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一応2話目・・・。

年齢を手直しさせていただきました。

『セシル・キリエ  18歳 ナトレ村出身』


 受付に書いた出身地を見て、受付の騎士が驚いたように目を開く。


「坊主、ナトレの出身か。遠くから来たな」

「はい。やっぱり、出場される方は王都周辺の方ばかりですか?」

「そうだな。坊主みたいなのもいなくはないが、数は少ないな」


 それから2、3言会話をして、受付を離れる。


「お前、ホントに大会にでるのか?」


 受付を終え、外に出るとあきれた表情で立つ中年の男性が一人。

 年相応に刻まれたしわと、日に焼けた顔は厳つく、ぱっとみその辺のごろつきよりも凶悪な顔をしている。体格も、180㎝ほどあり、服越しに分かるほど筋肉がある。堅そうな赤毛と、焦げ茶の瞳はこの国に多い色彩で、手に斧でも持っていたら盗賊の頭と行った風貌だ。


「はい。そのために王都に来たんですから」


 しれっという私に、彼は顔を顰める。


「俺は、騎士にするためにお前を助けたんじゃあないぜ」

「騎士になるためではありませんよ」


 彼の身に纏う衣が白衣でなかったら、今の自分はいない。


 そう、彼は医者なのだ。しかも凄腕の。


「目当ては賞金の方です。ソフィを医者に診せるんです」

「・・・・・まだ、声は戻らねぇのか?」

「・・・・ええ」


 あの日、両親を失い、養い親と彼に命を救われた時から約10年。ソフィの声はどこかへってしまったままだ。


「そうか。すまねぇな。お前の妹の声は、おそらく精神的なものだ。俺の専門外だからな、どうしてやることもできねぇ」

「そんなこと。先生には命を助けていただいただけで、感謝してもしきれません!!」

「・・・先生はやめろって」


 顔を盛大に顰めると、小さい子なら泣き出しそうなほど凶悪な顔になる。だがそれが、照れているのだと知っている身にとっては、笑ってしまうよりほかない。


「にしてもよ、若い嫁入り前の娘が、剣術で金稼ぐっていうのもどうかと思うぜ」


 今度は自分が顔を顰める番だ。


「しかも性別を偽って、だ。見つかったら打ち首とはいかなくても、それなりの罰はあるぜ?」


 先生、もとい、ダグランの言うことはもっともだ。


「でもダグランさん。受付では、ばっちり坊主って言われましたよ?」

「そりゃあ、そんななりしてりゃあな」


 上から下まで眺めての一言に、ちょっと内心傷ついたのは秘密だ。


 背の半ばまである髪はゆるく一つに編んである。本当は切ってしまおうと思ったのだが、ソフィに止められたのでやめた。身につけているものも、長袖のシャツにベストにズボン。ショートブーツに、腰の後ろでクロスするように刺した2本の棒だけ。平凡な顔立ちと、凹凸の少ない体では、どこからどうみても少年にしか見えないだろう。


「それに、私みたいな器量の悪い娘をもらってくれる酔狂な男はいませんよ」

「それ、本気で言ってるのか?」


 若干険しい顔で言うダグランさんに、なんでもないことのように答える。


「だって、こんな灰被ったみたいな色合いの娘、お世辞にも器量がいいとは言えないでしょう?」

「・・・・・」


 顔立ちは平凡だが、自分の場合髪と目の色が悪い。

 髪は、くすんだ灰色。瞳は、青みがかっているだけ髪よりましだが、それでも灰色であることは変わりない。少しつり目なのも相まって、目つきが悪い。


 まあ、最大の欠点は体にもあるのだけれど、それを彼に言ってしまえば、顔に似合わず優しい彼の事だ。海よりも深く落ち込むに違いない。


「それに、私もソフィもお嫁に行ってしまったら、誰があの鉄面皮人間の世話をするんです?」


 少し重たくなってしまった空気を変えたくて、冗談めかしに言えば、ダグランもそれに乗ってくれた。


「確かに。あれでお前らを引き取るって言った時は、空から槍か大砲が降るかと思ったな。子どころか、嫁もいねぇのに。まあ、人は見かけによらねぇっていうか、まさかあいつがあんなに・・・」

「過保護だったとは」


 言葉尻をとってやれば、にやりと笑う。


「そうだ。まさか、あんな手紙まで寄越しやがるとは思わなかったぜ」


 どんな手紙なのか気になる。が、見たくもない気がするのは何故だろう。


 若干引きつった自分の顔をみて何を思ったか、いっそうにやりと笑みを深くしてダグランさんがくるりときびすを返す。


「ああ、なんだったかな。紙がありすぎたからな、あんまり覚えてないが・・・『セシルは甘い物が好きで、苦い物と辛い物が嫌いだから食べさせるな。でも、野菜は嫌いな物でも健康のために食べさせろ』だったかな。ほかにも、『セシルはおなかが弱いからちゃんと布団をかけて寝せろ』だったか?『夜更かしはさせるな。夜の街は危ないから外に出すな』ほかは・・」

「わぁぁぁぁ。何書いてんだあの鉄仮面過保護オヤジ!!って、やめて。言わないで。なんの嫌がらせ、それ!!てか羞恥プレイ?やめて!!ダグランさん!!」


 そのあと、とっくみあいの喧嘩になり、ダグランの奥さんとソフィにこっぴどく叱られるのはもう少し先の話である。

 

 

ちょっぴり主人公の過去に触れる。主人公、顔は中の上くらいです。

背は156㎝くらい。細身で、まだ女の子らしい体つきにはなってないです。

その理由とかも、追々・・・・。

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