第47話 裏切り者の影――学園内部調査と、“鍵”の存在
第二波侵入から、わずか数時間後。
学園は完全封鎖体制に入った。
・夜間外出禁止
・研究棟への立ち入り制限
・全職員・研究員の魔力照合
表向きは「設備点検」。
だが実態は――
内部粛清に近い調査だった。
(……平和な学園生活、完全終了だな)
■ 調査会議
アストレア教官、学園長、エリス、そして俺とリリア。
学園長「内部協力者がいた以上、
問題は“侵入”ではない」
「学園の中に、
狙われる理由が複数ある」
リリア「……“鍵”ですか?」
学園長は、重く頷いた。
「欠片保持者は一人ではない。
正確には――
欠片に“反応する存在”が、
この学園に複数いる」
(……俺だけじゃない?)
エリスが補足する。
「位相教団は、
“欠片そのもの”だけでなく、
欠片を“起動させる要因”も狙う」
「それを、彼らは――
“鍵”と呼ぶ」
(起動させる要因……)
俺は、
嫌な予感を覚えた。
■ “鍵”の条件
エリスが魔導板を展開する。
「現時点で分かっている“鍵”の条件は三つ」
欠片保持者の近くに長くいる
高い魔力純度、または特殊知覚を持つ
未来・構造・因果に“影響を与える”
リリアが、静かに息を呑む。
(……全部、当てはまってないか?)
エリスは視線を逸らさず言った。
「候補は――
リリア・アークライト」
室内が、完全に静まり返った。
俺「……なに?」
リリア「……」
学園長「彼女が“鍵”である可能性は、
かなり高い」
(……やっぱり、そうなるか)
■ リリアの覚悟
リリアは、
一瞬だけ俯いたあと、
顔を上げた。
「……わかりました」
俺「リリア!」
彼女は、
はっきり言った。
「もし私が“鍵”なら、
逃げません」
「ユウトの力が暴走しない未来があるなら、
私は――
そのためにここにいます」
(……この子は、
強すぎる)
エリスが、
静かに頷いた。
「だから、
あなたにも制限をかける」
リリア「……はい」
(……ちょっと待て)
俺「それなら、
俺が全部引き受ける」
学園長は、
首を振った。
「それでは意味がない。
“鍵”は、
欠片保持者の外側にあるからこそ、
意味を持つ」
(……くそ)
■ ユウトの欠片が“共鳴”する理由
会議が終わり、
廊下に出たところで――
胸の奥が、
強く脈打った。
(……なに?)
視界が、
一瞬だけ“重なる”。
未来でも過去でもない、
“可能性の層”。
(……これ、リリアが言ってた“見える”感覚に近い……?)
エリスが即座に気づいた。
「……共鳴してる」
俺「なにが?」
「あなたの欠片と、
“鍵”が近すぎる」
(……つまり)
俺は、
リリアを見る。
彼女も、
同じ感覚を覚えたように、
小さく頷いた。
「……触れてる、感じがする」
(距離が近いほど、
危険度も上がる……?)
■ 新たな決断
学園長は、
厳しい声で告げた。
「ミナト・ユウト、
アークライト・リリア」
「しばらくの間、
二人は同時に行動しない」
(……来たか)
リリア「……それは……」
俺「……わかりました」
言葉より先に、
口が動いていた。
(守るためだ)
学園長「代わりに、
それぞれに専属監督を付ける」
エリスが、
一歩前に出る。
「ユウトは私が」
別の教官が、
リリアの横に立つ。
(……離される)
胸が、
妙に重かった。
■ その夜、それぞれの思い
寮の部屋。
一人。
(……正しい判断だ)
(でも……)
欠片が、
静かに、しかし確実に疼く。
(……近くにいないと、
逆に不安定になる気もする)
同じ夜。
リリアは、
窓辺で月を見ていた。
(離れた未来……
嫌な枝が、増えてる)
彼女は、
小さく呟いた。
「……ユウト」
■ そして、影は笑う
学園の地下深く。
封印区画のさらに奥。
黒い影が、
結界の向こうを見つめていた。
「……分断、成功」
「鍵と欠片。
離れれば――
揺らぎは、加速する」
低い笑い声。
「次は……
“選ばせる”番だ」
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