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ああ、お祭りに行きたい・・・

12時30分 執筆開始

4時45分 執筆終了


4時間にも渡る徹夜で書き上げたこの瞬間!

私はコレだけは言いたい!

何も夜じゃなくてお昼に書けばいいのに


ということで人物表


ソラ

旅人 魔法使い? お面が頭に乗っかってます


奈々

旅人 剣士? いまいちキャラが固まらない!

「…ホントに行くの?」

「そんな心配そうな顔するなって、俺の部隊は後方だからそんなに危険じゃないよ」


 私がそう聞くと彼は笑いながら私の髪をくしゃくしゃと撫でて来た。そんな乱暴にされたら髪がくずれるっつーの!


「それじゃ、そろそろ行くわ。帰ってきたら一緒に飲み明かそうぜ!」

「…うん」

「あー、もう!ほら!」

「わわ!?って…お面?」

「お守り、大事なものだから持ってな」

「…お守りを私が持ってても意味ないと思うのですが?」

「そういうなって…それじゃいってくるわ」

「うん、がんばってきてね」

「おう!今度帰ったきた時は英雄になってるかもな!」

「ふふ、君は少し身の程を知ってればいいと思うよ」


 私は強引に乗っけられたお面の位置を直しながら出て行く彼の姿を見守る。それにしても自分自身のお守りを残った私に持たせるって…あやつはいったい何を考えてるんだろう?


 彼の行った場所は後方ではなく最前線で、つまり彼は私に心配かけないように嘘を付いていたことを知ったのは、それから数日後の話。


 その後、私のところへと届いた彼の死体を見ても、涙は出なかった。


 □ □ □ □


 ん~…実にいい天気。見上げればそこには青空!

 隣を見れば割と頻繁に馬車がぱかぽこヒヒーンと走っており、時と場合によってはピクニック感覚で歩きたいものよね!


「水だけど…あと1日持てばいい方かな…」


 私の隣、つまり道の端の方で荷物のチェックをしていた奈々がぽつりと呟いた。


「…さいですか」


 そう!水さえあればね!

 というか何でずっと晴れ続きなの!?私を殺す気?よろしい、そういうつもりなら思惑通り干からびたミイラの仲間入りを果たして見せようか!?

 ああ…次の街までが遠く感じる…というかこのままだと確実に死ぬ。旅人が干からびて死ぬとか、ホントに笑えない最期すぎる。

 それにしてもいったい誰だ、北のほうは寒いって行った輩は…むちゃくちゃ暑いじゃない!だから私は勇者なんて嫌だったのよ!連中と関わると大抵ろくなことにならないんだから。


「それじゃもうすぐ街だし行く?(後、勇者様は関係ないからね?)」


 私がうつうつむんむんと名も知らぬ勇者ご一行に呪いの言葉を送りながら銃の手入れをしていると、奈々がワンピースに付いたほこりを払いながら立ち上がった。


「ええ、もうすぐだし行きましょうか(はい…全部は私の見通しミスであります…)」


 銃を仕舞うと、お互いに()の部分は言わずに歩き始める。コレぞ以心伝心か…。


「…銃なんて必要あるの?」

「んー?」


 見れば奈々は私が銃を仕舞ったところを見ながら聞いてきた。


「んーと?どういう意味?」

「だってあんなんじゃ何も殺せないよ?」


 あー、そういうことね。つまり対して役に立たないのにどうして銃を使ってるのか、ってことかー。


「まぁ確かに、こんなんじゃ当たり所が悪くない限りは人でも殺せないわねぇ…」


 仕舞いなおした銃を取り出して奈々に見せる。うん、何かの魔道具だとか何かの魔法が掛かってるとか魔科学物だとかそんなことは一切ない。何処からどう見てもただの銃だ。買った私が言うんだから間違いない。こんなんじゃ何発撃とうが人か小動物くらいしか死なないわね。


「だって殺せないんじゃ下手に刺激しても意味ないじゃない」

「だねぇー」


 手負いの獅子は怖いって奴ね。

 実際、今のご時世にただの銃を使ってる奴なんてそうそう居ない。理由は簡単、魔物相手には全く役に立たないから。銃使うくらいなら果物ナイフ片手に戦ったほうが手に持っている分はるかに役に立つって見解が多い!まぁ、実際に戦えるかは置いとくとしても…つまりは擬似接触が起きるか否かの問題。ぶっ刺した刀身から結界なり何なり使えばそれだけで致命傷になるわね。出来るなら、だけど。

 ましてや持ち歩ける物なんて…威力はお察しである。では何故あるのか、つまり…ないよりマシって奴ね!


