プロローグ
性懲りもなく連載開始。すみません・・・。
「いってきます」
「・・・ああ」
普段と一ミリも変わらない顔をしているくせに、きっと私たちの事が心配で心配でしかたないであろう養い親に、少し罪悪感を覚えてしまう。
「剣術大会で上位に入っても、騎士は辞退してくるから。ソフィをお医者様に見せたら帰ってくるから」
「・・・ああ」
私は知っている。この養い親が、私たちが王都に行くのが心配すぎて、王都の知り合いに片っ端から手紙を送ったことを。ついでに、旅の支度と称して、大量の護身用武器を買いそろえたことを。
「ハヤテに乗って行くから、ソフィの負担も少ないわ」
「・・・ああ」
妹のソフィも、困ったように養い親を見つめている。
「街道を進むから盗賊も少ないし、なによりそこらのごろつきに私が負けると思う?」
「・・・いや」
漆黒の毛並みが美しい愛馬の背から、次々と荷を落としながら私は言う。
「だから、この無駄な食料に、物騒な武器に、なにこれ!!小型の大砲までくくりつけたの!!」
どこの遠方の戦地に向かうんだ、私たちは!!
「王都に行くだけだから。戦地じゃないから。って、外した荷をくくりつけるな!!」
手をはたこうとするが、相手は自分に武を教えた人間。いなされ、逆に手をひねりあげられそうになり、それをまたいなすという無限ループ。
「ええい!!いい加減にしろ!!この鉄仮面過保護オヤジ!!」
罪悪感を少しでも覚えた数瞬前の自分はもういない。本格的に組み手に入りやがった養い親相手に、マジで殺意を覚えそうだ。
結局、私たちの出立は、次の日の明朝まで持ち越されたのだった――――――――。
ラブコメ目指してます。ちょっぴりシリアスも混ぜる予定・・・。あくまでも予定です。