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幼児から始めるゆるゆる無双学園生活  作者: 蒼野湊
第3章 アステル魔術学園編

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第49話 再結――それでも、離れないと決めた夜

走っていた。


どこを、どう通ったかなんて覚えていない。

ただ、胸の奥が叫んでいた。


(間に合え……)


欠片が不安定に脈打つ。

制御は崩れかけ、

空間の“線”が視界の端で揺れていた。


(……リリア)


名前を呼ぼうとして、

喉が詰まる。


(頼む……)


■ ぎりぎりの場所


そこは、旧研究棟の最奥。

封印区画の一つ手前。


光が、

乱れた呼吸のように明滅していた。


(……いた)


リリアは、

壁に手をついて立っていた。


光は出ている。

でも、弱い。


未来を“見ている”というより、

必死に“押し流している”感じだった。


(……間に合った)


その瞬間、

膝の力が抜けそうになる。


■ 再会


俺は、

一歩だけ踏み出した。


「……リ」


声が、

出なかった。


リリアが、

ゆっくりこちらを見る。


目が合う。


それだけで、

胸がいっぱいになる。


彼女は口を開き――

でも、言葉にならなかった。


唇が、

小さく震える。


「……ゆ……」


途中で、

息を吸い直す。


「……ユウト」


その呼び方が、

胸に突き刺さった。


(ああ……)


(生きてる)


■ 近づけない距離


俺は、

もう一歩進もうとして――

止まった。


(……今、触れたら)


(また、壊れるかもしれない)


リリアも、

それが分かったのか、

一歩を踏み出せずにいた。


二人の間に、

ほんの数歩。


でも――

それが、今は遠い。


■ 言葉にならない後悔


「……ごめん」


最初に出たのは、

その一言だった。


リリアは、

首を振る。


「……ちがう」


声が、

かすれている。


「……私が……

 もっと、ちゃんと……」


言葉が、

途中で崩れた。


リリアは、

ぎゅっと胸元を押さえた。


「……怖かった」


たったそれだけ。


責める言葉でも、

怒りでもない。


ただの、

本音。


それが、

何よりも重かった。


■ 再結


胸の奥で、

欠片が静かに震える。


暴れない。

光らない。


ただ――

落ち着いていく。


まるで、

長い間迷っていたものが、

ようやく“居場所”を見つけたみたいに。


俺は、

ゆっくり息を吐いた。


(……これが)


(再結)


世界は、

何も変わらない。


敵も消えていない。

危険も、終わっていない。


でも――

俺の中だけ、

確かに“戻った”。


■ 触れないまま


俺は、

そっと膝をついた。


同じ高さで、

リリアを見る。


「……離れたの、

 正しかったかもしれない」


言葉を選びながら、

続ける。


「でも……

 俺には、無理だった」


リリアの目に、

涙が溜まる。


「……私も」


二人とも、

泣かない。


ただ、

声が少しだけ揺れる。


(触れなくても、

 分かる)


(ここにいる)


■ 代償の影


足音が、

静かに近づいた。


エリスだった。


表情は硬い。

けれど――

責める色はない。


「……禁令違反よ」


俺「……うん」


「でも、

 分断は失敗だった」


一拍置いて、

続ける。


「責任は、

 私が取る」


(……エリス)


リリアが、

小さく頭を下げた。


「……すみません」


エリスは、

目を伏せる。


「……謝らなくていい」


「ただ、覚えておきなさい」


「“一緒にいる”という選択は、

 いつも正解じゃない」


「それでも――

 選んだなら、

 背負うこと」


俺は、

静かに頷いた。


■ 静かな夜


その後、

二人は並んで座った。


距離は、

少しだけ空けたまま。


手は、

触れない。


でも、

同じ方向を見る。


窓の外、

夜の学園。


(……これで終わりじゃない)


(むしろ、始まった)


胸の奥で、

欠片は静かだった。


安定している。

でも、完成ではない。


(それでいい)


(俺は――)


(誰かと一緒に、

 選ぶ)

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


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