「それでも何でソラは銃を使うの?」

「んー…」


 何で使う、か。

 少し考えてから選び出す。


「かっこいいから!」

「はぁ?」

「冗談よ…簡単に言うと魔物よりも怖いもの対策ね」

「魔物よりも怖いもの?」

「ええ、怖いもの」

「ふーん…」


 あれ?その反応…もしかして興味なし!?


「えっと…興味なし?」

「だって私銃使えないしー」

「そ、そう…」


 ドキっ!ソラ先生の授業モードに入ろうとしただけにちょっと残念。


「そういえば…さ」

「んー?」

「そのお面っていつも乗っけてるよね?そんなに大事なの?」


 私が頭に乗っけてるお面を団扇代わりとしてパタパタ扇ぎつつだらだら歩いていると、奈々が興味津々で聞いてきた。

 あー…コレ?


「んー、大事といえば大事かしらねー?」

「へぇー…」

「…貸さないからね?」

「…何で?」

「いい、奈々?大事なものなの。もしも貸して壊されたりしたら困るでしょう?」


 一応あいつの忘れ形見だし。


「壊さないもん!」

「よし、そういうことは卵をきちんと割れるようになってから言おうか!」

「うー!」


 ふっ…力加減が出来ないのに触りたいとは言語道断!

 奈々はしばらくの間うーうー唸っていたが、やがておとなしくなった。…諦めたかな?


「まぁ、お面が欲しいなら次の街で買ってあげるわよ。お祭りしてるらしいし」

「…お祭り?」

「何祭りか忘れたけど祭りらしいわよ。情報提供者は宿屋のおじさん」


 それにしても勇者のときといい、あのおじさん何してる人なんだろうか…。色々なことに詳しすぎるでしょ。


「ふむぅ、お祭りかー」


 よし、乗ってきた。話題変更成功!


「お祭りは初めて?」

「うん」


 嬉しそうに頷く奈々。こういうところは子供なのにねぇ…?


「失礼なこと考えてない?」


 …何のことでしょうか?


「…それじゃお祭りに先立って軍資金を分け合いましょうか」


 私の方を軽く睨んでくる奈々を見ないようにしながら、お財布のチェック!うわー、予想以上にすくなー。

 …どうする私、この財布の中身だと公平に分担したら大して買わずに終わってしまうじゃないか…今更ながら金銭的にきついという名目でいたいけな少女のワクワクをつぶせるだろうか!否!つぶせまい!

 …仕方ない。こうなったら奈々の分を多くして次の旅費は何とか街で稼ぐしかないかなー。


「ほい、あんたの分」

「やけに多くない?」

「キノセイダヨ」


 奈々の分を計算して渡すと、彼女はジト目でこっちのほうを見てきた。こ、子供なら子供らしく素直に受け取りなさい!


「しっかり持ちなさいよ。噂では祭りに乗じて人攫いとかスリとか色々沸くらしいから。ちなみに情報提供者は宿屋のおじさん」


 おじさん…いったい何者なんだ…。


「人攫いねー…でもそれって私関係なくない?」

「奈々…?そういうタイプが一番危ないのよ…?」

「だって、さらわれたらソラが助けてくれるでしょ?」


 私がそう言うと奈々が恥ずかしそうにこっちを向きながらそう言った。


「ええ…まぁ…」


 私で勝てるかなー?


「…やけに消極的な返事」

「き、気のせいよ!どこぞのお姫様もびっくりの救出劇をしてあげる!」

「うん、まぁ…期待してる…」


 私が晴れ渡る様な笑顔で約束すると、奈々はすごい勢いで顔を背けながら呟いた。

 あるぇー…?私何か悪いことした?


