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行き当たりばったりな小説です。あんまり設定とか気にしないでサラッと読んでくださいm(_ _)m
剣術大会は無事開幕した。
「セシル・キリエ。ラッシュ・フスト」
控え室で待っていると、係の者らしい騎士(おそらく下っ端)に名を呼ばれ、入り口へと向かう。
「はっ。あんなガキ、一瞬で負けちまうぜ」
「エントリー出来たのが不思議なくらいだ」
全部聞こえてるよ。
こそこそと聞こえる嘲りの言葉に、いちいち反応していられない。
そんな彼らをたしなめることも、相手にすることもなく、騎士は待っていた。
「セシル・キリエです」
「ラッシュ・フストだ。ふん、俺の相手はガキか。楽勝だな」
「静かに。二人は、次の試合で対決していただきます。使われる武器を見せてください」
この大会は、剣術大会と呼ばれてはいるが、武術大会に近い。ようは力比べだ。使う武器は自分の一番得意としているもので良く、自らの拳でも良い。
「俺は、これだ」
彼が突き出したのは斧。片手で扱えるサイズの、少々小ぶりなものだ。
「では、これを刃の部分につけてください」
騎士が渡したのは、動物の皮らしき物だ。
一応、安全性を配慮して、刃物類は刃を覆う布をつけることになっている。剣に関しては、刃を潰した剣を借りるか、鞘の入ったまま戦うかを選ぶことが出来る。
「けっ。めんどくせぇこった」
いかにもだるそうにそれを受け取り、斧の刃に当てる。どうみても付け方が雑で、さすがの騎士も若干顔を顰める。
こういう奴は、一回鼻っ柱へし折られればいい。
「僕の武器はこれです」
「・・・・・棒?」
注意をしようと口を開きかけた騎士に被せるように口を開けば、騎士もこちらを相手にするしかない。が、見せたものがなんなのか判断出来かねたらしい。今度は困惑の表情が浮かぶ。
「はい。そうです。棒です」
腰に差していた棒を抜き、目の前に掲げる。
漆黒の棒に、巻き付くように這う銀色の細工。それは、鱗を持つ長い龍を模してあり、棒の先端に顔を持つ。同じように黒の棒に龍の細工、先端に顔を持つものがもう一つ。計2本の棒が、自分の武器だ。
正確には、『棍』と言うのだが、この国の人間には馴染みが薄いだろう。養い親の母国のものらしいから。
「こうして一本に合わせて使います。布は必要でしょうか?」
「・・・・いえ。結構です。では、会場へ・・・」
龍の顔のない方を合わせ、軽くひねれば一本になる。そうすると、150㎝ほどになる。自分の背より少し短いくらいだ。
相手の男が勝利を確信したような笑みを浮かべた。
斧でぶった切ってやる・・・とか考えてるんでしょ、どうせ。
雑に布を巻いたのは、競技中にわざと外れさせるため。相手に怪我をさせても、布が外れたのだと言い訳するため。
見え見えの作戦にうんざりする。が、同時に笑いが浮かぶ。
こういう奴を負かすことほどおもしろいことはない。
にやりと歪む唇が見えぬよう、そっと顔を下に向ける。
傍目には、負けを確信して落ち込む哀れな少年に見えるよう。棍を握りしめ、騎士の後に続くのだった。
主人公、結構性格捻くれてます・・・。ホントは優しい子、のはずです。