第7話 幼児、基礎魔術を始める(威力が幼児の限界を超えている)
翌朝。
俺はついに“基礎魔術の準備”という重大イベントに挑むことになった。
(……幼児だけどな)
ログに従い、庭でちょこんと座る。
◆ 今日の一歩 ◆
・魔力を指先に集中させましょう
・極小の火花(光でも可)を発生させてみましょう
※ 出力は限界の1%以内!
(1%って制限があるだけで、逆に“やればできる”って言われてる気がする)
■ まずは魔力を集める
小さな手を前に出し、ゆっくり魔力を意識する。
胸の奥がポワァ……と温まり、
血管を通るようにして指の先に熱が流れていく。
(お、いい感じ……!)
指先が光りはじめる。
「ユウト、また光ってるのね〜」
母さんはもう慣れてしまったらしい。
母の順応性が高すぎて怖い。
(さて……ここから……“火花”だ)
■ 火花を出すはずだった
俺はゆっくり意識を集中させる。
(小さな火花、小さな火花、小さな――)
パチッ……
パチパチパチッ……!
(お、出た! これこれ!)
小さな青白い光の粒が弾ける。
(めっちゃきれい……!)
しかし次の瞬間――
ボンッ!!!
「えっ!?」
軽い衝撃が手から走り、小さな衝撃波が庭に広がった。
地面の落ち葉が、全部吹っ飛んだ。
(いやいやいや! 1%どこいった!?)
慌ててログを見る。
◆ 警告 ◆
《出力が1% → 17%に跳ね上がりました》
《未分類魔力の“瞬間増幅”が発生》
※ 危険なので次はもっと弱く!
(“もっと弱く”って……これ以上どう弱くすんだよ!!)
■ 父さん、花瓶を落としそうになる
「ユウトーー!! 今の爆発音はなんだ!?」
(爆発じゃないです。ちょっと散らかしただけです)
父さんが庭をすっ飛んでくる。
「お、お前……地面の葉っぱが全部……吹っ飛んでる……!?」
(なぜ葉っぱ限定で衝撃特化なんだ俺の魔力)
母さんが冷静に言う。
「……魔力ね」
「“魔力ね”じゃねぇだろ!? もっと驚けよ!!」
(父さん、母さんのメンタルは俺より強いよ)
■ 村に速攻でまた広まる
3時間後、村はもうざわついていた。
「ユウトの魔力、威力がやべぇらしいぞ」
(誰だ流したの!)
「落ち葉を一瞬で吹き飛ばしたって……」
「それもう風魔法じゃん!」
(いや風じゃねぇ、ただの暴発だ)
そして毎度おなじみロッサばあちゃんが真顔で言う。
「未分類魔力は制御が難しいんだよ……昔も一人いたけどね、物騒だったよ」
(やめて縁起でもない話するの!!)
■ だが、俺は気づいてしまった
(……俺、これ自力で魔術覚えられるんじゃ?)
普通の子どもは、学園に行って初めて魔術を学ぶ。
でも、俺の場合――
・魔力操作 Lv4
・魔力安定 Lv1
・未分類(拡張型)魔力
・成長ログシステムあり
(……普通に考えて、俺もう“予習完了”レベルじゃね?)
しかも、ログが追加された。
◆ 新スキル ◆
《原初魔術Lv1 解放》
→ 属性に依存しない“素の魔術”の基礎
(おおおおお!? これ絶対レアだろ!!)
未分類魔力だからこそ使える、“全部の魔術の土台”。
(これ、学園入ったら絶対目立つやつだ……!)
■ 最後に事件:父さんの涙
「はぁ……はぁ……ユウト……」
(なんでそんな泣きそうな顔で来るの父さん)
「お前……こんなにすごくなって……」
(いやまだ1歳半なんだけど)
「そのうち……村を出ていくんだろうな……」
(家族ロスが重い!!)
「いやだ……ユウト……!!」
(父さん泣くな!! 俺が悪いみたいになるだろ!!)
母さんがなだめる。
「あなた……まだ2年も生まれてないのよ?」
(ほんとそれ)
こうして父さんの精神力だけが削れていくのであった。
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