「あ、ほら!街!」


 いったい何が悪かったのか悩んでいると、奈々にはもう街が見えたらしく、遠くのほうを指差している。ちなみに私にはまだ見えない。


「へぇ…じゃあ後もう少「隙あり!」」


 私が手のお面を頭に載せようとした瞬間、お面を取ろうと奈々が飛びついてきた。それは彼女にとっても私にとっても何てことはないような日常の一ページ。

 しかし私たちにとって不幸だったのは、私がお面をかけようとしっかり持っていなかったこと。奈々が高いところにあるお面を取ろうと勢いよくジャンプしたこと。そして私たちの歩いてる場所はきちんとした道であり、よく馬車なんかが通っていたということ。

 結果、誰の手にも留まらずにはじかれたお面は飛んでいき…。


「「あっ…」」


 私たちの目の前で馬車に轢かれましたとさ。


「…」


 思わず無言で割れたお面を見つめる私と奈々。


「あの…さ?」

「…」

「その…えっと…」

「…ごめん、少し黙ってて」

「うん…」


 割れたお面の欠片を拾い集めると袋に包む。あー、コレはダメかなー…。


「その…ソラ…?」

「…」

「な…何よ!そんなに大事ならきちんと持ってればいいじゃな…っひ!?」


 無意識に手を振り上げて奈々のことを叩こうとするのを何とか止める。


「…ごめん」

「っ!もうソラのことなんて知らない!」


 私が手を下ろして謝ると、奈々はそう叫んで街のほうへと走ってしまった。去り際に、彼女が涙目になっているのが見えた。ああ…泣かしちゃったな…。

 全く…アレから何年も経っていて、もう忘れてると思ったのに…私も困ったものね。


 □ □ □ □


 振り下ろした手が当たる瞬間、ソラは手を止めるとゆっくりと下ろした。怖かった。そのときのソラは私の知っているソラと違うみたいで…いつものソラがどこかに行っちゃうみたいで…。


「…ごめん」

「っ!もうソラのことなんて知らない!」


 気が付いたら私はそう叫んで駆け出していた。


「はぁ…」


 街の手前、門の辺りで一人ため息を付く。つくづく私ってバカだなーと思う。

 中を見ればそこにはきらきらと光っているお祭りと楽しそうな人の群れ。ああ、あんなことがなければ今頃、私たちも一緒にあの中に居たんだろうなー。

 誰が悪いかなんてわかりきっている。いつもそう、私が悪くて失敗してもソラは笑いながら何とかしてくれて…だから私はそれに甘えてしまうのだ。


「はぁ…」


 後ろを見てから何度目になるかわからないため息を付く。追いかけては…来てくれないよね。

 さっきから嫌われただろうな…。とかもう付いて来なくていいって言われたらどうしよう…。とか、そんな思考ばかりが頭の中でぐるぐるとループしている。謝るのが一番なんだけど、それだけで許してもらえるかどうか…


「お祭り…かー…」


 ソラと一緒のお祭り、楽しかっただろうなー…。ん…?お祭り?

 そういえば…私が怒ったときとかよくソラは物で懐柔したりするね。そんなもので懐柔されないと思ってても何だかんだで気が付けば怒りがどこか行っちゃうし…。

 つまりソラはあのお面を大切にしてたみたいだし、お祭りで何か買って謝れば許して貰えるかも!?幸いお金はもう貰ってるし…そうと決まれば早く選んで送らないと!


 という風に意気揚々とお祭りの中に入ったのはいいけど…何ここ。

 右を見れば人、人、人!左を見ても人、人、人!つまりすっごい人の波!。

 私こんなに人見たの初めて…って贈り物探さないと…。

 とはいっても何がいいんだろう?周りを見渡せば人のほかにも綺麗な色の屋台とか美味しそうなものばかりであふれてるし…。こんなことになるならソラの好み聞いとけばよかったなー…。


「お、どうだい、たこ焼き!美味しいよ!」


 私がそんな風にきょろきょろと周りを見渡していると店のおじさんが声を掛けてきた。たこ焼きかー、たこ焼き…うん、美味しそう…。食べたことないけど。


「1つくださいな」


 よし、たこ焼きをゲット。

 でもコレってホントに美味しいのかな?少し味見を…美味しい。

 私が気が付いた時、手に持っていたはずのたこ焼きはすべてなくなっていた。私ダメじゃん!

