を言っているのか、訳が分からないが、見た感じ、余裕できゅう子の操るクレスタは、狼型の牙をかわしているし、とりあえず、パワー勝負では、部がある事は分かった。


「恵子ちゃん、聞こえる? 私なんだけど、なんと、マスターを見つけて、今、変形して、敵シーレストと交戦しているんだ。だから、トレーラー回して、マスター回収して欲しいだけど」


これはどうやら、無線らしく、久しぶりに耳からきゅう子の声を聞いた気がする。


「こちら、テンダーマザー。シスター3、全くをもって、意味が分かりません。そして、無線は電話でないので、きちんとしたフォーマットに乗っ取って、交信してください」


どうやら、きゅう子の電波っぷりは、きゅう子の住んでる世界でも健在らしい。


「ちぇー、つれないの。こちらシスター3、現在、変形して、敵シーレストと交戦中。緊急事態だったため、一般人をシーレストドライバーとして起用。ドライバーの確保の為、チューナーズローダの現地出動を要請する」


戦闘しながらこれだけ話せるとは余裕なものだ。

ただ、これだけの戦闘で、鉄と鉄とがぶつかり合う騒音のなか、これだけはっきりと聞こえるという事は、聴覚も同調により、共有しているらしい。

クレスタの拳をかわし、間合いを取った狼型は、先程の黄色い狼型と同じように、背中からも、機銃がせり上がる。

しかし、一瞬で、間合いを詰めたクレスタが、その背中から機銃をもぎ取る。

ガラガラと、鉄パイプが散乱したかのような、鉄の引きちぎれる音がして、狼型は声にならない、悲鳴をあげる。

そのの背中から飛び散った茶色オイルが、変形したクレスタの白いボディを返り血を浴びたかのように汚していく。


「こちら、テンダーマザー。交信フォーマットうんぬん言った矢先で、悪いんだけど、貴方、一般人をドライバー登録するなんて、何を考えてるの?」


「だって、相性が良さそうだったんだもん!! 私は、私がこれだと、思った人をマスターにしたかったの!! それに、一般人をドライバーにしちゃいけないなんて、ルール無いですよ?」


「確かに、ルールには無いけど、常識的に考えて、それはやっちゃいけないわよ!!」


狼型と激しい戦闘を繰り広げながら、無線先のオペレーターと激しい口論を繰り広げるとは、器用なもんだ。

脳が同調しているせいで、きゅう子の怒りがこちらまで、流れてくる。

というか、激しい戦闘と言ったが、狼型が、きゅう子の怒りに任され、フルボッコにされているという方が正しいかもしれない。


「だけど、今だって、彼と同調率44%越えしてるもん」


きゅう子の同調率という言葉を聞いて、オペレーターの声色と対応が一変する。


「同調率44%越えですって!? ……わかりました。それが本当なら、臨時でその方をドライバーとして許可します。座標を転送しますので、こちらまで来てください」


「そうこなくっちゃ。ありがとう、恵子ちゃん」


隼人に流れこんでくる感情が、怒りから喜びに変わる。

クレスタは狼型の腹を一発殴り飛ばし、吹っ飛ばしたあと、人型から車型に変形して、隼人の横に走ってくる。


なんだ、一瞬で変形できるんじゃん。


『乗って』


クレスタのドアが開き、中からきゅう子が、テレパシーで呼びかける。

しかし、隼人は乗るのに躊躇する。


魔法少女の助手席には乗りたくない!!


運転席に座るきゅう子の格好は、魔法少女のスタイルのまんまだ。

しかし、ボロボロになりながらも、こちらを、はしと見据えてむくりと起き上がる狼型を見て、素直に観念する。


「本気出すから、そっちのシートベルトじゃダメ」


普通にシートベルトを締めようとしたが、ダメと言われた。


「そっちじゃなきゃ、どっ……!? うわっ!?」


勝手に隼人の体が動きだし、ジエットコースターに乗るようなシートベルトを、閉め始める。


「ごめん、4点式シートベルトの閉め方教える時間が無いから、操らせてもらったよ」


「これも、同調のせい?」


「そう。それじゃあ、掴まってて!!」


ダメージを負い、ゆったりではあるが、気がつくと、左横から迫る狼型。


きゅう子は思いっきりクレスタをフカし発進させる。

盛大にタイヤの滑る音が響き、それと同時に、隼人はとてつもないGで、体がシートに押し付けられるのを感じた。

宙に舞う木の葉のように、フラつきながら、クレスタは急発進をし、今しがた、クレスタが居た空間を、狼型の前足が切り裂く。



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