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ご都合主義万歳・・・・。すみません。
そんなこんなで決戦。キラキラ少年との約束通り優勝、といくほど人生甘くない。
「・・・参りました」
「勝者、ラスト・スパイズ」
お互い武器を納め、一歩引く。礼をして、会場をあとにする。
何を言っても負け犬の遠吠えだが、言わせてもらえばあれが騎士でない事がおかしい。
相手を威圧する気迫の眼差し。素人では絶対にありえないスキのない剣さばき。速さも力も、今までの相手の比じゃない。あれが騎士を目指す者の強さなら、騎士団は化け物の集まりに違いない!!
対峙した時点で分かった相手の強さ。圧倒的な力の差など、養い親と対峙すればいつも感じていた。それに近い感覚を、まさかここで味わう羽目になるとは思わなかった。
気迫でも負け、技量でも負け。そこで食らいつくほどの根性は私にはない。むしろ、賞金が確実にもらえるのならば、優勝などに興味はない。
賞金と少年との約束を天秤にかけ、あっさり前者をとった私は、さっさと降参宣言。もちろん、観客用に数回打ち合ってから。さすがに自分が地に伏すのは嫌だったので、打ち合いで力量の差を思い知っての降参ということにした。一応私にもあるんです、プライドが。
そして迎えたのが、何故か現王宮騎士団団長レイ・グリンデル様が相手というスペシャルな試合。
「どうでしょう?上位三名全員と相手くださいませんか?」
さらに爆弾発言の優勝者。
いやいやこういうのは、優勝者対現騎士団長でしょ。そして、完膚無きまでに叩きのめし、圧倒的な力の差を見せつけ、優勝者の鼻っ柱をへし折るためのものにしようよ。
「いいですよ。私も、是非三人ともと手合わせしたいと思っておりましたから」
にっこり。
・・・・・断ろうよ。
あっさり承諾。心の中でため息をつく私とは対照的に、3位をもぎ取っていたキラキラ少年は渋い顔。たぶん、3対1は卑怯だとか思ってるんだろう。まっすぐな少年だから。
「お二人とも、よろしいですか?」
「ええ、団長殿がそうおっしゃるなら」
「・・・・・・・・・・・私も、異論はありません」
ほとんど傍観しますがね。
たっぷり時間をかけて答えた少年は、相変わらず渋い顔のままだ。まあ、分からなくもないけどね。
もし、この後に起こることを知っていたのなら、あの腹黒騎士団長の手の平の上だと知っていたなら、絶対に、絶対に断っていたのに。このときの私は、これから起こることも、この先に降りかかる災難も、なにもかも、知るよしもなかったのだった――――――――。
ホントに、展開とかおかしいですよね。ついでに、ネガティブな後書きですみません。