 うー…こればゃソラに許して貰えないよー…何か他に別なものを…。


「お?綿菓子はどう?甘くて美味いぞ!」


 甘いのかー、ソラも甘いのは好きだしいいかなー?


「1つくださいな」


 □ □


 …気が付いたらソラに貰ったはずのお金が後少しになっていた。


「ダメじゃん私…」


 薄っぺらくなったお財布を覗いてポツリと呟く。いったい何に使ったのか…記憶を思い返してみるもお金は戻って来ることはなく…

 うー…どうしよう…もう余計なものは買えないし…。

 悩みながら辺りをきょろきょろと見渡すと、一つだけ不思議な看板が目に留まった。


 『あなたの欲しいものあります』


 欲しいもの…ソラと仲直りできるもの、あるかな…?

 奥のほうにぽつーんと置かれたそのお店に行ってみると、なぜか誰一人としてお客が居らず、サングラスをかけた白髪でながーい白ひげの店主が暇そうにこちらをちらりと見ただけだった。…もしかするとおじいちゃん?

 んと…。

 一応お店なのだからやっているのだろう。うん、そうだろう。

 ということでお店の中を物色してみると…また変なものがあふれてるあふれてる。

 よくわかんない装飾の付いたペンダントにブレスレッド、後は何かの棒やら狐みたいなお面やら…狐みたいなお面!?

 思い出してみてもソラの持ってたお面は狐っぽかった!


「おじさん!コレ!コレ頂戴!」


 思わず興奮しながらお面を指差すと、おじいちゃん?はゆっくりのっそりと私の指差した物を手に取った。それにしてもお金は足りるかな?大丈夫かな?


「い、いくら…?」


 恐る恐る聞いてみると、値段は残ったお金でぎりぎり買える範囲。


「あ、ありがと!」


 私は代金を払って思わずお礼を言ってから、狐のお面を手にぶら下げてる袋へと仕舞うと走り出した。

 コレでソラに謝れる!


 □ □


 んにゃ…?

 目を覚ますと、私は知らない広場で寝っ転がっていた。んんー?ここは何処?

 とりあえず動こうとしたけれども、体が何かに縛られているのか、よく動けない。おまけに口にも何か嵌められていて、喋れない。

 何でこうなったんだっけ…?

 確か狐のお面を買ってから走り出して…少し走ったときに後ろから何かを嗅がされて…それで意識が…ってお面は!?

 慌てて確認をすると袋はちゃんと付いてるみたい。よかったー…

 ちゃんと確認したので改めて周りを確認すると、もうすぐ日が沈むらしく、辺りは薄暗い。あとは私のほかにも何人か縛られてる子が居るみたいでなにやらもぞもぞと動いている、後は近くに昼間見たような馬車。ふむぅ…?

 まだ頭がぼんやりしていて状況がよくわからない。

 馬車の近くには大人の人たちが数人居て、何番は何々とか何番はどうとか話している。

 暗くてよく見えなかったのだけど、どうも男の人たちが話している番号は転がっている子達についている札のことらしく。つまりは私にも付いてるらしい。

 …えっと…つまり…人攫い?

 そして思い出されるのは昼間のソラとの会話。


『噂では祭りに乗じて人攫いとかスリとか色々沸くらしいから』


 私さらわれたの!?

 現状を把握するとどうにかその場から逃げようと力を入れるけれども、薬のせいか縛り方が上手いのか、上手く力が出ない。


 拙い、この状況は拙い。このままだと奴隷市場に売られるかなんにしてもろくな事にならない。

 そ、そうだ…私がここにいるならソラが居るはず!ソラは何処!?

 あ…。

 そこまで考えたところで思い出す。どうして私がここに居るのか。何で近くにソラがいないのか。

 私、ソラと喧嘩したんだっけ…。

 つまり…ソラは…来ない…?


 そう思うと自然と涙が浮かんできた。

 ヤダ…ヤダよぅ…。

 まだ謝ってないのに…お面…渡してないのに…ちゃんと仲直りして…お祭り…行きたかったのに…。

 お別れなんてヤダよぅ…ソラ…。



 どれだけそうしていただろうか、突然数発の銃声がすると男たちが倒れた。

 今の銃声はもしかして…。


「あー…こんなとこに居たか。全く、迷惑な連中ね…」


 そして聞きなれたいつもの声と赤いコートに和服の彼女。


「今ここで死んで地に帰るか、それとも自首して私の旅費になるか、選ばせてあげる」


 □ □ □ □


「もっと早く助けろバカー!」


 私が奈々を助けると、彼女はそう叫びながら私の脛をキーック!

 私は悶絶した。

 …私、泣いてもいいよね?


 万死に値する人攫いの連中を軽く脅して軍資金を獲得したり、奴らを自首するように脅したり、さらわれた子達を帰したりした後、私は改めて奈々と5日目の祭りをまわっている。

 よく知らないけどさらわれた子の中にはどこぞのお嬢様も混じってたらしくお礼がしたいから家に来いとか言われた。当然断った。ナニソレコワイ。世の中貴族と王様のお礼ほど信用できないことは無いのである。

 それよりも信じがたいのは奈々の金銭感覚!アレだけ渡したのに初日の、しかも半日で使い切るとは…いったいどういう使い方をしたのやら…。


「ほら!ソラ遅いー!」

「はいはい、そんなにひっぱらないの」


 私を引っ張ってく奈々につられる様にしながらのんびりと追う。さすがに5日目となると最終日らしくかなりの賑わいで人がすごいすごい。奈々曰く初日もすごかったらしいが、私は一日彼女を探していてそれどころじゃなかったのである。私に探知は出来ない!

 それにこちとらばれないように高いところから飛び降りたり、腰が抜けて歩けない子達を抱えて走ったりして腰と足が痛いのだ。どうせ助けるなら上からかっこよく!とか、まだ若いんだから強化符なしでも大丈夫!なんて考えたのが拙かった…非常に拙かった…。おかげでここ3日間は奈々の看護でベット生活よ!

 祭りの化身とまで言われるほどの祭り好きな私がお祭りの時にベット生活、私何か悪いことしたのかな…?

 そんな生活は奈々がやけに嬉しそうだったことよりも何よりも、ここぞとばかりに大量に剥かれた林檎という凶器のインパクトが強すぎた…もうしばらくウサギさんは見たくない。


「もー!早くー!」

「そんなに急ぐとはぐれるよ…」


 主に私が。

 奈々は事件のショックも無い様で以前と変わらずちょこちょこと動き回っている。

 一方私は事件後の運びと救出劇でのろのろと動くしかない。何この理不尽!いったい私は誰に怒ればいいの!?

 何でも最終日は花火があるらしく、そこへ祭り中に見つけたお気に入りの場所へと連れていきたいらしい。情報提供者を聞いたら白ひげサングラスのおじいちゃんって言われた。誰その怪しいの。

 私は別に宿屋でもいいって言ったのだけれど…そりゃもう真剣に言ったのだけれど…悲しいけど、聞き入れてもらえなかったのよね。

 奈々に急かされながらも、えっちらほっちらノロノロと移動しているうちに目的の場所に着いたらしく彼女はきょろきょろと誰かを探すような仕草をした。


「あ、おじいちゃーん」


 どうやら彼がこの場所の提供者、サングラスに白ひげのおじいちゃんらしい…うむ。有名な魔法使いみたいな名前をつけようと思ったけど何も出なかった。

 私が彼をどう呼ぼうか悩んでいると、奈々は白ひげおじいちゃんとニ、三言喋ってから私のとこに戻ってきた。そして何処かへと行くおじいちゃん。よし、いいタイミングだ!言うことがある!


「いい、奈々?お願いだからあんな怪しい人とは付き合わないで…?」


 ただでさえ勇者とか言うのと出会ってるのに…いずれ変な人脈が出来そうでお姉ちゃん泣いちゃう。


「そんなことよりも!」


 私が将来の人脈について悩むことはそんなことで済むらしい。


「そんなことって私は…「いいから!」…はい」


 そして奈々は無言でもじもじとしている。私も特に話すことがないので無言でさすりさすりとしている。


「その…ね?」

「んー?」


 あそこ座れそうだなーとか早く座らないかなーとか考えていると、もじもじしていた奈々が何か言い出した。


「その…えっと…」

「なぁに?」


 こういうときは優しく聞き返してあげるのが定石なのはいつものこと。


「その…こ、これ!」


 やがて彼女は何度か言いよどむと、赤い顔で何かを差し出してきた。

 んー…?

 んー?

 んー

 タイミング的に爆弾でも出るのかと思ったらお面である。何処からどう見ても狐のお面。


「んと…?これは…?」


 いまいちお面を差し出される意味がわからないので聞いてみる。コレはアレだろうか?私に狐になって過ごせという催促なんだろうか?もしくはお稲荷さんが欲しいとか?お稲荷さん…食べたいわねぇ。


「その…お面…壊しちゃったから…」


 …ああー、そういうことね。


「ごめんなさい…」

「そんなこといいのよ」

「あっ…」

「ありがと、無事でよかった」


 ぺこりとお辞儀をした奈々を抱きしめて優しく撫でる。

 つまり、壊したお面の代わり、というわけね…。

 あのお面は形見みたいなものだったけれど…まぁ無くても思い出は無くならないものね。


「でもね、奈々?」

「ん…?」


 私の胸にくすぐったそうに顔を押し付けてくる奈々にささやく。お祭りもクライマックスのようでたくさんの打ち上げ花火が大空に舞っている。


「あのお面…狐じゃなくて犬だったのよ」


 決して譲れないものがここにはある!


「い…ぬ?」

「ええ、犬。狐じゃなくて、犬」

「…そ」


 お面屋さんには犬のお面もあっただろうしつまり奈々は間違え…ぐふ!


「ソラのバカー!」


 脛を蹴られて悶絶しながらも声を掛ける私。なじぇ…?


「ちょっちょと待ちなさい!奈々!?」


 すると私の声が届いたのか、数歩行った時点で奈々は立ち止まった。


「…たら許してあげる?」

「んー?」

「…スしたら許してあげる」

「えーと?」

「っもう知らない!ソラのバ…っ!?」


 私は痛む足を堪えながら何とか奈々の下に近づくと、振り向いた拍子に唇を塞ぐ。


「コレで許してくれる?」

「…ソラのバカ」


 奈々はそう呟くと私の胸に頭を埋めて来た。あの…奈々さん…?もたれ掛かられると腰が…私の腰が!?


「ちょっ!ソ、ソラ!?」


 やがて私は奈々の体重を支えきれなくなり、最後の力を振り絞って彼女を衝撃から守りながら後ろへとびたーん。

 そして私の後頭部が地面にごつーん。

 結果意識がずどーん。


「ああ、お花畑が見える…」

「ソラ!それ花火だから!ダメ!そっち行っちゃダメ!」


 霞んでいく意識とお花畑の中、奈々の慌てた声が聞こえてきたような気がした。

Q.「最後のキスシーン居るの?」

A.「完全に要りません」


3日連続更新で大丈夫か?

大丈夫じゃない、問題だ


ということでなぜか3日連続投稿となりました

何だか初代短編くらかわを彷彿とさせる更新ペース…

ちなみに定期投稿中もこのくらいのペースで書いてました

第2話で4週間投稿待ちとか普通にあったものね!

すぐ書いちゃうんだね


3日連続投稿はあれど!

4日連続投稿は絶対にない!


お友達から微妙な評価を受けまくっている今作ですがきっと続きます

続くよね?

続くはず…

続くかなー?

ドウナンダロウ

評判悪いのならスパッと切り上げるのも手かなーと考え中


ではでは、お付き合いいただきありがとうございます

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